Global Conference香港に行ってきました

2019.05.09
星野あゆみ

国際バカロレア機構(IBO)主催のIB Global Conference 2019 香港大会に参加してきました。毎年IBOは世界の国でいくつかのIB Global Conferenceを開催して、アジア太平洋地域では毎年3月に開催しています。今年は3月24日から26日の3日間、香港国際空港近くのAsiaWorld-Expoにて開催されました。1800名のIB教育関係者が集い、様々な講演、分科会での100以上の実践発表や研究発表、IB校向けの教材展示など盛りだくさんな内容のイベントでした。

基調講演(いくつかを紹介します。)

全体会会場のIBブースにて

香港で活躍中の心理学者Jamie Chiu氏。若者の自殺が大きな社会問題となっている香港でデジタルの心の健康スクリーニングツール”Know My Student”を開発。自殺の兆候のある生徒に対して、学校が早期に対応できる仕組みを提供して成果をあげています。アカデミックストレスが大きいとされているDP校でも導入されている実践例も紹介されました。

作家で未来学者のMichael McQueen氏。世界が激しく変化する中で教育も変わらなくてはと訴える彼の学校のイメージは製造業。製造ラインに乗せられた生徒が量産され続けていると説明していました。まだまだ”Write fast, listen hard, remember well.”の学校が多いと指摘し、必要なパラダイムシフトは3つと力説していました。内容の伝達から能力の育成へ、システム中心から生徒中心へ、知識の説明から学びの経験へ。どれも日本でも言われていることですが、学校というところはどこの国でも改革のスピードが遅いようです。老子の”Resisting change is like trying to hold your breath. Even if you’re successful it won’t end well.”の言葉を引用して、まずIB校から変化を起こして行こうというメッセージでした。

そして、Ally Wu氏。深圳学国語学校の創設者です。短期間でIBの3つのプログラムを実施する大きな学校を作り上げた苦労を語りました。中国の現地の先生たちがIB教育を実践できるようになるまでの過程での苦労は日本でのIB校の立ち上げと共通することがたく沢山ありました。流暢な英語で講演していた彼女ですが、英語を母語としないため、今でも今回のようなIBのconferenceやIBのワークショップで英語話者の中にいると気後れすると最後に涙ながらに語ったことが印象的でした。同じような気持ちを経験している私ですが、彼女の「それでも言葉の壁を理由に挑戦を諦めたりしないですよ」という言葉に勇気づけられました。

分科会

同僚のアジアの国々の地域開発マネージャーと

特に共通テーマを設定しないIB Conferenceでの分科会は様々な内容があります。IBからの最新情報提供、IB教員からの実践報告、IB生の体験談、IBに関する研究の報告、IB校の紹介などです。私は近々改訂される「プログラム基準と実践要綱」に関するIBからの情報提供分科会や改訂が始まったPYP説明会などに参加しました。

レセプション

現地にある香港日本人学校もIB認定校(PYP)。その子供たちが和太鼓の演奏を披露してくれました。アジアの他の日本人学校にもIB認定校を目指す動きもありそうです。

年度末と重なっている時期にも関わらず、日本からの発表者や参加者も30名ほど参加。文部科学省やIB認定校関係者、IB教員養成を行っている大学関係者などが世界中からの参加者と共に学び、活発に交流を深めていました。来年はバンコクで3月17日から19日までの開催予定です。