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「学士力」向上を図る 新たな教育のあり方

2011.05.25

大学で学んだことを社会の中でどう活かすのか。
21世紀社会で求められる力とは何なのか。
その答えを追い求めたのが、
玉川大学が取り組む新たな教育の形です。

大学で本当に身につけるべき力とは

小田急線の窓上広告にも当記事の概要が掲載されています

大学とは、「専攻分野の高い知識を身につける場」であると、これまで一般的に考えられていました。しかし現在では、必ずしもそれだけではなくなってきています。専攻分野に関しては基礎的な能力を確実に身につけていることが期待され、それと同時に、広くどんなことにも対応できる「汎用的な能力」を修得することが求められるようになってきているのです。

これには、製造業の機械化、海外の安い労働力への依存など産業構造の変化や、不況による就職難が一因になっていると、玉川大学教学部長の菊池重雄教授は語ります。「つまり、大学で『ある専攻分野』を学んでも、それと関係する仕事に就ける機会が少なくなっているのです。それに加え、現在、学問の世界は非常に高度化していて、大学で学んだことがすぐに通用しなくなることも珍しくありません。そう考えると、大学に必要なのは『どのような時代や社会であっても対応することのできる能力』を学生に修得させることなのです」。

社会に出て、どんな仕事に就いたとしても活かせる能力。その開発こそが、大学に求められていると菊池教授。「そこで玉川大学では、大学教育が果たす役割を見つめ直し、学生が時代と社会に対応できる力を身につけられるよう、履修システム、授業の方法、一つひとつの授業の質といった根本的な部分から改革を行っています」。

社会の発展と個人の幸福を結びつける

では、どういった力を身につければ、時代や社会に対応できるのでしょうか。その一つに、文部科学省が提案している「学士力」があります。これは、学生が大学4年間で身につけるべき能力として、専門知識や技能だけではなく、コミュニケーション・スキル、問題解決能力、自己管理能力、チームワークなどが項目化されたもの。玉川大学が考える時代と社会に対応できる力も、この「学士力」と同様の考えに立っているといえます。

「例えば、情報リテラシーもその一つです。コンピュータを使いこなし、情報を収集・分析できる力があれば、時代や社会が変わっても自力で情報を得て、社会の諸問題を解決する作業に関わることができます。また、自分の考えをきちんと伝えたり、人の考えをきちんと理解できるコミュニケーション・スキルも大切。読み、書き、聞き、話すという基本的な能力がなければ、どんな優れた知識も広く社会に活かすことができないからです」。

こうした考えの根本には、「現代のグローバル化された社会を生きる」という大前提があると菊池教授は続けます。「21世紀社会における国の発展は、自国だけで達成できるものではありません。世界のさまざまな人々と協力し、国境を越えて存在する問題を解決することが必要不可欠。世界が緊密に結びついた21世紀社会では、社会全体の発展を考えることなく、個人の幸福を考えることはできません。このような時代の大学では、個人の幸福と社会の発展の両方を常に意識できる人間を育てることが求められているのです」。

授業の内容も方法も履修システムも改革

学生が「学士力」を身につけるために大学教育はどうあるべきか。菊池教授は次のように語ります。「一方的に知識を詰め込むだけでは、『学士力』は身につきません。ですから、玉川大学では1年次から少人数制の授業でディスカッションや発表の機会を多く設け、人前で話す力、人を納得させる力、人の話を聴く力などを育てています」。

また、自己学習を習慣づけることも大切だと菊池教授。「大学の授業は、教室で1時間受講したら、その倍の2時間自己学習を行うことが最低条件として法令で定められています。例えば半期で20単位取得する場合、週40時間の自己学習が必要。21世紀社会では、『学習の質』が重要視されているのです。そこで、玉川大学では半期に20単位までしか履修できないシステムを作り、自己学習の時間を取れるようにしています。それに伴い、授業時間外に調べた結果を発表する機会を増やすなど、授業方法も工夫しています」。今後は上限を16単位に定め、1つの科目にかける時間をさらに多くすることも検討中だといいます。

21世紀社会の中で生きていく力を

菊池教授が担当する4年生のゼミにて

現在、経営学部・芸術学部・リベラルアーツ学部で取り組んでいる卒業要件としてのGPA制度を全学部に導入することも新たな取り組みのひとつ。「わかりやすくいえば、専門科目群の取得単位の平均評価が5段階評価(S・A・B・C・F)のB以上でなければ卒業できないシステムです。『学士力』を身につけるということは、21世紀社会を生きる人間として自律・自立して歩んでいけるということ。つまり、『大学での学びを通して社会に貢献できる力を身につけている』ことを証明するのが目的です。玉川大学では、来年度より全学部でGPA制度を卒業要件として導入する計画を立てています」。

今後も、こうした取り組みを大学全体で推進し、「学士力」を育てていくと菊池教授。「専門性を高めながら、時代や社会に対応できる汎用的な力を育てられるのは大学しかありません。これが、これからの大学に課せられた使命だと考えています」。

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