ベルリン・フィルとの教育交流、その告知ポスター制作を、芸術学部と教育学部の学生が担当しました。
玉川学園では平成29年度小原國芳教育学術奨励基金助成事業として、「玉川—ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団員教育プログラム2017」を11月22日(水)に開催します。1998年から続いているベルリン・フィルハーモニー管弦楽団員との教育交流は、玉川学園の「本物から学ぶ教育の伝統」を表したものといえます。そしてそれは、演奏などの交流に留まらず、さまざまなかたちでの教育の機会として生かされています。
その一つにこのプログラムを告知するための広報物制作があります。今回はポスター・プログラムの表紙デザインを芸術学部メディア・デザイン学科の田村将希さん(3年)が、題字を教育学部教育学科の杉江大輝さん(3年)が担当。今年度のプログラムのテーマである「芸術で探検」という文字を毛筆を使って力強く書いた杉江さんの題字に、田村さんがグラフィカルな処理を施して一つの作品へと仕上げました。今回はこのポスター・プログラムの表紙制作に携わった二人の学生に話を聞いてみました。
「つながりのわ」をコンセプトに、交流と融和を表現田村 将希さん(芸術学部メディア・デザイン学科3年)
ポスター制作は初めてでしたし、“何を一番に伝えるべきか”や情報の配置など、やることはたくさんありました。また、歴史ある教育プログラムということもあり、依頼を受けた当初は「自分でいいのだろうか」ととても不安でした。
そうした中でコンセプトの軸に据えたのが「つながりのわ」です。一つ目の「つながりのわ」は、芸術による交流です。多様な価値を認め合う調和的な未来への願いを、輪が波紋のように広がり、共鳴して新たなハーモニーとなるデザインで表現しました。二つ目の「つながりのわ」は、世代を超えた融和です。杉江君が書いた書に、低学年の児童が描いたカラフルな絵を組み合わせて、芸術の力で未来を探検する様を表現してみました。またポスター全体に、ベルリン・フィルのコーポレートカラーであるイエローを使いました。制作過程では苦労も多かったのですが、先生の丁寧なご指導もあり、形にすることができました。メディア・デザイン学科ではさまざまな分野について学んでいて、現在はグラフィックデザインをメインに学んでいます。依頼主の要望に応えながら自分なりの考えを提示できるようになりたいです。
見た人に伝わり、投げかけ、響く文字に杉江 大輝さん(教育学部教育学科3年)
お話をいただいた当初は「自分にそんな大役が務まるのか」と不安に感じましたが、「与えていただいたチャンスを、逃してはいけない」という想いで引き受けさせていただきました。まず心がけたのは、日本らしさを出すことです。「芸術」「探検」という文字の原形を残しつつ、いかに崩し、いかに遊ぶかを筆を通して表現しました。文字の一部分で楽器や音符で表現したりして、100枚以上書きました。そして最終的にこの書にたどり着きました。書道は手先だけで書くのではなく、身体全体を使って書きますが、これは楽器の演奏にも通じることなのではないでしょうか。手先や口先だけでも音は出ますが、より聞き手に伝え、投げかけ、そして響かせるためには、書道と同様に身体全体を使うのではと考えました。型にはめようとせず、自分らしく堂々と、見た人に想いを伝えるように書きました。そうやって書き上げた題字を、田村君がこんなにも輝かせてくれて、今は驚きと感謝でいっぱいです。教育学部では、どのようにすれば相手に自分の意思を伝えられるかを学んできましたが、今回は書道を通して伝えられたのではないかと思います。その成果として、この夏、師範の資格を取ることもできました。「継続は力なり」とはまさにこのことだと思いました。
普段の授業とは異なる表現の機会を得た二人。その作品は、現在学園内の掲示板等で見ることができます。