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科学するTAMAGAWA 大自然と異文化に触れられるカナダ・ナナイモ校地

2011.11.25

カナダの大自然の中にある「玉川学園ナナイモ校地」。
そこでしか触れることのできない自然環境や、
そこでしか出会うことのできない異文化に触れられる環境を整え、
これからの社会に求められる国際感覚を育んでいます。

大自然の中に誕生した玉川学園の海外施設


カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー島のナナイモ市にある玉川学園の海外施設、それが「玉川学園ナナイモ校地」です。1976年に、玉川学園の国際教育や異文化交流の拠点としてスタートし、以来、数多くの児童・生徒・学生がこのナナイモ校地で国際経験を積んできました。「ナナイモ校地があるバンクーバー島は、カナダ西側の太平洋に位置する九州ほどの面積をもつ島で、海と山、そして豊かな森や湖が点在する自然に恵まれた土地です。こうした大自然の中で、安全に異文化を学ぶことができるのが、ナナイモ校地の大きなメリットといえるでしょう」。そう語るのは、教育企画部・カナダ法人担当の山路利英氏。今日までナナイモ校地の管理と現地プログラムの運営に携わってきました。

「当初は農学部の研究に使用できるよう、1年ほどかけて周辺の土壌や植物の調査、気象観測などを行いました。その後、農学部の学生が植物栽培や環境調査などを開始したのが、ナナイモ校地での学習プログラムのスタートです。当時の日本は、まだ海外に行って学習することが難しい時代でしたので、学生にとっては貴重な経験ができる画期的なプログラムだったと思います」と山路氏。現在ではその農学部をはじめ、学園全体のさまざまなプログラムが盛んに行われるようになっています。

日本と異なる環境で展開されるプログラム

現在ナナイモ校地では、玉川大学の農学部と教育学部、玉川学園の8年生の普通学級と国際学級(IB:インターナショナル・バカロレア)のプログラムが行われています。それぞれのプログラムについて山路氏は次のように話します。

農学部「生物環境システム学科では、2年生が必修で春と秋の2回に分け、カナダで4か月間学習します。主に学ぶ場所は、ナナイモ校地の近くにある提携校・バンクーバーアイランド大学(VIU)で、一部の授業ではナナイモ校地も利用しています。

「ナナイモでの学びで特徴的なのは、現地の植物や自然環境などを観察する『フィールドトリップ』といわれる野外学習です。カナダは緯度が高く、北へ行くほど適応する動植物の種類が少なくなります。それはつまり、人間の活動が自然界に与える影響が顕著に表れやすいということ。人と自然との関わりをダイレクトに学ぶためには、うってつけの環境です。また、東西の面積も広いカナダでは内陸部に行くほど気候が乾燥し、それに合わせて植物の種類も異なります。そうした日本では見ることができないダイナミックな自然の多様性を目の当たりにできるのは、大自然に囲まれたカナダならではの学びとなっています」。


一方、教育学部がナナイモ校地で行っているのは、野外教育演習という科目で、心の教育実践センター「Tamagawa Adventure Program(tap)」とのコラボレーションにて実施されているプログラムです。tapはアドベンチャー教育の手法を適用し、国立公園内でのバックパッキングを通して大自然の中で自身を見つめ、難関に挑み仲間と力を合わせ、目標に対して達成感を得るなど人間の成長にプラスとなる体験を身につけるための学びです。そして同時に、カナダにて環境教育の領域にも焦点を当てて、持続可能な社会と教育を考える機会を持ちます。「今年は9月初旬に約2週間、ナナイモ校地をベースにプログラムを行いました。基本的なプログラムは3泊4日のトレッキングを始め、すべての学生が企業からの奨学金で学ぶ『ピアソン・カレッジ』や、アニマルセラピー・園芸療法などを実施している施設など、日本では見られない教育システムを見学し、その多様性も学習しました」。将来、教育に携わる学生にとっては貴重な学びの環境です。

異文化に触れる学びを提供

「8年生のプログラムは、6日間にわたってカヌーイングやキャンピングなどの野外活動を行います。カナダでは自然が多く残されているだけではなく、国立公園として安全に大自然の懐へ踏み入っていける環境が整えられているのが特徴。そのため、都会に暮らす玉川学園の中学年の生徒が自然の中で学ぶには、最適の環境なのです。また、野外活動時の指導はすべて英語で行われます。日頃学習している英語が現地で通じるか試したり、現地の人の言葉を聞き取ったりすることで、異文化言語に対する興味や自信を培っています」。

「IBクラスは5日間の日程で、ナナイモ校地を拠点として海外のIB校と交流することが主な活動となります。今年はバンクーバーにあるIB校を招いて、環境に関する発表会も開催しました。日本では触れることのない異文化の環境に対する意識を目の当たりにして、大きな驚きを感じていたようでした」。

多様な異文化に触れる、カナダでしかできない経験

このように、それぞれに特徴があり、日本では体験できない学びにあふれているナナイモ校地でのプログラムですが、そこに共通するのは、多様な異文化に触れられることだと山路氏は話します。「カナダは移民が多く、アジア系、ヨーロッパ系、さらにカナダの先住民族など、さまざまな人種が混在しており、それぞれ考え方も生活習慣も異なります。日本のようにほとんど単一の文化しか持たない国では、こうした多様性に触れる機会は滅多になく、これからの国際社会を生きる子どもたちにとってはかけがえのない機会になるはずです」。

そこで、現地で働く職員として気をつけていることもあるといいます。「私たち日本人の職員も現地にいる間は英語を使用し、できるだけ異文化言語に触れられる機会を増やすなどの工夫をしています。また、カナダの人々は海外への関心が高く、日本の政治や華道・歌舞伎といった文化について質問されることが多くあります。私も聞かれてみて気づいたのですが、意外に自分の国の文化について答えられないのです。ですから、異文化交流は、自分たちの文化に改めて目を向けるという意味でも、非常に重要なのだと思います」。

国際教育の理念をさらに追求

今後は、現在のプログラムを発展させて、さらに充実した国際教育に取り組んでいきたいと山路氏は語ります。「現在はまだ、一部の生徒・学生のためのプログラムにとどまっていますが、一人でも多くの人に国際経験を積んでもらうために、プログラムの充実を図っていきたいと考えています。また、異文化交流を促進するために、より地元の方々と密接に関わることのできる機会も増やしたいですね」。

実際、ナナイモ校地がプログラムに使われていない間は、地域住民の集会所として施設を提供したり、東日本大震災が起こったときには、ナナイモ校地が募金活動の拠点としても機能していたといいます。「特にVIUとは長年の交流があり、玉川学園からは友好の印として日本庭園を寄贈し、逆にVIUからはトーテムポールを本学キャンパス(屋内プール横)に寄贈いただいた経緯もあります」。

ナナイモ校地を北米のベースキャンプとして、そこからさまざまな場所へ活動の機会を広げていきたいと山路氏は展望を語ります。「カナダ全域、あるいはアメリカも含めた異文化交流の拠点として、ナナイモ校地が機能すればいいと思っています。それが、ナナイモ校地の理想的なあり方であり、教育理念において『地球のあらゆる場所で行えるany placeの教育』を掲げる玉川 学園の目標です」。

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