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RoboCup(ロボカップ)2017名古屋世界大会に玉川大学から2チーム、K-12から1チームが出場!

2017.07.12

2006年にスタートした玉川学園の「玉川ロボットチャレンジプロジェクト(TRCP)」は、大学の先進的なロボット研究の成果をK−12の教育に活かすプロジェクト。その活動の一つの柱が、世界的なロボット競技会RoboCup(ロボカップ)への参加です。今年は7/27~7/30まで世界大会が名古屋で開催されます。玉川大学からは2チーム、K-12から1チームが出場。今回は大学チームの出場にかける意気込みと抱負を聞きました。

2050年、人工知能が人間の世界王者に勝つ!?

感情認識のヒューマノイドロボットPepperが店舗やイベント会場、家庭などで活躍するなど、20世紀に『鉄腕アトム』で描かれた人間とロボットが共生する社会が現実化しつつあります。特に近年、人工知能(AI)技術の急速な進歩により、ロボット自ら新しい情報や行動を学ぶなど、アニメのイメージに近い人間の良き友人・パートナーとなるロボットの出現も間近であり、人間とスポーツを楽しむロボットさえ夢ではありません。

ロボカップとは、「2050年に自律型ロボットでサッカーのワールドカップ・チャンピオンに勝つ」ことをめざすという壮大な目標を掲げたロボット競技大会。20年以上前に日本の人工知能研究者たちが立ち上げ、1997年の第1回世界大会(名古屋)以降、世界各国で世界大会を開催。21回目となる今回は、第1回大会と同じ名古屋で開催されることになりました。

ロボカップは、サッカーの試合を行う「ロボカップサッカー」のほか、日常生活の場においてロボットがさまざまな作業を遂行することを競う「ロボカップ@ホーム」、災害救助にロボット技術を活かす「ロボカップレスキュー」、さらに次世代ロボット技術者となる子供たちへの教育に重きを置いた「ロボカップジュニア」なども実施されています。

1年生主体のチームで世界にチャレンジ!

工学部情報通信工学科の岡田浩之教授が指導するチーム「eR@sers(イレイサー)」が、「@ホーム」への挑戦を続けてきました。岡田教授はロボカップの発案者の一人でもあり、今回は大会実行委員長も務めています。
「玉川大学は2008年より@ホームに参加しており、これまで2008年と2010年に世界大会での優勝を果たしています。昨年のライプツィヒ(ドイツ)大会では、惜しくも4位でしたが、革新的な技術に対して授与されるイノベーションアワードを受賞しました」と岡田教授。

買い物や留守番、家の中のお手伝いなど1週間で10種目を競う@ホームは、人工知能(AI)をどのように活用するかに重点が置かれ、高度なプログラミング技術を磨く場になっています。当初玉川チームは自作ロボットで参加していましたが、現在はトヨタ自動車との共同開発による高性能ロボット(愛称はチーム名と同じ「eR@ser」)を使用しています。今年のモデルは昨年の世界大会に出場したロボットと外見は同じですが、中身はなんと“40世代”近く進化しているそうです。

@ホームに出場するロボットに求められるタスクは、年々高度化しています。たとえば従来「棚からペットボトルを取り、空いている別の棚に置く」だったタスクが、今回から棚に扉が付き、ロボットが扉を開閉する動作も新たに加わりました。岡田教授によると、ロボットのプログラミングの8割は、失敗=エラー処理に費やされるそうで、新しい動作が増えれば、それに伴う膨大なエラーを想定しなくてはなりません。競技中に起こるあらゆる状況を想定しながら、一つひとつクリアしていく……学生たちは大会の直前までプログラム修正に没頭していますが、最終的な確認は現地でなければできません。試合前の2日間はその最終確認のために費やすそうです。

「ロボカップ世界大会2017」イノベーションアワード受賞時

メンバーの一人、坂巻新(あらた)さんは、玉川学園5年生の時からロボット部に所属し、12年生の時にロボカップジュニア日本大会2014サッカー独自リーグで優勝経験を持つ情報通信工学科の1年生です。
「ロボット研究を行うために玉川大学工学部に進学しました。人工知能のプログラミングは、一度ではなかなか上手くいかず試行錯誤の連続ですが、そこが面白い。ロボット自体はトヨタ製で完成度が高いので、ロボカップではまさに私たちのプログラミング力そのものが問われると思います」

同じく情報通信工学科1年生の小池亮太朗さんは、工業高校の頃から独学でロボットやプログラミングについて学んでいたそうです。
「あくまでも自己流の独学なので、本格的にロボット研究に取り組み始めたのは大学入学後です。先輩たちがプログラミングの基礎からていねいに教えてくれます。『eR@ser』は物体認識の能力に関してはかなり高い能力があると思いますので、ぜったいに優勝したいですね」

昨年、ライプツィヒ世界大会の出場メンバーだった4年生の岩淵佳さんは、そんな後輩たちを温かい目で見守っていました。
「今回の大会はアドバイザーとして現地に同行しますが、主役は1年生たち。入学して半年も経っていない彼らの向上心や学ぶ姿勢には感心させられっぱなしです。経験不足・知識不足の部分も互いに教え合うことで補っており、チームワークもバッチリ!十分、優勝を狙えるのではないかと思います」
続けて岡田教授も太鼓判を押します。
「今回は1年生主体のチームですが、入学式の日から研究室を訪ねてくるほどの熱心さで、怖いもの知らず(笑)の学生ばかり。国内開催の利もありますので今回は好成績を期待できると思っています。目標? もちろん優勝です!でも、学生たちには内緒ですが、万が一、勝てなくても“失敗する体験”は未来のロボット研究者・技術者としてかけがえのないものになるはず。先輩たちもたくさんの悔し涙を流して成長してきたのですから」

