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玉川大学APフォーラム2017「教職課程におけるアクティブ・ラーニングと学修成果の可視化」を開催しました。

2018.03.29

2018年3月7日(水)、玉川大学大学教育棟 2014において、玉川大学AP(大学教育再生加速プログラム)フォーラム2017「教職課程におけるアクティブ・ラーニングと学修成果の可視化」が開催されました。

いま、初等・中等教育の学校現場ではICT機器の活用を含めた「主体的、対話的で深い学び」の実践が教員に求められています。すでに大学ではアクティブ・ラーニングの導入が図られ、教員養成課程で学ぶ学生たちもアクティブ・ラーニングの授業を受けています。しかし、それを受講した学生たちが教育現場で十分にアクティブ・ラーニングの担い手として活躍できているとは言い難いのが現状です。

このフォーラムでは教員養成機関である大学から初等・中等教育における「主体的、対話的で深い学び」の現在までを俯瞰しながら、アクティブ・ラーニングの今後を展望。当日は大学・短期大学の教員養成に関わる教職員や高等教育関連企業の関係者など約50名が全国から来場し、講演や事例報告に熱心に聞き入っていました。

フォーラムは以下の3部構成で開催されました。

①基調講演「アクティブ・ラーニングをどのように推進するのか」

まずはじめに、玉川大学教師教育リサーチセンター長を務める森山賢一教育学部教授による基調講演が行われました。森山教授は、アクティブ・ラーニングは単体で考えるのではなく、文部科学省による学習指導要領全体の中に位置づける必要があることを指摘。次期学習指導要領が志向する「社会に開かれた教育課程の実現」においてアクティブ・ラーニングに与えられた役割や課題について考察しました。

続いてわが国のアクティブ・ラーニングが、社会人基礎力を求める経済界の要請で高等教育からスタートしたことを中教審の答申を時系列でたどりながら解説。一方で「大正自由主義教育」「第二次世界大戦後の新教育」ですでにアクティブ・ラーニングと同様の教育における諸課題に言及し、アクティブ・ラーニングの重要性について、これまでの日本の歴史の中で認識されていたその背景にもふれました。

最後に、これからの教員はどのようなスタンスと方向性でアクティブ・ラーニングに取り組んでいくべきかという学習指導論的な考察を紹介。初等・中等教育における学習プロセスを大切にした「わかる授業」のポイントと課題、大学の教員養成課程におけるアクティブ・ラーニングとカリキュラムマネジメントにおける諸課題について体系的に解説しました。

②事例報告 実践フィールド校における「主体的、対話的で深い学び」の取り組み

事例報告では、初等・中等教育の学校教員であり、独立行政法人教職員支援機構次世代型教育推進センターで研修協力員を務める3人の先生方が登壇。

全国にある実践フィールド校で行われている「主体的、対話的で深い学び」を図る授業改善のさまざまな実例について動画を交えて紹介し、「体のアクティブ化から頭もアクティブ化へ」「形だけの振り返りから学んだ手応えの自覚へ」「本時レベルから単元レベルの学びへ」「ひとりの授業改善からみんなの授業改善へ」といった、アクティブ・ラーニングを踏まえた授業改善のポイントについて教員の立場から解説を行いました。

稲岡寛 氏
宮迫隆浩 氏
織田克彦 氏

学齢や教科が異なるいずれの授業事例も、児童・生徒たちが学びの主役は自分たち自身であることを自覚していく過程が明確で、子供たちの資質・能力を引きだす授業づくりやその成果、そして児童・生徒の生の声は会場の教員養成関係者に深く響いていたようでした。

③教員養成課程におけるアクティブ・ラーニングと学修成果の可視化

玉川大学教育学部の田畑忍准教授は、教員養成課程で用いるアクティブ・ラーニングの技法とその学修成果について、担当する授業での実践をもとに報告されました。まず先が見えない現代社会において、一人ひとりが主体的に考え、他者と協働しながら新たな価値の創造に挑むために必要な能力を育むことの重要性を指摘。そのためにはさまざまなアクティブ・ラーニングの技法を適切に使い分けることが必要であり、教員養成課程で教える立場として、学生に“アクティブ・ラーナー”になってほしいという思いで授業に取り組んでいると述べました。

田畑准教授が担当する教員養成課程の授業「教育の方法と技術」では、授業に参加する学生全員が話し合いをスムーズに進める「ファシリテーター(促進者)」としての役割が求められます。その方法である「ファシリテーション」はいま教育現場において注目されている考え方で、田畑准教授の授業では議論を段階的に踏ませる「シンク・ペア・シェア」、講義内容を動画化して事前学習させる「反転授業」、紙芝居型のプレゼン「KP法」などの技法で学生の多くがファシリテーターとしてアクティブ・ラーニングを実践していることを紹介。その際に評価基準を示すことで学生は見通しを得て積極的に学ぶことができ、今後はより明確な評価基準を示すことでさらに学生のモチベーションを引き出す学修環境を構築していきたいと語りました。

玉川大学では、第1回目のAPフォーラムは大阪府立大学、長崎大学との合同開催、そして第2回目に続き第3回目となる今回も、本学単独での開催でしたが多くの方にお越しいただき、改めてアクティブ・ラーニングに対する教育界の関心の高さが浮き彫りとなりました。まだまだ課題が残るアクティブ・ラーニングの実践。本学はこれからも全国の高等教育関係者や初等・中等教育の現場と連携しつつ、アクティブ・ラーニングを実践していきたいと考えます。

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