工事現場の安全を、デザイン面から考える。芸術学部の学生がプロジェクト型授業で安全ベストや腕章のデザインに取り組みました。

2019.03.06

「芸術による社会貢献」を通して実践力を身につける。玉川大学芸術学部では年間を通じて多くのプロジェクト型授業を取り入れていますが、その一環として工事現場における安全デザインの提案が行われました。これは現在学内で新校舎の建設を行っている西松建設株式会社の皆さんが安全に作業できるよう、安全ベスト、ヘルメット用のシール、腕章について新たなデザインを考える内容です。1月21日(月)には西松建設や作業服メーカーの皆さんに集まっていただき、学生によるプレゼンテーションが行われました。

芸術学部中村慎一教授の指導のもと、今回の提案を担当したのは、メディア・デザイン学科3年の多門麻裕さんです。プロダクトデザインに興味があり、「工事現場に関わるデザインなんてなかなかできない」と思い、自ら立候補したという多門さん。この日は10名近い外部の方が集まる中、試作モデルだけでなくプレゼンシートも作成し、一人で提案を行いました。

工事現場の安全を確保するため、現状でもベストや腕章などは使われています。また安全シールとは、現場に入ってから7日以内の事故発生率が高いことから、周知させる目的でヘルメットに貼り付けるシールのことを指します。これらに対して多門さんは、形状や色彩の観点から提案。まずは視認性の高い形状として三角形に着目し、ベストやシールに採用しました。ここには学科での授業で学んだ三角形構図の視認性の高さが活かされてます。また、自動車教習所に通っている経験から、自動車のブレーキランプの配置や道路標識に三角形が多いことにも気づいたそうです。「また、平面で行う道路工事などと異なり、高低差のある建設工事では上から見下ろすといった状況も有り得ます。そこで肩の部分を見る際にも三角の形状が有効だと考えました」と多門さん。形状と同時に補色を活かすことで、より視認性が高くなるとも考えました。さらに「工事現場の侍」をキーワードとし、着用して働く方が誇りを持てることをデザインの軸としました。
このような考え方に沿って、デザインに三角形を取り入れたベストや腕章、シールを提案。シールは「7」を強調すると同時に、剥がすと企業のロゴマークが現れるデザインとしました。また腕章は作業着やベストの補色であり、着用した際に目立つ白をベースに、デザインに三角形を基本形として取り入れました。

多門さんが実際に製作した試作品のベストを、西松建設の現場の方も着用してみます。「確かに格好いい」、「着用していてズレないだろうか」など、さまざまな意見が出されました。「5メートル以上の高さで作業をする際はハーネスを装着する必要があり、その際の視認性はどうだろうか」などクリアしなければいけないこともあり、多門さんはそうした意見や指示を一つひとつメモしていきます。特に評判が高かったのは安全シールで、「明日からでも使えそう」といった意見もありました。

プレゼンを終えた多門さんにも話を聞いてみました。「お話をいただいたのは夏休み前のことだったのですが、夏休み中の部活の遠征などにもパソコンを持って行き、アイデアを考えていました。試作の段階では中村先生と議論を重ねた上で出来上がったのが、現在の形です。またゼミの仲間と話しているときに浮かんできたアイデアもあり、第三者の視点が入ることでデザインが磨かれると感じました」。
中学から玉川学園で学んでいるという多門さん。当時の理科の先生から「毎日何か新しいものを発見してみなさい」と教わり、いろいろなものに目を向けるようになったことが、今回の三角形を取り入れるきっかけなのだとか。玉川での学びが、今回のデザインに結びついていることがよく分かります。

この日のプレゼンテーションの内容は、西松建設の中でも検討が行われました。その結果、3つともデザインが採用になり、ベストは作業服制作会社さんに今後の制作を委ねました。多門さんの学生らしい自由な発想が評価され、安全に寄与するのが今から楽しみです。

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