遊びながら概念を身につける。小学校でのプログラミング教育を見据えて、幼稚部年長組がチャレンジプログラムに取り組みました。

2020.12.09

2020年度から小学校の授業でも必修となったプログラミング。教育現場でもさまざまな手法での指導が取り入れられています。こうした中、玉川学園では小学校におけるプログラミングの準備教育として、幼稚部年長組の子供たちがプログラミングに挑戦。チャレンジプログラムの一環として取り組み、小学校での学びへとスムーズにつなげていきます。

今回のプログラミング教育は、11月の11日(水)、12日(木)、17日(火)、18日(水)の4日間の日程で、学術研究所・脳科学研究所・教育学部の協力も得て開催されました。会場となるのは普段の幼稚部校舎ではなく低学年校舎の中央ホールで、この時点で既に子供たちは新しいことにチャレンジする気持ちが高まっています。ここでは二日目となる12日の様子をお伝えします。

今回使用するのはパソコンではなく、「キュベット」と呼ばれる知育玩具です。一見すると木製のおもちゃのようですが、プログラミングの考え方を用いて、四角形のロボット「キュベット」を指示通りに動かしていくというものです。キュベットに指示を与える「ボード」に進行方向を決める緑、黄、赤のブロックを順番にはめていきスタートボタンを押すことで、キュベットがマップ上をブロックで指示した順番通りに移動するという仕組み。また青のブロックはファンクションブロックと呼ばれ、ボード内の特定の位置にブロックを並べるとその動作を行えるという、ほかのブロックとは違う動きをします。まさに、ボードはコントロール・パネルであり、ブロックはコードなのです。キュベットを動かすポイントは、ボードにブロックをはめ込んだら、指示を出すスイッチを押すのは一回のみというところ。つまり最初にきちんと「コーディング」をしないと、キュベットは思った場所へはたどり着かないのです。

もちろん、子供たちはプログラミングやファンクション、コーディングといった言葉は知りません。指導する先生たちも、そうした言葉はもちろん使いません。「ボードにブロックをはめると、その通りにキュベットが動くんだよ」といった最低限の情報だけを子供たちに与え、まずはキュベットで遊んでもらうのです。

2、3人ずつで一台のキュベットを使って遊びだした子供たち。マップには山や木などが描かれており、「何マス進んだらどちらへ曲がって、何マス進めば目的地へ到着できるのか」といったことを考えながら、ブロックをボードへはめ込んでいきます。キュベットが思った通りの動きをすると、「やった!」などと友達と達成感を共有している姿がとても印象的でした。

うまくいかなかったときも、「あと何マス足りない?」「こうしたらどう?」という話が子供たちの間で自然と出てきます。さらに、「先生どうしたらいいの?」という質問に対しても、ファシリテーター役の教員は、複数グループの様子を観察し、核心には触れず必要最低限のアドバイスにとどめ、子供たちが考えることを後押しします。
遊びながらカラーブロックそれぞれのルールを発見しボードとブロックの使い方を把握した子供たちには、ファシリテーターから青のブロックが渡されます。青のブロック一つでさまざまな動きをするのですが、中には使っているうちにそのことを理解する子供もでてきます。この日のプログラムでは、こうやって子供たちがキュベットを自分たちなりに楽しむところまでで終了しました。

この日のプログラムに参加した工学部教授で脳科学研究所の大森隆司教授は、「プログラミングは思考法であり、段取り力です」そして「指導者が使い方を教えるのではなく、子供に発見させることが大事」と教師の関わり方についても言及します。このキュベットは、一人ひとりの段取り力や思考法が可視化され、他者にも理解してもらえる点がいいとも語ってくれました。
玉川学園では、幼稚部園児から2年生までがこのキュベットを用いてプログラミング教育を行っていく予定です。まだまだ手探りの状態が続く初等教育でのプログラミング教育ですが、遊びを通して身につけたプログラミングの考え方が、数年後の本格的な授業で生きてくることを願っています。