経営学部学友会寄附講座「外資系企業経営から学んだこと」

2020.01.14

2019年12月12日(木)、経営学部国際経営学科の1年生を対象とした学友会寄附講座「外資系企業経営から学んだこと」が開催されました。

講演者の高橋克典氏は玉川大学文学部外国語学科の卒業生で、大学卒業後、ハナエモリに入社。以後、さまざまな企業のマーケティングを経験し、自らコンサルティング会社を起業しました。さらにシャルル ジョルダン(フランス)、カッシーナ・イクスシー(イタリア)、ヴェーエムエフ(ドイツ)など世界の一流ブランドの日本法人の経営に携わり、現在はフランスのシューズブランド「アルシュ」日本法人の代表取締役社長を務めるとともに、若い世代のイノベーションや起業をバックアップするビジネス活動を行っています。

まず高橋氏は、「大企業で出世を目指すのも悪くないが、日本にある企業の99.7%を占める中小企業は後継者不足。中小企業で経営者を狙う道がある」ことを示し、「経済情勢が低迷する今だからこそ、若者には輝くチャンスがある」と後輩たちに語りかけました。

バブル崩壊以降、顧客志向が加速するマーケティング・トレンド

続いて高橋氏はご自身が社会に出た1980年代から現在に至るマーケティング・トレンドの推移について、ご自身の体験を踏まえて解説しました。
1980年代のマーケットを象徴する言葉は「4P」、すなわち製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販促(Promotion)でした。これらはすべて売る側の視点です。バブル経済崩壊後、1990年代のマーケティングは買う側(顧客)の視点へと進化を遂げ、顧客価値(Customer Value)・顧客にとっての経費(Cost)・顧客利便性(Convenience)・顧客とのコミュニケーション(Communication)という「4C」の時代を迎えます。
さらに21世紀になってより顧客の視点を取り込む「4E」の時代が到来しています。4Eとは、Experience(体験)・Every Place(普遍的価値)・Exchange(共有)・Evangelism(伝播・拡散)で、ユニクロ、ニトリ、ABCマートなどここ数十年で大きく発展した企業は、インターネットやソーシャルメディアも上手に利用しつつ、こうした顧客志向のマーケティングを実行してきました。

ブランドは情緒的価値。町の商店でもブランディングはできる

そして高橋氏は「ブランディング」に話を進めます。ベンツ、BMW、アウディなどが高くても売れているのは「ブランド」の力が大きく影響しています。ブランドは顧客に信頼や安心感を与え、新規顧客の獲得や人材採用にも有利になります。こうした「ブランディング」は大企業にしかできないことのように思われますが、高橋氏は「町の商店でもブランディングはできる」と断言します。
ブランディングとは「見えないもの、頭の中でつくられる情緒的価値の創造」であり、目で見えるロゴやネーミングはブランドの本質ではありません。最終的にはあるサービスや製品に関して「○○○と言えば××です」という定評を作り上げることがブランディングの目標となります。それも「すべての人にリーチしなくてもかまわない」と高橋氏は言います。「人には好き嫌いがある。(ブランディングでは)好きな人だけをターゲットと考える」。
高橋氏がかつて手がけた家具ブランド「カッシーナ」は「家具を売らずに、魅力的なライフスタイルを売る」をコンセプトにマーケティングを展開したそうです。このようにスペック(性能・機能)でアピールするのではなく、コンセプトやイメージを売る手法は、近年ではApple社のiPhoneで展開しています。この手法であれば必ずしも莫大な資本力を必要とせず、中小企業でも十分実行可能なビジネス戦略だと話しました。

従来型社会構造が崩れてきた今こそ玉川の学生に大きなチャンスが!

外資系企業と従来の日本企業の違いについて自らの経験を通して学生にわかりやすく解説する高橋氏。自身は外資系企業の経営に携わることで経営における「数字」の裏付けや国際会計基準の重要性、そしてフラットな組織運営を行うリーダーシップの大切さや環境問題への寄与を学んだと言います。
そして一人の人間としては、異文化交流と仕事をエンジョイするライフスタイル、柔軟な発想やコミュニケーション能力を身につけていったそうです。「人から命じられるlabor(荷役)ではなく、自発的・発展的なwork(任務)としてポジティブに仕事を捉えている」と学生たちに語りかける高橋氏。外資系企業への就職を希望する大学生が在学中から心がけてほしいこととして「情報収集」「人的コネクション」「セルフマーケティング(自分の強み)」「インターンシップ活用」「センスを磨く」「芸術文化などの教養」の6つをあげました。

そして冒頭で言及した「経済情勢が低迷する今だからこそ、若者には輝くチャンスがある」ことを繰り返し述べ、「従来のおじさんたちの社会がガタガタになっている今、社会に風穴をあける若い人材が求められています。柔軟な発想で勝負できる玉川大学の皆さんにとっては、こんな時代だからこそ大きなチャンスなのです」と呼びかけました。

講演後の質疑応答では「どのように外資系企業の社長になったのか?」「学生時代に打ち込んだことは?それは仕事で役立ったか?」といった後輩たちの質問に笑顔でていねいに答えていた高橋氏。会場の学生たちに大きな夢と希望を与えて、自らの夢を紡ぐビジネスフィールドに戻っていかれました。

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