私立大学戦略的研究基盤形成支援事業

記憶・学習の可塑的発達機構に関する統合的解析
―行動解析、生理実験、遺伝子発現、神経回路モデルの融合―

採択期間:2009(平成21)年度~2013(平成25)年度
研究代表:学術研究所 農学研究科 佐々木 正己

プロジェクトの意義・目的

本プロジェクトより1年先に走り始めたグローバルCOEプログラムが、ヒトの心のはたらき(特に意思決定のメカニズムの解明)に的を絞っているのに対し、本プロジェクトは同じ脳機能の中でも記憶・学習の基本メカニズムの理解を目的としており、方法論的にもあくまで動物実験を中心に展開している。ここまでは平成15年度に採択された学術フロンティア推進事業(~19年度)と同じ目的であるが、本プロジェクトはラットの神経細胞を用いてレーザー高速局所刺激システムを駆使した実験を行うほか、基盤整備が進んだ遺伝子実験施設をさらに移転・拡充し(平成20年3月に新たな実験施設が完成)、分子生物学的な解析を本格的に展開している。これまでの研究成果を基に、新たに「学習能力の可塑的発達」を可能にしているメカニズムの解明を目指している。

本プロジェクトの独創的な点として、高度な社会性と学習能力を進化させたミツバチをモデル動物にしていることが挙げられる。学習の基本メカニズムは、分子・細胞レベルではヒトもミツバチも同じであり、ミツバチは、霊長類に匹敵する「概念理解」までできる高度な脳機能や社会性を発達させている。一方でミツバチは霊長類と違い、脳内に実験的に外来遺伝子を導入したり、ノックアウトしたりすることが可能である。加えてごく最近(2006年)解読された「全ゲノム」の成果も存分に取り入れた研究を行うことができる。

本プロジェクトの先行研究により、ミツバチは1回の学習では数時間で忘れてしまうことも3回学習すれば生涯覚えていること、社会から隔離して育てると学習能力の発達や記憶の保持が著しく損なわれることなど、ヒトとよく似た点があることがわかってきている。これらの基本メカニズムの解明は、ヒトの脳機能の理解にも大いに役立つものと期待できる。

研究成果報告

2009(平成21)年度に採択された私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「記憶・学習の可塑的発達機構に関する統合的解析―行動解析、生理実験、遺伝子発現、神経回路モデルの融合―」は、2013(平成25)年度をもって終了となりました。推進をご支援いただいた学内外の関係者の皆様に御礼申し上げます。
本プロジェクトの活動記録・研究成果は、研究成果報告書よりご覧いただけます。