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玉川学園の創立と全人教育

全人教育提唱100周年記念サイト
「全人」の書

小原國芳著『全人教育論』(玉川大学出版部発行)の冒頭に次のような一文が記されている。

教育の内容には人間文化の全部を盛らねばなりませぬ。故に、教育は絶対に全人教育でなければなりませぬ。全人教育とは完全人格即ち調和ある人格の意味です。

國芳は、従来の日本の教育には、人間教養が欠けているとし、全人教育によって偏重した教育を正道に戻し、真実の人間性を伸ばそうと考えた。塾教育をはじめ、特に従来の教育に欠けていた道徳教育、芸術教育、宗教教育、労作教育などを重視した。

小原國芳

調和のとれた人間形成を目指す学校を、自らの手で、一からつくりたい――國芳が「ゆめの学校」建設に着手したのは、成城高校の校長を務めていた42歳のときであった。それまでは、成城教育の充実、発展、完成、延長に取り組んでいたが、当時の成城学園が第一義としていたのは、帝国大学への入学を前提とした予備教育、すなわち受験教育であった。対して、國芳が理想としたのは、「労作教育の使命を果たすこと」「徹底した真人間の教育を行うこと」を重んじた教育であった。結果的には、國芳が思い描いた「ゆめの学校」は成城学園から独立し、1929(昭和4)年、玉川学園として産声を上げることとなった。

ゆめの学校
玉川学園開校式

國芳は、人間形成には真、善、美、聖、健、富の6つの価値を調和的に創造することが必要であるとし、それは学問、道徳、芸術、宗教、健康、生活の6方面の人間文化を、豊かに形成することと考えた。國芳はそのことを『全人教育論』の中で次のように記している。

人間文化には六方面があると思います。すなわち、学問、道徳、芸術、宗教、身体、生活の六方面。学問の理想は真であり、道徳の理想は善であり、芸術の理想は美であり、宗教の理想は聖であり、身体の理想は健であり、生活の理想は富であります。教育の理想はすなわち、真、善、美、聖、健、富の六つの価値を創造することだと思います。

『全人教育論』
玉川モットーと「真・善・美・聖・健・富」列柱

「ゆめの学校」の実現には、様々な困難が立ちはだかった。1929年の玉川学園創立当時は教職員18人と生徒111人、合わせてもわずか129人という小さな学校であった。創成期には教職員と生徒が寝食をともにし、一日の授業を終えると労作に明け暮れた。やぶを開墾して畑をつくり、薪を割り、道路を整備し、運動場を建設した。教師と生徒が一丸となって、「ゆめの学校」を自らの手でつくり上げていった。

ゆめの学校建設
薪割り

玉川学園創設にあたって、塾教育は大きな目的の一つであった。1948(昭和23)年発行の『玉川塾の教育』で、國芳は次のように述べている。

私は、何だか、教育というものは八時以前と三時以後にホンモノがあるような気がします。
    (略)
塾教育は実に、心から心への教育即ち人格から人格への教育です。言い換ると、之は内面からの教育です。かかる教育を受けたものの社会は互に理解を深くし、同情を厚くすることが容易だと思います。故に塾教育こそホントの社会改造の道だとも首肯されます。

塾生の朝の聖山礼拝
塾の部屋での語らい

それから半世紀にわたって「ゆめの学校」は拡大を続け、幼稚園から大学・大学院までを擁する総合学園へと発展を遂げた。國芳は全国各地を教育行脚し、「教育立国」の夢を訴え、「全人教育」の理想を語った。

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