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2年ぶりとなる教育博物館の企画展、「近代日本の学校体育と運動会」が開催中です。

2021.12.10

玉川大学教育博物館では、10月25日(月)から1月16日(日)まで、企画展「近代日本の学校体育と運動会」と、特別展示「新収蔵イコン展」を同時開催しています。
新型コロナウイルス感染症の影響で休館していた教育博物館ですが、今回の企画展は実に約2年ぶりの開催となります。展示内容の見どころを、教育博物館の宇野慶教授、柿﨑博孝客員教授に伺いました。

1872(明治5)年に、日本初の近代的学校制度を定めた教育法令「学制」。その中で、尋常小学の科目として設置された「体術」が現在の体育のルーツに当たります。それまでの日本には体育教育という概念はなく、運動は武芸や娯楽が中心でした。そうした時代に欧米型の体育教育が取り入れられたわけですが、「今回の展示では、そうした学校体育の始まりから、当初の西洋式体育教育が兵式体操を含んだ内容へと変わり、次第に私たちにも馴染みのある体育科目へと変遷していく様子を、当時の指導書や教科書だけでなく、錦絵や双六といった資料も交えて紹介しています」と宇野教授。

また学校行事の一つである運動会に関する展示も数多くあります。「運動会も、体育教育の一環として西洋から伝わってきたものです。明治初期の学校には運動場がなく、近隣の学校が数校集まり、空き地などを利用して連合運動会を行っていました。当時の運動会の内容は、柔軟体操、競技、そして江戸時代から続く鬼ごっこなどの遊びの要素も加えたものでした。その後、各学校に運動場が整備されるようになると、地域の人々も参加して、多様な種目が行われるようになったのです。現代の運動会でも万国旗などを飾る習慣があるのは、こうした地域の祭りのような意味合いがあったからだと推察されます」と、柿﨑客員教授も語ります。
この展示では欧米諸国を模範として体育が、さまざまな要素を取り入れながら、徐々に日本独自の制度に移り変わっていく過程が分かる内容となっています。1896(明治29)年から始まった近代オリンピックの要素を取り入れたり、女子体育が日本で唱導された過程が分かる展示内容となっています。また玉川学園創立者の小原國芳がデンマーク体操の導入に積極的で、デンマーク・オレロップ国民高等体操学校(現・オレロップ体操アカデミー)創始者のニルス・ブック氏を招聘。玉川学園での体操指導のほか、各地で全国の青少年の健康促進を目的として講演会や体操指導が行われました。こうして国内に浸透したデンマーク体操の要素がラジオ体操の創案にも活かされたといった歴史も分かります。

宇野教授は「体操は気分転換や健康増進といった目的で始まりました。それが日清・日露戦役という時代背景もあり、次第に鍛錬や人格形成といった目的へと移行していきます。同時に球技や女子体育なども加わることで、体育がさまざまな形へと変遷・変質していくわけですが、そうした過程が分かると思います」と、今回の展示の見どころを語ってくれました。

また、資料の展示に加え、錦絵などにも描かれた当時の運動器具「球竿」・「亜鈴」の実物も展示しています。そしてこれらの木製体操器具を芸術学部の鈴木純郎技術職員が複製。実際に触れることができるのはもちろんのこと、これらを使用した当時の運動法を、「博物館実習」を履修している学生たちが当時に刊行された体操の指導書から動作を紐解き、再現した映像を制作しました。その映像を見ながら体験することもできます。「おそらく日本で初めて忠実に再現したといっても過言ではない」と柿﨑客員教授がその出来栄えを評価しています。

同時開催となる「新収蔵イコン展」は、近年寄贈を受けたイコン12点を展示。ロシアイコンのほか、20世紀に入ってからのブルガリアやギリシャのイコン画家によるイコンも含まれています。玉川学園はイコンの収集で知られており、それが新たな作品が集まってくる理由でもあります。今回寄贈された中には、コレクションにはなかった聖画のなかでも重要な「受胎告知」の場面を描いたイコンや、スペイン人チェリストのガスパール・カサド・原智恵子夫妻が所蔵していたものなど見どころも満載です。

玉川学園が全人教育における6つの価値の中で、身体の理想として掲げているのが「健」です。この考え方は明治政府が取り入れた体育教育にも息づいており、そこを端緒として私たちが学んできた現代の体育教育があります。1年遅れでオリンピックが開催された2021年。改めて私たちにとって身近な体育の源流に触れる、いい機会となっています。

また教育博物館では緊急事態宣言などで休館していた期間も、少しでも博物館の魅力に触れてほしいという想いで、過去の企画展の動画配信や記事の更新などアーカイブの充実に努めてきました。緊急事態宣言が明け、ようやく皆さんに公開できる機会ができました。事前予約制度を導入するなど万全の感染症対策を講じた上で皆様のご来場をお待ちしております。ぜひ足をお運びください。

教育博物館の新型コロナウイルス感染症対策について

今回の企画展は密な環境を作らないよう、事前予約制により入場者数を制限。来場された方には検温と手指消毒、マスクの着用をお願いしております。また球竿、亜鈴のレプリカやコインロッカーなど来場した方が触れるものは毎回消毒を行っており、安心してご鑑賞いただけます。

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