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芸術学部学生の自主制作の映像作品が評価され地域貢献に一役

2017.03.03

玉川大学芸術学部メディア・デザイン学科は、映像を専門に学べる環境が整っており、授業での課題や自主製作など日々映像制作に取り組んでいる学生たちがいます。2年生の光武樹さんが代表を務める映像制作チーム「Liberal creators(LC)」もその一つです。今回は彼らの制作活動をご紹介します。

とにかく映像が作りたかった

現場で機材をセッティングする光武さん(右)とLCのスタッフの高橋渉さん

光武さんは高校2年生の時に映像と出会いました。 文化祭のクラス企画で、当時流行っていた「バカッコイイ」映像を制作することになり、クラス委員長だった光武さんが企画を担当し、撮影しました。その映像が『面白かった』と評判を呼び、高校の学校説明会でも使用されるなど、予想以上の反響を得ました。光武さんは、高校の先生に「映像制作に向いている」と言われ、自身も「もしかしたら…」と次第に思うようになったそうです。
受験勉強の合間にYouTubeの動画を見ていたという光武さん。多くの映画や見たことのない映像コンテンツを見て、さらに映像に関心を持ち「自分だったらこう撮る」とまで考えるようになりました。そして「大学に入学したら、映像をやろう」と、玉川大学に入学しました。

コンテスト応募をきっかけに制作チームを編成

「2年生までは芸術全般の学びが多く、映像を実践する機会がありませんでした。それならば自ら作ろうと思い、入学前の映像も含めて取り組んだ作品を先生方に見ていただきました」。
作品を見ていただいた先生から「さがまちコンソーシアム」が主催する「神奈川年金基金」のCMコンテストの応募を薦められました。このコンテストは学生が企画を提出して、その中から選ばれた企画が映像を制作でき、テレビCMとして実際に放映されるというものでした。
「それまではただカメラを回していただけでしたが、そこで初めて、作品を作るのにはテーマが必要なことを知り、どう撮影すればいいかを考えるようになりました」。
一方、応募には2人以上のチームであることが条件でした。光武さんは、授業中たまたま隣に座っていた学生に声を掛けて、映像制作チーム「Liberal creators」(以下LC)がスタートしました。その彼は、光武さんが演技指導をしている間に現場では機材を組み立て、今では阿吽の呼吸で現場を回しています。
さらに、教室に並ぶ展示作品などを見て、感じるものがあった作品の制作者の学生に声を掛け、メンバーを増やしていきました。
「みんな『やりたい気持ち』が強く、基本的に賛同してくれました」。壮大なことではなく、一緒に楽しいことをやる。そんなLCのコンセプトに共感して、VFX(視覚効果)、音声、デザイン、作曲、美術担当など徐々にメンバーも増え、10人を数えるようになりました。
その後、光武さんは高校時代の先生の紹介で、舞台の演出助手などを経験し、舞台や映像の世界を垣間見て多くの刺激を受けました。
そして、コンテストに応募したCM作品は見事入賞し、TV放映されました。

その人たちが伝えたかったことは何だったか

その後、さがまちコンソーシアムから「町田市と相模原市によるオリンピックに向けた映像を制作しないか」との打診があり、12月から両市にゆかりのあるスポーツについての映像の制作を開始しました。
オリンピック、パラリンピックの知識が全くなかった光武さん。調べていくうち「障がい者スポーツの映像に携わってみたい」と考えるようになり、相模原市役所を通じて車いすバスケットボールのチーム『さがみフォース』の栗原選手を紹介してもらいました。「いろいろな話をしていくうちにポロッと『障がい者だからって、気にしてほしくないんだ』と話してくれました」。
初めて障がいのある人と向き合い、彼らがどんな気持ちでスポーツをやっているのかを考えました。そして「真に迫った彼らの姿を撮りたい。彼らが伝えたいことを、こちらにぶつけてほしい。それを僕たちが伝えたい」と考えるようになったそうです。
「障がい者スポーツを広める」という当初の目的から、「障がい者と健常者の壁をなくしたスポーツ大会の開催」「オリンピックとパラリンピックを分け隔てる必要はない」と作品のコンセプトも大きく推移し、映像作品「さがまちair」でそれを伝えました。
制作期間は1か月半と短く、パラリンピックを調べるだけでも時間がかかり、眠れない日が2週間続きました。土日は撮影にあて、月から金曜日までは撮影した内容をチェック。「授業も課題もあり、大学の音楽祭の時期だったので第九のドイツ語の歌詞も覚えながら取り組みました」と、当時の忙しさを振り返ります。

市長懇談会で世代を超えた人々の反応に手応え

完成した作品「さがまちair」は、町田市相模原市の首長懇談会で、さがまち学生clubが「障がい者と健常者が同じ競技の場に参加する『さがまちスポーツ大会』の開催」を提案するための資料映像として放映され、その趣旨を会場にアピールしました。
「本来はプレゼンテーションの場ではなかったのですが、両市長が映像や企画に非常に関心を持ってくださって。映像には人を動かす力があることを改めて感じました。自分たちと違う年代の人にも楽しんでもらえて、心の底からうれしかったです」。
この映像は放映される機会も多く、面識のない方たちからも声を掛けられることが増えました。そして「自分たちの力でよければ求められれば貸せるようにしたい」と光武さんは考えるようになりました。

首長懇談会では「さがまちair」の映像を使って
「さがまちスポーツ大会」の開催を提案
プレゼンテーションを終えた、
さがまち学生clubとLCのメンバー

そのほか、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向け、南アフリカ共和国のベリル・ローズ・シスル駐日特命全権大使がホストタウンとして応援する町田市を訪問した際、LCは町田市から訪問イベントの映像取材を託されました。小学校の訪問や薬師池公園内の古民家での野点、市役所での市長との懇談などを取材した映像を制作し、町田市役所の公式ホームページで公開されています。
「2日間、市役所からのタイムスケジュールに基づいて、一行を追いかけましたが、現場で一行の姿が見えず、予定よりも早く大使の車が入ってきて準備が間に合わなかったことなど、現場でしか学べない経験もすることができました」。

南アフリカ共和国シスル駐日特命全権大使による
市長表敬訪問を町田市庁舎市長公室で取材
町田市立第4小学校で一行の到着を待つ小学生を取材

結果的につながった社会貢献

薬師池公園の古民家での野点を撮影

最近は、市役所や地域の仕事以外にも映像制作の依頼が増えました。「映像はプロに発注すると多額の費用がかかり、二の足を踏む人も少なくありません。そして、映像を必要とする人は年長の方も多く、その目的は若者へのアピールだったりもします。『若者は何をカッコいいと思うか』。そういったテーマは得意ですから、映像制作で少しでも必要とする人の力になりたいと思います」。
「先生に『地域貢献をしているね』と言われたことがありますが、僕たちはその時に感じたことや、やりたいことを表現しているだけです。結果的に地域貢献につながっていることはとてもうれしいことです」
これからの大学生活、ずっとこの仲間と映像制作に取り組んでいきたいという光武さん。「完成まで時間のない時や、制作と授業や課題が重なったつらい時こそ、仲間に助けられています」。
「玉川大学のキャンパスの美しさは群を抜いています。奥には森もあり、反射がきれいな噴水は、まるで天然のレフ板のように撮れるので、素晴らしいロケ地です。卒業制作では、音楽祭で第九が歌われるようになった経緯をフィクションを交えて制作したら面白いね、とみんなで話しています」。
まだ見ぬ作品に思いを馳せる映像に魅せられた10人のクリエイター。今後の活動に期待が集まります。

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