科学するTAMAGAWA RoboCup2019世界大会(オーストラリア・シドニー)に玉川学園から3チームが参戦!
玉川大学工学部のロボット研究の成果をK-12の教育に活かす「玉川ロボットチャレンジプロジェクト(TRCP)」。プロジェクトのテーマの一つが「ロボッ卜競技会への出場支援による活発な学生活動の実現」であり、毎年、玉川大学・玉川学園の学生・生徒たちが世界規模のロボット競技会RoboCup(ロボカップ)へのチャレンジを続けています。
今年の「RoboCup2019世界大会」は7月2日〜8日、オーストラリアのシドニーで開催されます。玉川学園からは大学2チーム、K-12が1チームと計3チームがこのロボット競技大会に参戦します。
K-12「Tamagawa Academy Science Club」
K-12はサイエンスクラブの生徒4名による「Tamagawa Academy Science Club」のチーム名でエントリー。参加するのは19歳以下の「ジュニアリーグ/レスキューMaze(メイズ)」部門。ロボットが災害現場を想定した迷路を大小の障害物を乗り越えながら、被災者に見立てたアルファベット「H」「S」「U」の文字を無事に発見するという競技です。
サイエンスクラブは4月に和歌山県で開催された「ロボカップジュニアジャパンオープン」World League レスキュー Maze部門で優勝し、世界大会への出場権を獲得しました。昨年秋の「World Robot Summit 2018」ホームロボットチャレンジ部門でも優勝ならびに経済産業大臣賞受賞を果たし、今大会でも優勝を視野に入れられるチームです。
顧問の田原剛二郎教諭によると「一大会ごとに先輩の経験と実績が受け継がれ、新しい技術も積極的に取り入れてきました。特に今年は一人ひとりが高いレベルの得意分野を持ち、チームワークも抜群で、私も大いに期待しています」と5人の取り組みを見守っています。
10年生と12年生の4人に、サポートメンバーとして7年生の國吉仁志さんを加えた5名の生徒に、ロボット研究への思いや大会への抱負を聞いてみました。
中山敬太さん(12年生)
9年生のときに「好きな数学と理科を活かして新しいことにチャレンジしたい」と考えて、ロボット研究に参加しました。プログラムがなかなか思い通り動いてくれないときも、仲間からのアドバイスで解決することができたり、チームで取り組む楽しさを実感しています。
岡田崇靖さん(12年生)
子供のころから飛行機などの乗り物が大好きで、個人研究としてドローンも手がけています。ロボットはなかなか人間の思い通りに動いてくれませんが、大会で勝ったときの達成感を味わいたくて、楽しみながら試行錯誤を続けています。
野田 基さん(12年生)
5年生のときから、ずっと玉川でロボットに関わってきました。もともと数学の関数やアルゴリズムに興味があり、その興味を活かせるのがロボット研究だったのです。自分一人で研究するのではなく、仲間と力を合わせて大会をめざすのはとても楽しいです。
西岡英光さん(10年生)
昨年は「文字認識ができるお手伝いロボットの開発」で日本学生科学賞入選3等をいただくことができました。その研究成果を大会に活かしていきたいです。先輩たちは多くの知識をもっているので、一緒にロボットづくりに取り組みながら、日々学んでいます。
國吉仁志さん(7年生)
小学2~3年でプログラミングを始めました。兄がサイエンスクラブでRoboCupに出場している姿を見てきたので、今回、サポート役としてチームに携わることができ、とてもうれしいです。先輩たちのチームワークの良さを見習って、来年は自分もチームの一員として戦いたいです。
大学工学部・大森隆司研究室「HILLSTONE(ヒルストーン)」
コンピュータ画面上でプログラムされた1チーム11名のAIプレイヤーがサッカーの試合を繰り広げる「シミュレーションリーグ」に参加するのは工学部大森隆司教授と4年生3名と武蔵野大学との合同チーム「HILLSTONE(ヒルストーン)」。この競技は、各選手の技術力とスタミナ配分、フォーメーションやチーム戦術など、試合とチームづくりをすべてプログラミング言語で実現させていく必要があります。
試合そのものはコンピュータのモニター画面の中で淡々と行われる見た目には地味な競技です。しかし「モニターの裏側に、僕たち一人ひとりの血と汗のドラマが詰まっています」と語るのは2年生から連続参加となる伊藤大雅さん(機械情報システム学科4年)。参加当初からプログラミングを担当し、この大会が集大成となります。「昨年は思うような結果を出せませんでした。今年はパスの精度が高いチームで上位入賞をめざします」と大会に向けて強い意気込みで語ってくれました。
今年初参加となる佐藤範一さん(同4年)は、実際にサッカー経験者で「相手チーム分析や自分たちのチーム戦略」を担当していたそうです。「ただ現実のサッカーとプログラミングのサッカーは必ずしもイコールではありませんから、悩みながらチーム戦術を考えていきました」。伊藤さんは佐藤さんの戦略をベースに膨大なプログラムを組み立てていきました。
もう一人のメンバー井関淳一郎さん(同4年)は、プログラムの検証・評価に没頭。「全力を尽くすのみ。大会直前の追い込みの今が一番大変な時ではありますが、この競技の面白さを実感しています」と話してくれました。
大学工学部・岡田浩之研究室「eR@sers(イレイサーズ)」
これまで「RoboCup世界大会」で2回の優勝経験があるのが、工学部岡田浩之教授が率いる「eR@sers(イレイサーズ)」です。参加する「@ホームリーグ」は、リビングルームやキッチンなどの家庭環境において、ロボットがいかに人との共同作業を遂行できるかを競技形式で評価します。たとえばドアの開閉や、瓶などモノをつかんで持ち上げたりなど、AI(人工知能)を活用したスムーズな動作がポイントになります。
今年のチームは岡田教授と1年生のときから参加している坂巻新さん(情報通信工学科3年)、初参加の岡直希さん(同2年)、さらに研究員のコントレラス・ルイスさん(所属:学術研究所)の4名です。コンスタントに上位入賞を果たしてきたチームですが、今回はこれまでで最もメンバーが少なく、加えて大会のレギュレーション変更により作業量も増えました。
坂巻さんは「大人数で参加する強豪チームがいる中、私たちのチームは少数精鋭でいかに効率よく戦えるかが課題」と冷静に分析。音声認識やデータ処理方式でのアドバンテージを活かして、久しぶりの優勝を狙っています。
その坂巻さんに声をかけられ、今回初参加するのが岡さん。岡田教授の授業でロボットに興味を覚え、シミュレーションリーグに参加する大森研究室でプログラミングの基礎を学びました。「まだまだ僕は修業中。このチームで求められるプログラミングのレベルは高いので、坂巻先輩の技術を学びながら、あきらめずに食らいついている感じです。ロボットは人間と違って忖度してくれないので、上手くいかない場合は自分の責任。なかなか厳しいです」と話す岡さんですが「このような大きな競技大会の参加は初めてなので楽しみ。シドニーの試合会場にいる自分をイメージして日々頑張っています」と笑顔で話してくれました。
「RoboCup2019世界大会」開催は、もう間もなく。南半球で勝利をめざす3チームへの熱い声援をよろしくお願いします!