科学するTAMAGAWA 大学・K-12 デンマーク体操部

2020.02.03

玉川学園では健康な心身をつくり上げる体操として「デンマーク体操」を取り入れてきました。

オレロップ体育アカデミーエントリーチーム来園時
(2015年)

発祥は、2020年に創立100年を迎えたデンマークのオレロップ国民高等体操学校(現オレロップ体操アカデミー)。

ニルス・ブック(1880~1950)

同校創始者であり、オリンピック・ストックホルム大会(1912年)のデンマーク体操団を指導したニルス・ブック(1880~1950年)によって考案されました。
その特徴は歩く、走る、伸ばす、かがむといった日常生活の動きを基本にし、調和のとれた心身の状態をつくるところにあります。

東京でブックを迎える小原夫妻

1930年、玉川学園創立者小原國芳と妻の信は、欧米教育視察の途中、デンマーク・オレロップに2週間滞在。小原は直接ブックから体操指導を受け、デンマーク体操の実践に感銘を覚え、玉川学園の教育に取り入れることを決意。翌1931年にニルス・ブック率いる体操チームを日本に招聘し、玉川学園でデンマーク体操を披露。その後全国40数ヵ所で体操の発表と講演を行いました。これを機に本学はオレロップ国民高等体操学校の「東洋分校」として認定され、以来現在に至るまで日本におけるデンマーク体操の研究と普及に尽力しています。

ニルス・ブック体操団が玉川学園で実演

現在、玉川学園におけるデンマーク体操の活動を担っているのは「デンマーク体操部」です。1945年に創部され、K-12の3年生から大学生までが活動しています。3~4年生は土曜日に開催されるデンマーク体操教室という形でデンマーク体操入門編に取り組み、課外活動として取り組んでいるのは5年生以上になります。
デンマーク体操は、ダンス、新体操、HIP HOPなど時代のトレンドを取り入れながらも、自然な動きを重視する基本体操として伝統的に守られてきた動作を大切にしています。

「体育祭では5年生から大学4年生までが力を合わせて演技を披露します。これもワンキャンパスの玉川学園だからできることですね」と話すのは大学のデンマーク体操部部長を務める工藤亘教育学部教授。
「全人教育が掲げている真・善・美・聖・健・富の中で、『健』を支えているのがデンマーク体操です。修得するプロセス、仲間との協力や切磋琢磨などを通した人間形成を重視しています。そして体操の経験を生かしていかに一人ひとりが人生を豊かにできるか、さらには体操を通して培われた健康な心身によって、さまざまな社会貢献に取り組んでいくことをめざしています」

OTD章授与式

オレロップ体操アカデミーでは、体操の修得者にオレロップ(Ollerup)と社会に奉仕する人(Delingsfφrere)という意味のデンマーク語の単語を組み合わせた「OD章」という称号を授与しています。東洋分校である玉川学園にも授与権が認められており、玉川の「T」を加えた「OTD章」が授与されています。
「社会貢献の例として大学デンマーク体操部の学生たちは東日本大震災の2年後、2年間にわたり被災地である石巻市で合宿を実施しました。現地の子供や保護者の方々と一緒に体操を楽しみ、学生たちも被災者との交流を通して多くのことを学びました。玉川学園でOTD章を授与された学生は、卒業してからも積極的に社会に貢献できる人に育ってほしいと願っています」(工藤教授)

2018年度体育祭での演技(2019年度は雨により中止)
旗手の手に掲げられているのはOTDの旗

中学部・高等部のデンマーク体操部を指導する宮崎純子教諭は、デンマーク体操の魅力を「誰でも気軽に取り組めること」と説明します。「デンマークでは全国民が健康のための身体づくりとして取り組んでいるものなので、動きがシンプルなのが特色。身体バランスを整え、神経回路を刺激して手足の動きの巧緻性を養います」
一人ひとりのペースに合わせて「やりたい時にできる」活動は生徒の自主性を育てます。
「ペガサス祭での発表では、デンマーク体操としての自然な表現を大切にしながら、見る人を感動させるパフォーマンスを自分たちで考えます。こうした経験を経て、生徒たちの表現力とオリジナルのパフォーマンスを構成する力が伸びていくのです」

