対面とオンライン、それぞれの良さを活かした保育を展開する。ハイブリッド保育が幼稚部で行われました。

2021.06.23

5月26日(水)、幼稚部では対面とオンラインを併用する「ハイブリッド保育」に取り組みました。
2020年3月以降、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、学校教育はその継続のため、自宅学習やオンライン授業など様々な方法が取り入れられてきました。それは、幼稚園での保育活動も例外ではありません。緊急事態の中でも実施できる新しい生活様式に合わせた幼稚部での保育活動を模索しています。
幼稚部では午前中に登園し、午後はオンラインを通して自宅で学ぶ「ハイブリッド保育」を緊急事態宣言下で行っています。ここでは26日に行われたハイブリッド保育の内容をもとに幼稚部の一日をご紹介します。

幼稚部の一日の始まりは、保護者とともに登園することから始まります。その日行うことは各学年で異なりますが、何を行うのかが幼稚部入口にあるボードに掲示してあり、子供たちはそれを見て意識を高めます。
ただ、登園してすぐに「今日のプログラム」に取り組むわけではありません。まずは子供の主体的な取り組み、興味にフォーカスした「自発的な遊びの時間」が1時間以上設けられています。身体を動かしたい子、友達と遊びたい子、砂遊びがしたい、教室で本が読みたいなど、一人ひとりが「自分のやりたいこと」に没頭することで、「今日のプログラム」にも自然と興味を向けられるのです。もちろん、そこには幼稚部の教員も加わり、園児たちの「やりたい」を支援します。

こうして自発的な遊びの時間を満喫し、子どもの協調性やスキルアップ(英語などの活動を含む)にフォーカスする「みんなで活動する時間」が始まります。10時30分頃から朝の会を行い、「今日のプログラム」が始まりました。年長のしか組はジャガイモ畑に生えた雑草を皆で取り除くことに。先生は「根からしっかり抜くことが大事」と雑草取りのポイントを伝え、子どもたちは「ジャガイモを守るぞ!」のかけ声と共に畑へ向かいます。一方のきりん組はELFの先生から、日常のシーンで使われる英語を楽しみながら学びました。

年中組は2組が合同で、新しい遊び「しまおに」を行いました。園庭にフラフープなど大小の輪を置き、輪から輪へ移動する子どもを鬼役の子どもが追いかけるという遊びです。子供たちは遊びのレパートリーが増えて大喜び。「これおもしろい」と駆け回っていた姿が印象的でした。

そして年少のりす組はダンゴムシをさわってみた経験から、ダンゴムシをテーマにした制作を実施。子供たちがダンゴ虫の切り抜きを画用紙に貼り、そのまわりに自由に色を塗りました。一方のうさぎ組は手アソビなどを行った後、飼育していたメダカが死んでしまったことを題材に、生き物の「いのち」について皆で考えました。

11時30分に「今日の取り組み」が終わると、帰りの会を行いお迎えに来た保護者とともに子供たちは帰宅します。昼食後の13時から、オンラインでの保育が始まります。

年長組は午前中の保育時間に渡されていた模擬時計を自宅に持ち帰り、それをもとに時計の学習に取り組みました。なじみのあるデジタル標記を見せ、アナログ時計だとどのように表示するのかをクイズ形式で学んでいました。もちろん、明日の学習内容への導入も兼ねています。その後、舞踊家の玉川さやか先生をお招きし、リトミックを行いました。子どもたちは自宅のPCの前で、先生の動きに合わせたり、時には自由に身体を動かします。

年中組は午前中「しまおに」を知った子供たちが「しま」つながりの「しまうまグルグル」の歌に合わせて歌で言葉遊びをしました。その後、ペットボトルなど自宅でも用意できるものを使っての工作といった通常保育を、オンラインで実施。もちろん工作した作品は翌日の保育活動で使用します。

年少組はご家族と一緒にZoomに慣れることからスタート。手アソビなどの導入のあと、これから始まる園でのお弁当について、まずは自宅で体験してみました。オンライン保育では途中で音声が聞こえなくなるといったトラブルもありましたが、そうした問題も一つずつクリアしていきます。年中組の取り組みでは途中にピアノの演奏で歌を歌いますが、PCをピアノの近くに設置したりと、先生たちがしっかりと事前準備を行っていることも分かりました。また幼稚部側のPCに映し出される子どもたちの表情はいつもと変わらない笑顔で、この年代の子どもたちのデジタル機器に対する抵抗感の少なさも、強く印象に残りました。

この日行われたハイブリッド保育について、幼稚部長の須田忠先生にお話を聞きました。「昨年春の緊急事態宣言により、子どもたちの自宅待機期間が約3ヵ月間ありました。ご家庭の中で乱れがちな生活リズムを整えるという意味も込めて、決まった時間にストリーミング配信を行ったことが、オンライン保育のスタートでした。そこから教員間でミーティングを重ね、オンラインだからできることや、対面による通常保育との連携について考えていきました」と須田先生。そうした中で、午前中は動的な活動や皆で行う活動を園内で行い、午後は自宅で各自が行える作業へつなげていく、今回のハイブリッド保育のスタイルが固まっていったそうです。「ただこの年代の子どもたちにとっては、隣にいる友達とのダイレクトなやりとりが非常に重要な意味を持っています。ただ、オンラインではその部分をなかなか体験できません。オンラインを通した自宅での体験がそこで完結せず、次に皆で集まったときへとつなげていく工夫が必要だと思っています」。

別の日のオンライン保育の様子

ちなみにこの時期は教育学部で学ぶ大学生の教育実習期間でもあり、2人の学生が参加していました。学生たちは「自分自身が去年オンラインでの授業を経験していたので、『どういうことがオンラインでは伝わりにくいのか』といったことは、感覚として理解できていました。他の幼稚園で教育実習に参加している同級生に聞いても、オンラインで保育を行う幼稚園は玉川学園以外にはないようで、貴重な経験を積むことができました(教育学部4年・榊原修都さん)」。「私は年少組が担当で、子どもたちは今日が初めてのオンライン保育でした。最初ということもあって子どもたちは興味津々でしたが、次回以降も興味を持ってもらうためには何が必要なのだろうと、自分の中でも考えています(教育学部4年・西畑衿香さん)」。

新型コロナウイルス感染症の影響で、教育現場では1年以上にわたり従来の活動が行えない状況が続いています。けれども幼児教育における1年は非常に変化が激しく、1日たりとも学びを止めるわけにはいきません。ハイブリッド保育は現状で考えられるベストな指導方法の一つですが、今後も保護者の皆さんに協力していただきつつブラッシュアップを重ね、より良いプログラムへとつなげていきます。