後列左から
長瀬 夕佳さん(工学部機械情報システム学科4年)、岩淵 佳さん(工学部機械情報システム学科4年)、渡辺 敦裕さん(情報通信工学科1年)、岡田教授、小澤正憲さん(工学部エンジニアリングデザイン学科)、大沢 美歩さん(情報通信工学科1年)
前列左から
横山裕樹さん(脳科学研究所研究員)、坂巻 新さん(情報通信工学科1年)、eR@ser、小池亮太朗さん(情報通信工学科1年)

eR@serの特徴を紹介!

上下に伸縮可能。指示された物を判別し、ロボットが自分で考え物をつかむことができる。吸着機能も持ち、薄い紙でもつかむことができる
円形型で小回りが効き、移動がスムーズ

人工知能イレブンが連携しながらプレイする


一方、「ロボカップサッカー」のシミュレーションリーグには、工学部情報通信工学科 大森隆司教授の研究室が産業技術大学院大学との合同チーム「HILLSTONE(ヒルストーン)」として参加します。シミュレーションリーグは、コンピュータ画面上でプログラムされた人工知能の選手たちがサッカーの試合を競うというもの。人間のサッカーと同様、1チーム11人で構成され、前半後半と各5分の試合が行われます。一見するとコンピュータのサッカーゲームに見えますが、ゲームは全体が一つのプログラムであるのに対し、シミュレーションリーグは選手一人ひとりが独立したプログラムになっています。そのため、個々の選手=プログラムにはフォワード、ミッドフィルダー、ディフェンダー、ゴールキーパーなどといった役割が割り振られており、体力も選手によって異なります。そうした個の力の中にチームとしての協調作業を埋め込んでいくのが、シミュレーションリーグの面白さであり、難しさだと大森教授は言います。
「人間のサッカーと同じく、パスを出すと同時にスペースに走り込むなど、チームが意図を共有して連動したプレイができるようになることが理想。世界大会に出場する強豪は攻撃力と守備力のバランスが良く、相手チームの特性に合わせてプログラミングを修正してくることもあります。『HILLSTONE』も着実にチーム力が向上していますので、今大会では好成績を期待したいですね」

玉川大学代表として出場する4年生の木浦豊治さんは、それまでスポーツ経験は空手と卓球しかなく、サッカーはロボット研究を始めてから詳しくなったといいます。
「ロボットに関してはアニメの影響で大学に入学する前から興味がありました。入学後、人工知能の勉強会に参加したことをきっかけに大森先生の研究室に入り、ロボカップにも参加するようになりました。世界大会で戦えるということが何よりもうれしいですね。プログラミングは思いのほか悪戦苦闘しましたが、自分なりに安定した力を発揮できるチーム作りができたのではないかと思います。就職活動も終了し、今は100%大会に力を注いでいます」

大森教授は学生がロボカップに参加する意義について「一つのことにのめり込む体験」にあると言います。
「ロボカップ競技に勝つための解答はどこにもありません。自分の頭を振り絞って誰も考えていない方法を必死で考え抜くことが求められます。この経験は社会に出てからもきっと活かされるはずです」

左から 伊藤 大雅さん(工学部機械情報システム学科2年)、大森教授、木浦 豊治さん(工学部機械情報システム学科4年)
※伊藤さんは今回の大会を見学し、次年度からシュミレーションリーグを引き継ぐ

K-12のサイエンスクラブの1チームもこの世界大会のロボカップジュニアリーグに出場が決定しました。開催まであと2週間。ベストを尽くし、大会に臨んでほしいと思います。3チームの学生・生徒に温かい声援をよろしくお願いします。

K-12 サイエンスクラブ「玉川サイエンス」がロボカップジュニアに出場!

「ロボカップジュニア・ジャパンオープン2017ぎふ・中津川」開催時

K-12のサイエンスクラブは、社会に役立つレスキューロボットを製作することを活動の1つに置き、日々研究を重ねています。今回、同時開催されるロボカップジュニア大会(11歳以上19歳以下対象)に8年生の西岡英光さんと中川賀絵さんのチーム「玉川サイエンス」がレスキューの種目で出場することになりました。この種目は、ロボットが様々な障害をのりこえて被災者を無事に見つけ出す競技です。
「私たちのロボットは、足回りにクローラーを装備しているところが特徴です」と話してくれたのは、西岡さん。

他のチームではあまり取り入れられていない小回りの効くクローラーを使用することにより、どんな段差でもスムーズに乗り越えられるよう工夫されています。車体に合わせた回路の製作は中川さんが担当。「玉川サイエンス」は、今年3月に開催されたロボカップジュニア・ジャパンオープンに初出場ながら見事準優勝を果たしました。「世界大会に出場できることになり、とてもうれしいです。目標は、これまで出場したクラブの先輩方の成績を超えること。海外のレベルを感じながら、日本の代表としてがんばりたいと思います」と意気込みを語ってくれました。

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