Consilience Hall 2020竣功記念品として音楽を聴かせたレタスを栽培。芸術と農学の融合を学生たちが考えました。

2021.03.02

玉川大学のこれからの教育のキーワードでもあるESTEAM。この言葉に代表されるように、学びの枠を超えた学際的な教育が注目を集め、既に玉川大学でも農学部と工学部と芸術学部の学生が共同で課題に取り組むプロジェクト型授業「複合領域210:工農芸融合価値創出プロジェクト」が行われています。2021年度にはそれらの学部が実習を行う施設、Consilience Hall 2020も完成し、本格的に授業が始まります。1月18日(月)にはConsilience Hall 2020の竣功式が行われ、そこで記念品として配られたのが、学内で栽培されたLEDレタス“夢菜”でした。

  • ESTEAM:ELF,Science,Technology,Engineering, Arts,Mathematics

“夢菜”は農学部の渡邊博之教授監修のもと、学内のサイテックファームで栽培しており、近隣のスーパーマーケットでも販売されている玉川ブランドのレタス。しかし今回の記念品用のレタスは、栽培時に音楽を聴かせた限定品なのです。

「音楽が植物や農作物に与える影響については、近年比較的信憑性の高い研究成果報告もあり、可能性は十分にあると考えられます。しかしまだこの分野は研究が確立されているわけではありません。科学的な根拠は示すことはできませんが、私たちが食べ物の産地や経緯を知ることでその食事が豊かなものに感じるという経験があると思います。今回もそういった『食』にまつわるコミュニケーションの一助になれば」と語る渡邊教授。そしてどんな曲をレタスに聴かせればよいかといった議論が、芸術学部長でピアニストの小佐野圭教授との間で行われました。その結果、選ばれたのがベートーヴェンのピアノソナタ第14番嬰ハ短調、『月光』でした。この曲を選んだ理由として「『月光』は『ソ♯・ド♯・ミ』を基点に構成されていますが、これらの音の周波数には美しい秩序があり、数学的です。そして2020年はベートーヴェン生誕250周年のメモリアルイヤーでもあります。」と小佐野教授。今回の取り組みも「”Moonlight Sonata" LED lettuce project」と題し、小佐野教授自ら演奏した『月光』を録音し、サイテックファーム内でレタスに聴かせました。
こうして成長したレタスは竣功記念品として、芸術学部の小北麻記子教授がパッケージデザインを担当。またパッケージの制作や手持ち用のバッグにつけるチャームは工学部の福田靖教授らSTREAM Hall 2019のメーカーズフロアの先生方が担当と、農学部、工学部、芸術学部が連携することで完成しました。まさにConsilience Hall 2020竣功記念にふさわしい一品といえます。

こうした学部の枠を超えた交流をさらに広げようと、1月12日(火)には農学部と芸術学部の学生による交流会も開催されました。

この日は、渡邊教授のもとで学修している農学部の大学生や大学院生5名と、芸術学部芸術教育学科の学生4名の計9名が参加。まず芸術学部の学生がFuture Sci Tech Labで、渡邊先生からレクチャーを受けました。LEDの青や赤の光にはそれぞれ役割があり、植物への影響も色によって変わってくるといった渡邊先生の話を真剣に聞く学生たち。また施設見学では、JAXAとパナソニックとの共同研究により宇宙空間での食料生産システムの研究を行っている宇宙農場ラボなども見学。擬似的に作られた宇宙空間で栽培され、凹凸がなく、丸く成長したジャガイモに驚いた様子でした。

その後、学生たちはサイテックファームへと移動。実際に『月光』をレタスに聴かせている施設の横で、農学部の学生たちと意見の交換を行いました。
「音楽」や「芸術」、「食」などをテーマに、参加した学生一人ひとりが意見を述べていきます。そうした中で農学部の学生から、「レタスに聴かせた曲がベートーヴェンではなくモーツァルトだったら、もっと個性的な味になっていたかもしれませんね」といった意見が飛び出すなど、農学部生も想像以上に音楽に造詣が深いと感じました。
参加した学生からは「音楽をやっている人は音楽で人生を豊かにするわけですが、農学部も農業や食品で人生を豊かにすることを考えています。そういう意味では同じ目標で、同じ志を持って同じキャンパスで学んでいるんだなと感じました(農学部学生)」、「農学部の人と関わることは、これまで全くといっていいほどありませんでしたし、異なる分野を違う考えで学んでいると思っていましたが、意外なほど共通点が多いことに驚かされました(芸術学部学生)」といった感想が聞かれました。

4月から本格的に稼働する予定のConsilience Hall 2020。そこでは農学部、工学部、芸術学部の学生が共同で一つの課題に取り組むといった異分野融合の教育が行われます。この日のような学部を超えた交流も活発になり、そこから新たな学びのアイデアが生まれてくるかもしれません。この日の交流会は、ESTEAM教育の可能性に期待が高まる内容となりました。

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