2025年度特別展
岡村康彦 彫刻遺作展
―「厳格な彫刻史の正当な系譜」―
- 会期
2026年1月19日(月)~2026年2月1日(日)
- 開館時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
※会期中無休 - 入館料
無料(事前予約不要)
- 主催
岡村康彦彫刻遺作展実行委員会・玉川大学教育博物館
- 会場
玉川大学教育博物館 第2展示室
- 小田急線玉川学園前駅下車南口より徒歩約15分
- 車での来館はご遠慮ください
- 入校時に各入校口の詰所で入校手続をしてください
- 構内では教育活動がおこなわれています。
静謐な教育環境を乱すような行為は固くお断りします。
「岡村康彦彫刻遺作展」開催にあたり
この度、玉川大学教育博物館において、彫刻家、岡村康彦の遺作展を開催することになりました。
七十年における長年の制作、研究及び教育活動の歩みを三期間に分けて展示することにしました。その第一期間を新制になったばかりの東京藝術大学彫刻専攻前後までの時代、そして第二期ではその大半を過ごした玉川学園高等部、玉川大学での教師時代とし、その後玉川大学教授を退職して、自宅アトリエで制作・研究を続けた間を第三期としたものです。この三期とした分類は、彫刻家、岡村康彦の作品・著作に触れた展覧会を企画した者たちの客観的な区分であり、必ずしも本人にとっては彫刻を始めた頃からの一貫したものだと異論も聞こえてくるようですが、あえてこの区分にしたのは数多い彫刻作品の単なる羅列展示に終わらず、いくらかでも、その時代背景の中で一貫した制作姿勢のなかにも造形表現の狙いが変化していることを観る人に感じてもらうことを意図したことからなのです。それはまさしく、彫刻家であり、教育者岡村康彦が彫刻制作・研究、そして教育実践は玉川学園における「全人教育」そのものの教育実践でもあったことを思うと教育博物館での開催が最もふさわしい場所であると考えました。
今回は約40点の展示となります。ぜひご高覧いただければと思います。
「岡村康彦の彫刻」1932~2020年―「厳格な彫刻史の正当な系譜」の継承-
東京都小石川に生まれた岡村康彦(1932~2020年)は、旧制五中、現在の都立小石川中等教育学校において美術教育者である大勝恵一郎により、美術とりわけ彫刻の世界に開眼する。その後、1951年に旧制東京美術学校から新制に移行して間もない頃に東京藝術大学への入学を果たす。
東京藝術大学彫刻科専攻のなかで、石井鶴三教室に籍を置いたことが、その後の岡村康彦の彫刻家としての人生を決定づけた。そこでは、近代彫刻の先覚者であるフランスの彫刻家オーギュスト・ロダンに触発された荻原守衛から高村光太郎、中原悌二郎、そして石井鶴三、橋本平八といった一連の本格的な彫刻追求者から多くの影響を受けたのである。その後の彫刻に向かう岡村の姿勢には、自身もそれらの彫刻追求者に続かんとした強い意志と決意が感じられる。まさしく、彫刻家高村光太郎が言った「厳格な彫刻史の正当な系譜」を継承せんとする熱い思いが、その時に生まれたのである。
それ以降、終生変わることがなかった本格、本質への彫刻追求は、彫刻家また人間岡村康彦としての「自己確立」を根底に置き、作品制作と制作理論面から行われた。制作においては、木彫における「木取り技法」等の研究、そして理論面においては「続純粋彫刻論」等の数多くの著作と、両面からの彫刻研究を日々の課題として「自己確立」に専念してきた彫刻家であった。
また、玉川学園高等部教諭時代、そしてその後の玉川大学彫刻専攻教授時代においては、玉川学園が掲げる教育理念である「全人教育」や「師弟同行」のもと、「いかに生きるか」をその時々の生徒、学生に問い掛け続けてきたことからも、岡村康彦は人間教育においても多大なる足跡を残した彫刻家であり、教育者であった。
