「第61回日本学生科学賞」東京都大会で、8年生が最優秀賞、7年生と10年生が奨励賞を受賞!

2017.11.02

未来の優秀な科学者育成のため、1957年(昭和32年)に読売新聞社主催によって創設された「日本学生科学賞」。対象となる中学生・高校生が身の回りの疑問や不思議を解決するために実験・研究・調査を行い、レポートにまとめて提出します。玉川学園サイエンスクラブでは活動の一つとして、毎年「日本学生科学賞」東京都大会に応募をしています。今回、中学の部では、8年生の平野悠さんの研究が、最優秀賞に選ばれました。また、同じく中学の部に7年生の大西優路さん、高校の部では10年花村佳緒さんと藤田琳太郎さんの3人が奨励賞を受賞。10月28日、日本プレスセンターホールで表彰式が行われました。彼らの研究成果について紹介します。

中学の部:最優秀賞 8年 平野 悠さん 「バナナ果皮の褐変理由を探る」

果物が好きでバナナを食べることが多く、そのたびに、日にちが経過するとバナナの皮が茶色く変色する(褐変)現象に疑問をもっていました。そこで、バナナの皮が褐変しやすい条件を探し、褐変する理由を解明するための研究を行うことにしました。最初に、普段の生活の経験から、バナナが褐変しやすい条件について仮説をたてて検証。その結果、紫外線があたった時、温度が低すぎたり高すぎたりした時、酸素中で保存した時、リンゴなどエチレンガスを発生させるものと一緒に保存した時に褐変しやすいことが実証できました。次に、バナナに含まれている成分のうち、何が褐変しているのかを調べるための分析を行いました。その結果、バナナに含まれているポリフェノール類の一種が褐変していることを突き止めました。今回の研究では、バナナの果実の糖度が上昇することと、皮の褐変には直接的な関係がないと予測していますが、確証を得ていないので、今後、更に研究を発展させていく予定です。

[講評]

平野さんの研究は、身近な疑問を一つ一つていねいに検証し、大変わかりやすくまとめています。顕微鏡を使って果実のデンプンを観察したり、保存している容器内の気体の組成を調べるために気体検知管を使用したり、皮の成分を調べるために薄層クロマトグラフィーを使用したりと、多様な実験方法を用いて研究が進められており、大変幅の広い研究です。このような点が高く評価され、最優秀賞を受賞しました。

この一報を聞いたのは、アメリカ東部研修(K-12の海外研修プログラム)で滞在中のボストンだったという平野さん。最初は実感がわかず、一緒に研修に参加していた友人からの「おめでとう」の言葉で、少しずつ喜びに変わっていったといいます。この研究はサイエンスクラブに入部した7年生の7月から始め、これまでに実験で使ったバナナは100本以上。今でも飽きることなくバナナが大好きで、食べる時には「このバナナだったら実験で良い結果がでるかも…」と思うこともあるそうです。実験のヒントを探るため、辞書で調べながら海外の論文を読んだり、部活の時間以外にも実験室へ足を運んだりと、コツコツと実験の成果を積み上げてきました。今後もバナナに関する研究を続けていくという平野さん。バナナの皮の変色と果実の糖度の上昇が直接関係しているのかを調べていきたいといいます。その根源には「人がわからないことを解明して、教えてあげられる人になりたい」という大きな夢がありました。「東京都大会」最優秀賞受賞者4人は、東京都の代表として11月に行われる中央予備審査に進みます。

中学の部:奨励賞 7年 大西優路さん「表面張力の研究」

自由研究の時間に、水面に金属を浮かせる実験をしたときに表面張力に興味を持ち、研究を始めました。金属の形によって浮きやすさが違うのか、水への入れ方によって浮きやすさが違うのか、水に何か溶かすと浮きやすくなるのかなど、疑問に思ったことを色々と実験して確かめました。金属板は、表面張力によって浮くだけでなく、その浮いている金属板を水面から引き離すときにも、表面張力がはたらき、引き離しにくい現象が起こることもわかりました。そのことを応用し、天秤の片方に分銅を何gのせると金属板が水面にくっついたままでいられるのかを実験して、表面張力を数値化することにも成功しました。またこの装置を使って、いろいろな液体の表面張力を調べ、他にも数値化する方法に挑戦したことが高く評価され、奨励賞を受賞しました。

高校の部:奨励賞 10年 花村佳緒さん 「色素の安定性に着目した太陽電池」

昨年から、太陽電池の一種である「色素増感太陽電池」の研究を行っています。色素増感太陽電池は、身近な天然物を色素として利用して発電でき、大変環境に優しい電池です。昨年は、色素増感太陽電池の色素として、ブドウの皮やイチゴ等の食品に含まれている「アントシアニン」が適していることを見出しました。そこで今年は、更に発電する色素増感太陽電池を作製するために、色素液の作製方法を見直したり、アントシアニンの保存方法を検討したりしました。その結果、色素液に弱酸を加えることで、色素液が長持ちし、発電量も上昇することを発見しました。花村さんは、実験の再現性を意識しながら、いつも着実に実験を行い、一つ一つ深く考察しています。とても丁寧にまとめ、環境に配慮した研究であることも評価されています。

  • 花村さんは、8、9年生次にも奨励賞と優秀賞を受賞。3度目の受賞となります。

高校の部:奨励賞 10年 藤田琳太郎さん 「金属イオンによる抗菌効果の研究」

中学から研究を行っていた金属に関する知見を生かし、今年度は金属イオンを身の回りに応用できないかと模索していました。その中で、卒業生から引き継いだ大腸菌の培養を使い、金属イオンの抗菌効果にたどり着きました。抗菌効果があることは実験で証明できましたが、金属イオンのみでは定着が難しく、身近に利用することができないことがわかりました。そこで、市販されているトイレ用品と金属イオンを組み合わせることにより、一層抗菌効果が発揮できることを発見しました。細菌を使った実験のため、なかなか思うような成果が得られない時もありましたが、根気強く取り組むことにより、結果に結びつけることができました。

  • 藤田さんは、9年生の時に努力賞を受賞。2度目の受賞となります。

玉川学園は、2期連続して文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けており、成果をさまざまな研究会で発表しています。また、ワンキャンパスの総合学園だからこそできる大学の農学部や工学部、そして学術研究所、脳科学研究所、量子情報科学研究所との高大連携が、生徒たちのこうした研究をさらに後押ししています。 今後も彼らの活躍にご期待ください!