2012年・春 骨粗鬆症のはなし
骨粗鬆症ってどんな病気?
骨の密度が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。古くは古代エジプト文明時代からある病気なのですが、近年寿命が延び、高齢者人口が増えてきたため、特に問題になってきています。日本では、約1,000万人の患者さんがいるといわれており、高齢者人口の増加に伴ってその数は増える傾向にあります。
骨粗鬆症が問題になる理由は?
骨が弱くなると、ちょっとしたことで骨折しやすくなります。高齢者の寝たきりの原因のうち約20%が骨折(中でも「大腿骨」の骨折)といわれています。
また、背骨が圧迫されてつぶれていく(圧迫骨折)と、背中が丸くなり内臓が圧迫されるため消化不良や便秘になったり、食べ物が食道に逆流しやすくなり胸やけがしたりします。
背中や腰などに、骨折に伴う痛みが出てくることがあります。
どんな人が骨粗鬆症になりやすい?
骨粗鬆症は、多くの原因が複雑に関係して発症する病気なので、原因をひとつだけに決めることはできませんが、主なものとして次のようなものがあります。
加齢により、性ホルモン産生の低下や、骨芽細胞(骨をつくる細胞)の働きが弱くなります。また、腎臓の働きも低下するためカルシウムの吸収を助ける活性型ビタミンDがつくられにくくなったりします。
- 加齢により、性ホルモン産生の低下や、骨芽細胞(骨をつくる細胞)の働きが弱くなります。また、腎臓の働きも低下するためカルシウムの吸収を助ける活性型ビタミンDがつくられにくくなったりします。
- 乳製品をとっていなかったり、偏食して栄養バランスが偏ったりすると、食物からカルシウムなどが十分にとれなくなります。
- 閉経に伴って女性モルモンが急激に低下すると、破骨細胞(骨を壊す細胞)の働きが追いつかなくなります。
- 適度な運動で骨に刺激を与えることにより骨は丈夫になりますが、運動しなくなると骨はだんだん弱くなっていきます。
- 日光に当らない生活をしていると、日光に当ることにより皮下で合成されるビタミンDが合成されなくなり、腸からカルシウムを吸収しにくくなります。
- タバコに含まれるニコチンには、腸からのカルシウムの吸収を阻害し、骨芽細胞の機能低下も引き起こします。
- コーヒーなどに含まれるカフェインのとり過ぎや、過度の飲酒は骨量の減少につながります。
- 食事を極端に減らすダイエットは、栄養不足、特にカルシウム不足の原因になり、骨量の減少を招きます。
骨粗鬆症にならないようにするには?
食事
日本人は慢性的なカルシウム不足だと言われています。食事でカルシウムの多い食品(牛乳、ヨーグルト、小魚、納豆、海藻類等)を摂ること。また、カルシウムの吸収をくする、ビタミンDなどほかの栄養素にも気を配ったバランスの良い食事を摂るようにしましょう。
運動
骨に適度な力を(主に体重)かけることで、骨の強さが維持されます。散歩をする、エレベータの代わりに階段を使うなど、スポーツに限らず自分にあった適度な運動を継続しておこなうようにしましょう。
高齢者が元気に活躍する現代、今から骨を丈夫にすることを心がけ、いつまでも元気に活動できるようにしたいものです。