キャリア形成やダイバーシティ。セブン-イレブン・ジャパン取締役として活躍する卒業生、藤本圭子氏による学友会寄附講座が開催されました

2018.03.15

玉川大学・玉川学園学友会では卒業生を対象とした行事を企画するだけでなく、現在玉川の丘で学んでいる学生や生徒たちに向けた在学生支援を行っています。そうした支援の一つに寄附講座があり、毎回卒業生を中心としたさまざまな方をお招きし、講演会などを開催しています。12月13日(水)には文学部英語教育学科の1年生を対象に、株式会社セブン-イレブン・ジャパンの藤本圭子さんによる特別講座が行われました。

この日のテーマは、「私のこれまでの歩み」と「ダイバーシティ」です。藤本さんは玉川大学文学部外国語学科を1979年に卒業し、エンジニアリング会社、外資系ホテル勤務を経て1988年に株式会社セブン-イレブン・ジャパン(以降、セブン‐イレブン)に入社。入社後は主にカリスマ経営者として知られた鈴木敏文氏の秘書としてサポートしてきました。そして現在は取締役常務執行役員ダイバーシティ推進部長として、会社を牽引する役割を担っています。

藤本さんのお話はセブン-イレブン、そして小売業全体に関することからスタートしました。私たちにとって非常に身近な存在であるコンビニエンスストアですが、取り巻く環境は藤本さんが入社された当時と大きく変化しています。「特に大きく上昇したのが少子高齢化と女性の就業率です。同時に単身世帯数も増えていますね。その一方で小売店の数は1982年の172万店をピークに、2014年には100万店まで減少しています」と藤本さんは語ります。こうした中で有識女性や高齢の方は、毎日の買い物を遠くまで行くことが難しく、単身世帯では素材から料理を作るのは手間がかかり、経済的ではないということが起きてきました。そこで、セブン-イレブンでは2009年から「近くて便利」をコンセプトとした店作りに着手。店頭のラインナップもおにぎりやお弁当といったすぐに食べられる商品が中心だったものから、卵や牛乳といったスーパーマーケットで販売しているような商品にも力を入れるように。このような取り組みの結果、それまで男性の利用客が多かったコンビニエンスストアですが、女性客の比率が増加。さらに50歳以上が4割を占めるなど、客層にも変化が見られるようになりました。そして藤本さんが入社した当時は約4,000店だった店舗数が、2017年末には約20,000店にと、日本を代表する企業へと成長しました。

そして現在、藤本さんが取り組んでいるのがダイバーシティの推進です。ダイバーシティとは、人種や国籍、宗教、障害の有無などの多様性を受け入れ、その多様性を生かすことで組織としての力を発揮していこうというもの。「そしてこのダイバーシティの一丁目一番地が女性の活躍推進です」と藤本さんは力説します。まだまだ日本は男性社会で、それを象徴しているのが女性の労働力率を年齢別に示した表です。この数値は20歳代で一旦ピークを迎えた後、30歳過ぎで落ち込み、子育てが一段落する40歳代を二度目のピークとして再度上昇し下がっていきます。アルファベットのMのような形状から「M字カーブ」と呼ばれており、日本独特のものだそうです。「日本の成長のためには女性の活躍が不可欠です。是非この30歳代の労働力率の落ち込みを解消したいと思っています。一説には、この落ち込みを解消すればGDPが16パーセント上昇するという試算もあります」。セブン-イレブンでも、ダイバーシティに関するさまざまな意見を取り入れるために社内セミナーを開催したり、祝日の保育実施や在宅勤務ができるような環境を整えているそうです。「‟ワーク・ライフ・バランス”という言葉がありますが、私はその言葉より‶ワークライフ・シナジー”を提唱しています。仕事と生活が共存共栄することで、相乗効果を生み出すことが大切です」。

最後に藤本さんから学生たちに、「社会人になったら、二つの預金を作ってください。一つは職務を達成することで得られる『成果預金』。これは信用につながります。そしてもう一つは『人間関係預金』です。培った人間関係から得られる力は計り知れません」などのメッセージが送られました。

また、講演終了後には質疑応答の時間がありました。「転職時のポイントはどのようなことだったのでしょうか?」という男子学生からの質問には、「最初の会社は、まだまだ男性中心の会社でした。そのため、転職を考えたのですが、大切なことは自分の市場価値を常にきちんと見極め、今の自分の強みと弱みを考えることだと思います」との回答がありました。また「お話をうかがって、どんな仕事でも課題をもって取り組むことが大事だと感じました。ただ、それを続けるのはなかなか難しいと思うのですが、意識していたことはありますか?」という女子学生からの質問には、「私がいつも大切にしているのは、『人生の最も苦しい いやな、辛い、損な場面を 真先に微笑をもって担当する』という玉川学園のモットーです。この教えがあったからこそ、自分はここまで来ることができたと思っています」と答えてくださいました。

参加した学生に感想を聞いてみました。「両親がセブン-イレブンを経営しているので非常に興味がありました。お話をうかがってみて、どんな仕事にも課題をもって取り組む姿勢が成長につながるのだと感じました(女子学生)」。「印象に残ったのはダイバーシティに関する考え方です。コンビニエンスストアはお客様に安全・安心を届けることが重要だと思うのですが、従業員にも同じようなことを感じてもらうことが、これからの企業経営では大切なのだなと思いました(男子学生)」。多岐にわたったお話の中に、それぞれの学生に響くメッセ―ジがこめられていたようです。

ビジネスの最前線で活躍する藤本さんのお話は、英語教員志望者の多い英語教育学科の学生に民間企業で転職をしながら、また社内で多様な職務を経験しながら自己実現していくという、新たな働き方を提示してくださいました。またダイバーシティの推進はグローバルな課題であり、2年次に長期海外留学が課せられている英語教育学科の学生たちが学んでおかなければならないことです。「働き方改革」が推奨される今、1年生にとって、自身のキャリア形成や、将来に向けて学生時代に何をするべきかを考える有意義な機会になりました。