玉川大学・玉川学園Webサイト
IEサポート終了のお知らせ

玉川大学・玉川学園webサイトTOPページリニューアルに伴い、Microsoft 社の Internet Explorer(以下、IE)のサポートを終了いたしました。本学園が運営するサイトをIEで閲覧した場合正しく表示されない恐れがございます。
皆様にはご不便をおかけしますが、別のブラウザを利用しての閲覧をお願いいたします。

全人教育の実践

全人教育提唱100周年記念サイト

創立以来「全人教育」を教育理念の中心として、人間形成には真・善・美・聖・健・富の6つの価値を調和的に創造することを教育の理想としてきた玉川学園。そのめざすところをよりわかりやすく説明しているのが、教育12信条である。全人教育の理想を実現するために、全人教育、個性尊重、自学自律、能率高き教育、学的根拠に立てる教育、自然の尊重、師弟間の温情、労作教育、反対の合一、第二里行者と人生の開拓者、24時間の教育、国際教育といった12の教育信条を掲げて、玉川学園は総合学園として一貫した教育研究活動を実践している。

玉川学園創立時の児童・生徒・教職員 1929(昭和4)年4月8日
玉川モットー

さらに実践にあたって、

人生の最も苦しい いやな
辛い 損な場面を
真っ先きに微笑を以って
担当せよ

という玉川モットーを掲げている。

國芳は、自身の教育の原初から、知識のみを持って社会に貢献するのではなく、自ら困難な場所へと敢えて入っていき、額に汗しながら世の中のために貢献できるような人材を育てたいと思っていたのだ。労作が欠かせない玉川の丘での学校生活は、まさにそうした教育の具現化であろう。

労作

國芳は常々「額に汗を流し、労しむことは万人の喜びであり、誇りであり、義務である」と考え、労作教育を重視してきた。國芳は「労作」の「作」は作業の作ではなくて、創作の作であり、「自ら考え、自ら体験し、自ら試み、創り、行うことによってこそ、真の知育、徳育が成就する」と考えた。國芳が目指したのは、「労作によって知行合一の強固なる意志と実践力を持った人間形成」であった。

農作物づくり
養蜂

そもそも労作教育は、20世紀の初頭にドイツの教育改革運動のなかで生まれた。従来のような書物中心の詰め込み教育への反動として、ゲオルグ・ケルシェンシュタイナーらが提唱したのが始まりである。國芳は、「百聞は一見に如かず、百見は一労作に如かず」と繰り返し語っており、「真の知育は注入や棒暗記、試験勉強や単なる説明などの方法では得られるものではない。苦しみ、作り、体験し、試み、考え、行うことによってこそ得られる」と考え、労作を重視した。本に頼るのではなく、畑を耕したり、動物を飼育したり、バイオリンを作ったりといった「自発的な活動や創造的な仕事」を学びのなかに積極的に取り込んでいった。

バイオリンづくり
飼育

本学では、創立間もないころ、児童・生徒・学生や教職員が一丸となって、道を造り、校舎を建て、木を植えるなど、環境を整備してきた歴史がある。また、労作は時代とともにさまざまに変化してきた。例えば、昭和初期には、女子高等部生(専門部)による『女性日本』の編集、中学生によるパイプオルガンの組み立てや修理、そして養蚕、養鶏、園芸、女学部生(高等女学校に相当)の生徒による機織りや玉シャツ作りなどが行われた。また、塾生を中心に生活当番としての新聞や郵便、牛乳の配達なども行われた。

ホームスパン織り
パイプオルガンの組み立て

現在でも、小学1年から大学までカリキュラムのなかに「労作」の時間が設けられており、教科学習のなかにも労作の要素が取り入れられている。例えば、実験や観察を含む理科、職業としても扱われる農業・工業の学習は労作の影響が大きい。あるいは、文学的、思索的教科においても、子供たちの創造性を促すことで、労作的学習が可能となる。特に、小学生の段階では、実験・観察、創作などを通じて、労作と教科の一致を追求している。

建築
自由研究

労作教育とともに、宗教教育を重んじている。特定の宗教を限定せず、広い意味での宗教心を一人ひとりに持たせ、真の人間を育てたいという玉川における宗教教育の理念は、終始一貫して玉川教育を支えてきた。國芳は、宗教教育は人間教育であり、他者を思い、平和を愛する心を育む教育であると語っている。そして礼拝の時間が幼稚部から大学まで設けられ、園児・児童・生徒・学生ら一人ひとりが聖なるものと向き合うことで、感謝の気持ちを抱き、自分自身を見つめることで、他者を思い、平和を愛する心を育んでいる。

礼拝
クリスマス礼拝

芸術教育、例えば音楽教育については、國芳は「音楽」によって玉川学園の精神的な基礎づくりをしたいという信念を持っていた。國芳著「私の音楽教育八十五年」(玉川大学出版部から1971年に刊行された迫新市郎著『私の音楽教育八十五年-創造性を高める-』のP.202~P.221に所収)には、國芳の音楽教育に対する期待が次のような言葉で示されている。

「音楽は、すさんだ心をなごやかにし、暗い気持ちを明るくし、悲しみをなぐさめ、疲れをいやし、希望を与えてくれます。この音楽の持つ不思議な力を教育でも十分に利用したいのです」また、「音楽こそは、人と人の心を結ぶきずなとなるものと考えます。教育が、人と人との触れ合いの中にあることを考える時、立派な音楽なくしてマコトの教育はあり得ないとさえ考えます。どうぞ、世界に誇り得る教育が、文化が、民族が、出来上がる日のためにも、音楽の楽しみを、今日、今から大事にしていただくよう祈ります」と。

歌に始まり歌に終わる
合唱祭

演劇教育については、『全人』第288号(玉川大学出版部発行)に次のような記述がある。

演劇は人間の生き方に最も深くふれる芸術であり、それが教育の中に正しく生かされた場合には、人間陶冶の優れた方法となる。演劇創造による教育は、玉川では全人教育の一環として、早くからその実践と理論的探求がなされ、大きな足跡を残してきた。

学校劇「青い鳥」
学校劇「ピーター・パン」

道徳教育については、國芳著『道徳教育論』(玉川大学出版部発行)に次のように記されている。

学校全体が、教育全体が道徳教育の場です。一切合財が、道徳訓練、人格完成でないものはありませぬ。だが! だから、道徳教育はそれで十分だと思ったら、いけませぬ。絶対に、その中心となる、核となる、指導星となる修身科(道徳科)がないと、方向を失い、漠然として力が消え、大事な善悪正邪の批判力を失います。
    (略)
人間関係、個性尊重、協同、互助、信頼、敬愛、校友、忠言、誠実、公正、中庸、同情、仁愛、礼儀、作法、謙譲、寛容、名誉・・・・・・いろいろの諸徳を理解し、且つ体得せねばなりませぬ。

森の修身

健康教育については、國芳は著書『全人教育論』(玉川大学出版部発行)の中で次のように語っている。

体育の目的はいうまでもなく、強靭なる体力、長い生命、調和せる身体、そして巧緻性だと思います。そのためには先ず、生理学的知識。基礎としての体操。そして、各種のスポーツ。特に、日本人たるために各種の武道のうち、少なくとも一つは選ばせたいです。
    (略)
体育には、節制、礼儀、克己、勇敢、共同、忍耐等の実に尊い道徳訓練が練磨されることが感謝です。

強靭巧緻な健康美をつくる玉川体操
寒稽古

シェアする