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大学における知的財産の在り方について、特許を取得した教授陣によるセミナーを開催

2019.02.05

12月21日(金)、大学教育棟 2014において「第2回知財セミナー 研究と特許」が開催されました。玉川大学では教育研究活動により蓄積された研究成果や発明などを広く世に公表し、学術文化の増進を図り社会に貢献することを目的として、2005年に知的財産本部を設置。知的財産の活用に関する方針や戦略の策定、管理などを行っています。また発明や特許に関する知識や認識を深めることを目的に、定期的にセミナーも開催してきました。会場となったアカデミック・スクエアにも、教職員だけでなく大学生や大学院生の姿が見られ、知的財産に関する関心の高さがうかがえました。

菅沼弁理士

この日のセミナーは弁理士の菅沼和弘氏をモデレーターに、脳科学研究所の礒村宜和教授、学術研究所所長で知的財産本部課長の大森隆司教授、量子情報科学研究所の廣田修客員教授、農学部の渡邊博之教授がパネリストとなり行われました。菅沼氏は正林国際特許商標事務所で弁理士として活動する傍ら、玉川大学知的財産本部のコンサルタントとして、研究内容や特許出願、産学連携といった際にアドバイスを行っています。
セミナーは、まず菅沼氏による「そもそも発明とは何を指すのか」といった定義づけから始まりました。その上で特許法の説明が行われたのですが、「では、大学で特許を取得した場合にはどうなるでしょうか。大学自体で事業化することはできませんから、ライセンスや譲渡という形式で企業が事業化することになります」と菅沼氏。実際に日本でも2013年には大学の特許収入の総額が初めて20億円を突破しました。それでもアメリカなどと比較すれば、数十分の一でしかないと菅沼氏は語ります。
そしてこの金額の違いは、日本の企業の得意分野、不得意分野にも関係があるとする菅沼氏。「分かりやすい事例が携帯電話とスマートフォンです。携帯電話は日本企業のヒット商品でしたが、彼らはその商品の機能を追加するといったインプルーブメント(成長)しかできなかったわけです。けれども海外のメーカーはそれをスマートフォンへとイノベーション(発展)させた。前者が樹木を大きく育てると考えるなら、後者は蛹を蝶へと育てるようなもの。そして日本企業が得意なのは前者なんですね」。
前者に含まれるライセンス料は年々下がっていきます。またモデルのサイクルも短くなっているため、ライセンスを活かす期間も短くなります。そうした部分にも、日本の特許ビジネスの課題があるのかもしれません。

菅沼氏による説明の後、実際に大学ではどのような研究に対して特許を申請しているのかを、現場の先生たちに説明してもらいました。礒村教授は動物実験に使用する装置の特許を取得した例を紹介。大森教授は現在出願している、行動を撮影することで個人の関心の度合いを測るセンサについて紹介。廣田客員教授は2018年10月に特許を取得した「画像処理装置及び方法、並びに、プログラム」についても紹介。近年世界的に注目を集める自動車の自動運転技術に欠かせない、悪天候にも対応できる高精度な障害物検知技術であり、既に自動車メーカーと共同で、自動運転用レーダーカメラの開発も進められています。また渡邊教授は産学連携でLEDによるレタス栽培を行っていますが、そこで使用されるLED装置に関する特許を紹介しました。また動物実験を行う礒村教授が大森教授のセンサに関心を示すといった、意見交換も行われました。

礒村教授
大森教授
廣田客員教授
渡邊教授

先生たちによるパネルディスカッションの後に質疑応答の時間があり、学生からは「研究室で行っている自分の研究がもし特許を取って収益が出た場合、それは大学や研究室のものですか? それとも自分のものですか?」といった質問があり、菅沼氏が「これは大学や企業の規定にもよりますが、特許を受ける権利は大学に帰属するという決まりがあります。ただ、大学に帰属するから何もないというわけではなく、何らかの対価を支払わなければなりません。そうしたルールは今後作っていくといいのではないでしょうか」 といったアドバイスがありました。また、特許の仕組みだけでなく「玉川大学が持つ素晴らしい特許について知ることができて良かった」、「自動運転用レーダーカメラにとても興味を持ちました」といった感想も、学生からは聞くことができました。

  • 本学では「学校法人玉川学園職務発明等規程」「同細則」により定められています。

特許取得の現状や玉川大学の知的財産管理の姿勢などについて知ることができた学生たち。今後、学生自らの研究成果により、特許を取得する日がくることを期待したいと思います。

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