最後に、デンマーク体操部の活動に楽しんで取り組んでいる生徒・学生たちの声を紹介します。

教育学部4年 日向亮大さん

高校まで柔道をやっていましたが「勝ち負けではなく、人が見て楽しめる運動がしたい」と考えて、大学からデンマーク体操を始めました。

柔道と共通する部分もありますが、全く違う部分もあり、新鮮な気持ちで楽しく取り組んでいます。得意技はヘッドスプリング(頭跳ね起き)。デンマーク体操部の醍醐味は、みんなで力を合わせて演技を作り上げる喜びにあります。部員全員が楽しんで取り組んでいますし、その演技を見て多くのお客様に感動していただいています。4月から小学校の教師になるので、子供たちにもデンマーク体操の楽しさを伝えてあげたいと思っています。

教育学部4年 鳥居博樹さん

姉が玉川でデンマーク体操をやっていた影響で自分も中学生から始めました。練習は自分がやりたい時にできる自由さがあり、楽しんで活動に参加しています。好きなのはミニトランポリンを使ったヒネリ技。こだわってきたのは体育祭で発表する跳び箱の上での倒立で、1年生の時は失敗して大泣きしたことも。それから猛練習を重ねてきました。とはいえデンマーク体操の魅力は特にスポーツ経験がなくても、気軽に始められるところだと思います。何か身体を動かすことをしたいと思っている人は、ぜひ参加してほしいと思います。大学から始めても十分です。

教育学部4年 青木優菜さん

4歳から器械体操をやっていたこともあり、小学生の時からデンマーク体操に親しんできました。ミニトランポリンを使った後方への宙返りと床運動のフリック(バク転+宙返り)にはこだわりがあります。

デンマーク体操部のいいところは、誰かに強制されるわけではなく一人ひとりが自分の目標を決めて取り組める点です。そして頑張っている人を周囲の仲間が応援してくれるいい雰囲気があります。昨年のNHK大河ドラマ「いだてん」でも水泳選手の準備体操のシーンでデンマーク体操が取り上げられ、部長の工藤先生が指導と時代考証を行い、デンマーク体操部員もロケに協力するという貴重な経験もできました。

11年生 菊岡彩さん

私の祖母は学生時代にデンマーク体操をやっていたそうです。私が玉川でデンマーク体操を始めたらとても喜んでくれました。なんといってもデンマーク体操の魅力は優美な動きにあると思います。

部活はマイペースで取り組めるため、勉強との両立も可能です。ペガサス祭、体育祭、コスモス祭などでの演技のアイデアを考えるのは楽しいですね。できればもっと発表の機会がほしいぐらいです。うれしかったことは、昨年、TBSラジオの番組から取材を受けて、私たちの活動を紹介できたこと。なんと女性アナウンサーが玉川のOGの方。番組の終わりに「歓迎の歌」を一緒に歌えて楽しかったです。

12年生 山口真愛さん

高校(10年生)に入学してすぐに12年生から誘われてデンマーク体操を始めました。デンマーク体操のリズミカルで柔らかい動きは見ているだけで面白いのですが、自分でやってみるともっと楽しい!

器械体操の経験を生かしながら、3年間でさまざまな技を修得していきました。得意技はロンダートからバク転につなげる技です。現在は受験生ですが、受験勉強との両立も無理なくできています。将来は音楽の道に進みたいと考えていますので、演奏家として必要な体力とリズム感を養うのにもデンマーク体操は役立つと思います。高校生は男子部員が少ないので、もっと男子部員が増えてほしいですね。

大学 コスモス祭での演技

K-12 ペガサス祭での演技