幼稚部年長組が、学内で一泊二日の合宿を体験。今年は「玉川学園を知ろう」をテーマに、学内施設を巡りました。

2019.07.26

6月28日(金)と29日(土)の2日間、毎年恒例となっている幼稚部の年長合宿が行われました。幼稚部での生活も2年を過ぎ、来年度からは小学校へと進学するという幼稚部年長での1年間は、子供たちが大きく成長する時期でもあります。一泊二日の合宿も、この機会を通じて主体性や協調性などを、友達と生活を共にすることでさらに身につけてもらいたいというねらいで開催しています。

幼稚部合宿の大きな特徴として、毎年子供たちがやりたいことを決め、取り組む点が挙げられます。昨年度は晩ごはん作り、一昨年度はDIYに取り組みました。本年度は学園90周年ということもあり、「玉川学園のことを知ろう」がテーマとなっています。子供たちはグループに分かれて「保健センター 健康院」や「ソーラーカー工房」など、学園内のスポットを事前に調査。合宿ではそれらのスポットを巡ることになっています。

合宿初日の午前中は、ミツバチ科学研究センターの先生方や教育学部で理科や環境教育を学んでいる学生の協力のもと、採蜜に挑戦しました。学生たちによるミツバチの生態についての説明を聞いた後、いよいよ採蜜です。蜜蝋を削り取ったミツバチの巣板を、機械にセット。それを回転させて蜂蜜を採取しはじめると、教室全体に甘い香りが漂い出し子供たちは興奮状態に。「やりたい! やりたい!」と、採蜜作業を交代で行います。また、採蜜作業を待っている間は、ミツバチに関する子供たちの疑問に大学生のお兄さんやお姉さんが答えてくれました。この日採取した蜂蜜はビン詰めされ、子供たちが持ち帰ります。ビンに貼るラベルも自分たちで描き、世界で一つの大切なお土産が完成しました。

そして午後は学園内のスポットを訪れる、いつもより長い「丘めぐり」です。「北斗館」、「保健センター 健康院」、「朔風館」、「キャンパス・セキュリティ・センター」、「ロボット工房」、「キャンパスストア」を見学し、学園への理解を深めます。毎日通園で前を通るけれど一度も訪れたことがなかった場所。またキャンパスの奥にあり、一度も行ったことがなかった場所など、それぞれのスポットを訪れることで新しい発見がありました。各スポットで子供たちはそこで働く人たちからの説明を聞き、質問を投げかけます。たとえばロボット工房では、ロボットがキッチン用のスポンジを持っていることに子供たちが着目。早速「このロボットは家事をしてくれるんですか?」とロボット工房の先生に質問すると、「現在は研究中ですが、皆さんが大人になる頃にはロボットがお掃除や料理をしてくれるようになっているかもしれません」と答えてくれました。またキャンパス・セキュリティ・センターを訪れて、警備員さんたちが深夜もキャンパスの安全を守っていることを知り、驚いた様子の子供たち。今夜のお泊まりも、安心して眠ることができることでしょう。

丘めぐりを終えて幼稚部へ戻ると、幼稚部長の櫻井利昭先生によるお話がありました。「玉川学園が出来てから、90年が経ちました。玉川学園を作った小原國芳先生は、本物を学ばせたいという想いから、たとえば当時世界一といわれたオーストリアのスキーヤーを招いて、生徒たちにスキーを教えてもらったりしてきました。最近もNASAの人が来て、お話をしてくれましたよね。それは皆さんの中から、日本人として初めて月に降り立つような人が出てきてほしいからなのです。実は日本で最初に宇宙へ行った人は、玉川学園出身です(秋山豊寛さん。玉川学園の小学部・中学部卒業)。本物を創る、最初の人。そんな人になってもらいたいのです。でも最初の人になるのは簡単ではありません。玉川学園のモットーに「人生の最も苦しい いやな 辛い 損な場面を 真っ先きに 微笑みを以って 担当せよ」とありますが、辛いことでもすすんで行い、最初の人になる。そういう学校に、皆さんはいるのです」。この日の丘めぐりや櫻井先生のお話から、玉川学園の広さや研究・設備・サポートなどの充実だけでなく、園児・生徒・学生に対してどんな想いで教育を行っているのかといったことの、一端に触れることができました。

この後もソーラーカーの実物を見せてもらいながら、その研究について話を聞いたり、朔風館でチケットを購入して夕ご飯を食べたりと、さまざまな経験を積んだ子供たち。この日は園舎内のホールに皆で泊まり、翌日解散となりました。

改めてこの年長合宿について櫻井幼稚部長に聞きました。
「本年度は90周年ということもあり、玉川学園を知るという内容になりました。子供たちは幼稚部に入園して3年目になりますが、学園内にはまだまだ知らない場所がいっぱいあります。みんなが捨てたゴミはどこへ行くのだろうといった身近なことから、どんな研究をしているのだろうといった最先端のことまで見てみようということになったのです。子供たちは実際に下調べを行ったので、その内容は改めて発表の機会を作る予定です。いろいろな施設や研究に触れたことで、たとえば自分たちがゴミを分別すれば、それが北斗館で処理され、最終的には世界のプラスになるといったことを理解してもらえたらと思っています」。そして、この合宿を通して主体性や協調性も身につけることで、小学校での教育にもつなげたいとのことでした。「今回、学内のどこへ行くかについても多くの意見が出て、自分の意見が通らなかった子供もいます。主張することも大事だし、相手の意見を受け入れ協調することも大事。そうやって決定した事がらに対して前向きに取り組む姿勢は、小学校へ進学すれば今以上に求められます。この時期に合宿を通してそうした経験をすることは、とても重要だと思っています」。
櫻井先生のお話にあるように、多くの教育的な意義を持つ年長合宿。それが実現できるのも、学園内にさまざまなリソースがあり、大学や研究センター、さらには学園施設による協力があるからこそといえます。また採蜜の指導を手伝った教育学部の学生にとっては、この合宿が日頃学んでいることの実践の場になるなど、教育連携によるさまざまな効果もあります。

一泊二日の年長合宿を終え、お土産の蜂蜜とたくさんの思い出を持って幼稚部を後にする子供たち。迎えに来た保護者の方々にも少したくましく成長した子供たちの姿が映ったはずです。