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玉川大学 読売新聞社立川支局 共催 連続市民講座第1回 「いまどきの子育てで大切なこと〜母親・父親・祖父母のあり方を考える〜」

2018.04.27

2018年4月より玉川大学では、読売新聞立川支局と共催の連続市民講座「進む大学研究 最先端の現場から」がスタートしました。この公開講座は玉川大学8学部・研究所の先生方が講師を務め、12月まで全11回、それぞれの分野での“最先端”についてわかりやすく講義します。

専門家なのに、よい父親・夫ではなかった!

4月14日(土)、記念すべき第1回目の講義は教育学部・大豆生田(おおまめうだ)啓友教授による「いまどきの子育てで大切なこと~母親・父親・祖父母のあり方を考える~」でした。

幼児教育の専門家としてメディアにも登場する大豆生田教授は、3人の子供の父親であり、また幼稚園教諭として多くの園児たちと接してきました。講義はまず自己紹介から始まり、専門家であるはずの自身の子育てにおける「こんなはずじゃなかった」という“失敗体験”を入口にして「現代の子育てはなぜ、難しいのか?」というテーマにつないでいきました。
大豆生田教授の“失敗体験”とは、母親にどれだけ子育ての責任が重くのしかかっていたかを十分に理解せず、「自分はイクメンで良いお父さん」だと思い込んでいたことだったそうです。当時、奥様から言われた「あなた、子育てしているつもりなんだ?」という言葉に不快感を覚えた教授でしたが、その体験をきっかけに自身の子供との接し方を見直しながら現代ならではの子育ての問題点へたどりついたそうです。

講義ではその問題点について、まず「『サザエさん』の時代と現代」を比較し、本来、人間の子育ての特徴は「群れによる育児」であり、かつては、父親はもちろん、家族、近所の人たちなど地域ぐるみで子育てをしているのがふつうで、母親一人にこれほど育児の責任が集中しているのは社会構造が変わったここ数十年でしかないことを解説。現代の子育て支援で重要なのは、こうした孤立した状況に悩み、途方に暮れているママたちを「わかってくれる誰か」、また「手を貸してくれる誰か」がいることであると指摘し、今こそ地域の子育て支援活動や社会全体で子育てする仕組みが重要であると受講者に語りかけました。

子供は「遊び」を通して生きることを学ぶ

続いて、乳幼児期の子供を育てる上で重要なのは、子供主体の遊びの中で身につけるやる気や忍耐力、自尊心、社会性といった「非認知能力(社会情動的スキル)」であることが近年の研究でわかってきたと紹介。日本の親が熱心な早期教育より、「夢中になって遊べる時間と環境」を子供たちに与えることの方が小学校以降の「学びに向かう力」や「生きる力」の源泉となることが明らかになってきたそうです。そして乳幼児期に「遊び込む」体験の中で親や先生、友達に認められる成功体験をすることが、やがては子供たちの「自己肯定感」を育むことにもつながっていくということです。

最後に大豆生田教授は母親、父親、祖父母が育児へ関わることの意義と留意点についてレクチャーしました。特に家事・育児への参加率は先進国で最低という日本の男性に向けて、父親が育児に関わることで母親(妻)と子供への好影響はもちろん、家庭における自分自身の幸せにもつながると、会場の男性たちへメッセージを送りました。祖父母の立場としては、育児の主体はその子供の親であることを忘れず、見守るような気持ちでサポートしてほしいと語りました。

ともすれば重くなりがちな話題も、大豆生田教授は自身の子育て体験と専門家としての知見に基づいて、軽妙な話術でユーモアを交えながら語りました。当日、会場となった「大学教育棟 2014」521教室には子育て現役世代から祖父母の世代まで幅広い年代の受講者が集まり、約1時間半の講義に最後まで熱心に耳を傾けていました。

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