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【ミツバチ科学研究センター 研究成果】ミツバチの新たなリスクヘッジ戦略を発見

2026.04.30

玉川大学学術研究所ミツバチ科学研究センターの原野健一教授は、8の字ダンスで餌場を教えられたミツバチが、高濃度の蜜を飲んでから出巣することで採餌失敗時の餓死リスクを抑えていることを明らかにしました。この成果は、4月18日付けで国際学術誌Insectes Sociaux誌にオンライン掲載されました。

ミツバチは8の字ダンスを用いて、よい餌場となる花の位置を巣仲間に教えることができます(図)。これはダンス言語と呼ばれ、この行動を発見したフォン・フリッシュは1973年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。しかし、ダンスで示せるのは大まかな位置だけで、ダンスの情報をもとに飛び立った働き蜂のなかには、餌場にたどり着けないものも多くいることが現在では明らかになっています。また、ミツバチは私たちの脂肪にあたるようなエネルギー貯蔵をほとんど持たないため、餌場を見つけられないと、持っている花蜜を使い果たして餓死してしまう危険があります。採餌をするミツバチは、飛翔のエネルギー源―すなわち「燃料」―として巣にある蜜を飲んでから出巣することが知られていますが、上記のような採餌失敗のリスクにどのように対処しているのかは十分にわかっていませんでした。

そこで原野教授は、セイヨウミツバチの蜂群を使い、ダンスをしている「ダンス蜂」とそれを追いかけて情報を得ている「ダンス追従蜂」を出巣時に捕獲して、保持している燃料蜜を比較しました。すると、ダンス蜂よりもダンス追従蜂の方が、より高濃度の蜜を多量に持っていることがわかりました。ダンス蜂はすでに餌場を訪れているので、間違いなく餌場にたどり着けますが、ダンス追従蜂はそうではありません。この結果は、ミツバチが採餌に失敗する可能性を考慮して、持ち出す燃料蜜を調節していることを示しています。ダンス追従蜂が比較的多くの燃料蜜を持って出巣していることは、原野教授らの研究グループが報告していましたが、今回の研究によってはじめて、高濃度の蜜を利用することでも採餌失敗時の飢餓リスクを低減させていることが明らかになりました。

掲載論文

Coordinated adjustment of flight fuel by nectar volume and concentration in honeybee recruitment
Ken-ichi Harano
Insectes Sociaux, Online first article
https://rdcu.be/fd434 (Read-only version)

図の説明

ミツバチの8の字ダンス。ダンス蜂(白矢印)は腹部を横にすばやく振りながら前進する尻振り走行とダンスの開始位置に戻る戻り走行を交互に繰り返す。この走行軌跡が数字の8の形になることから8の字ダンスと呼ばれる。尻振り走行の継続時間で巣から餌場までの距離を、尻振りの向きで餌場の方向を伝える。青矢印は、ダンス蜂から情報を得ようとしているダンス追従蜂。

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