都立大塚病院児童精神科の見学に行ってきました

2015.08.14

7月29日、教育学部の原田ゼミの学生等とともに東京都立大塚病院児童精神科の施設見学および医長の鈴村俊介先生のお話を伺ってきました。
東京都立大塚病院は新大塚駅から徒歩2分くらいの非常に便利な場所にあります。児童精神科は2009年10月にオープンして以来、初診患者の約9割が発達障害だそうです。2階ではグループによる療育指導も行われていました。
児童精神科とはいえ、小児科とは違い、シンプルな作りで広めの廊下、刺激の少ない色使い、建物から出る際には暗証番号を入れないと出ることができない構造になっており、受診される子どもたちのことが考えられていました。他にも受付の机が曲線で作られており、曇りガラスを使用したお部屋は日の光をこちらに伝えてくるものの、直接的ではありませんでした。
2階では、絵カードを利用している様子や、感覚統合療法のための用具などを見ることができました。
鈴村先生からは、発達障害のご説明をしていただき、特に教員が出会う発達障害や医師・保護者・教員の連携などについてご講義いただきました。鈴村先生のお人柄が感じられるご講義のなかで、学生もリラックスして、日頃、学習支援などで児童とかかわる際に、戸惑ったり、迷ったり、考えたりしていることを質問することができ、納得がいったようでした。
特に学生にとって印象深かったことは、医師であってもはっきりと診断することは難しいこと、障害を併せ持っている子どもが多いこと、診断に頼ると本人がみえなくなること、そしてなによりも「ADHDだから落ち着かない」は正しいけれども、「落ち着かないからADHDかも」「孤独を好むからASDかも」、というよくある誤解を指摘されたことでした。落ち着かない理由は他にもたくさんあるのです。やはり、障害のあるなしにかかわらず、一人ひとりの児童を決めつけることなく、理解していくことが大切だということがわかりました。そのためには、保護者との連携も必須です。保護者と教員の「ずれ」についても講義していただき、結果的に守秘義務の伴う医師と教員が協力していくためには、教員と保護者に信頼関係があることが大切だとわかりました。
お話を伺い、外来棟をみせていただいた学生達が現場に出た際には、今日のお話を思い出しながら、目の前にいる児童一人ひとりにあった支援をしようと考えることができるのではないかと思いました。

(教授:原田眞理)