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リハビリテーションやマーケティングなどFC町田ゼルビアとのさまざまな教育連携プログラムに生徒・学生が参加しました。

2022.02.24

サッカーJリーグのFC町田ゼルビア(以下、ゼルビア)とトップパートナー契約を結んでいる玉川学園。本年度も各ディビジョンで、さまざまな教育連携を行ってきました。リーグ戦も終了した12月にも多くのプログラムを実施。9日(木)には選手による中学部・高等部サッカー部員対象の座談会が、そして10日(金)にはメディカルアドバイザーによる教育学部生対象の体力測定評価の指導が、そして22日(水)には地域振興スタッフによる観光学部生対象の講義があり、生徒や学生が参加しました。

中学部・高等部サッカー部員×プロサッカー選手 『サッカー部座談会』

玉川学園中学部と高等部のサッカー部では、以前からゼルビアと交流を行ってきました。本年度はゼルビアもサッカー部もリーグ戦が終了したタイミングで、オンラインによる振り返りの機会を持つことになり、選手からさまざまなお話を伺うことになりました。

<左:DF 奥山政幸選手 右:FW 中島裕希選手>

今回参加してくれたのは、FWの中島裕希選手とDFの奥山政幸選手です。まず、2021年のシーズン序盤に負傷により戦線離脱した奥山選手に、怪我について語ってもらいました。「5月に肉離れを起こし、1カ月ほど試合に出られない時期がありました。ただ、落ち込んでいてもしょうがないですし、チームメイトが頑張っている姿を見て、早く治してチームに貢献したいという想いが強くなりました。結果的に離脱前よりもいいメンタルで戻ってこられたと思います」と奥山選手。生徒からの「リハビリ期間を含めて日常生活の中で、サッカーのためになるようなことを何かしていますか?」という質問に対して、「頭の中のイメージを大切にしています。海外サッカーの試合やJリーグの上手いプレーをイメージしてチャレンジしたり。また試合から逆算して、さまざまな準備をするようにしています」と答えてくれました。また中島選手からも「自分の体調は、起床時に分かります。少し身体が重いと感じた日はストレッチを念入りに行いますね。また歩いたり階段を上るといった日常動作を通して、どこの筋肉が張っているかを判断するなど、常に自分の身体と会話をするようにしています」というアドバイスがありました。
その後、選手がどのようなスケジュールで一日を過ごしているのかを、トレーニングのある日と休日を例に説明。その中で、生徒から驚きの声が挙がったのが、トレーニング時間についてでした。ゼルビアの場合、全体でのトレーニングは午前中の2時間のみ。「もっと練習をしているのかと思った」という生徒たちの声に対して、中島選手は「シーズン前の合宿などではもっと時間を使いますが、シーズン中はこれくらいの時間で集中して行います。このトレーニングを実のあるものにするためのポイントが、その他の時間の使い方です。睡眠や食事で体調を整え、ストレッチなども行うといったことは重要ですね」と説明。一方で休日に関しては家族との時間を大切にして、なるべくサッカーのことは考えないそうです。奥山選手も「オンとオフのメリハリには気を配っていますね。サッカーをやりたいからこそ、サッカーから離れることが大事です」と語ってくれました。生徒にとってこうした考え方はクラブ活動だけでなく、普段の生活にも活かせることでしょう。

一日の過ごし方について説明があった後、生徒からのさまざまな質問に答えてくれました。「FWですが大きいほうではないので、ボールキープがなかなかできません」という質問に対して、中島選手からは「腕を上手に使うといいと思います。サッカーという競技で腕は意外と重要で、DFとの駆け引きは練習試合から意識して行っています」との答えが。また「サイドバックでドリブルが得意なのですが、相手に次の動きを読まれてしまうことがあります」という悩みに対して、中島選手からは「パスの選択肢を持っておくべき」、またDFである奥山選手からは「僕は相手選手が縦と同時に横に動かれると嫌ですね」との答えが。こうしたサッカー部員らしい専門的な質問に対して、中島選手と奥山選手は丁寧に答えてくれました。
最後に、中島選手からは「皆さんがこれからどんな道を歩まれるのか分かりませんが、未来は今作られています。後悔のないように、今を過ごしてください」と、また奥山選手からは「今日の振り返りは、僕自身にも貴重な経験になりました。常に目標を持って、そこから逆算して今日を過ごしてほしいと思います」というエールが送られました。

終了後に、参加した生徒に感想を聞いてみました。「サッカーが仕事のプロの方は、試合以外の時間も食事や睡眠に気を配ったり、逆に休みの日はサッカーから離れてメリハリを作ったりと、さまざまな準備をしている点が印象的でした(11年生 細川君)」、「試合当日などは朝のルーティンを決めているというのが面白いと思いました。また普段から自分のいいプレーをイメージするというのは自分にもできることなので、取り入れたいですね(9年生 上原君)」。

教育学部生×メディカルアドバイザー 『体育測定評価』

<齊藤和快氏 2019年度撮影>

教育学部の山田信幸教授による授業「体育測定評価」では、体育科の体力測定で得られたデータをどのように評価していくのかを学んでいきます。この日はプロスポーツの現場における測定および評価の方法を、実際に担当している方から直接教わるという内容に。2019年にも同じ授業を担当してくださったゼルビアのフィジオセラピスト(メディカルアドバイザー)で理学療法士の齊藤和快氏が、オンラインで指導を行いました。
今日の主なテーマは、傷害予防および個体差と身体の関係です。近年、サッカーの試合中に選手が倒れ、そのまま亡くなってしまうということが国内外で起こりました。「シーズン開始時だけでなく、定期的に筋力や持久力、体組成などの項目について計測し、客観的に評価をすることが重要です」と齊藤氏。そしてこうした知識は高いレベルで競技を行うプロのアスリートだけでなく、学校体育の現場でも役立つ知識だと、齊藤氏は語ります。
筋力評価の事例として、椅子から片足だけで立ち上がれるかどうかを学生に試してもらいます。「実際には、座っている高さを変えて評価していきます」と齊藤氏。この他にも骨や関節の配列であるアライメントの評価についても言及。その際に、「見る」ということの重要性についても語ってくれました。

また、怪我をした選手がどのようにリハビリテーションを行い復帰していくのかを、選手の事例を使って紹介。「昨シーズン、サッカーの試合中に膝内側側副靱帯(MCL)を損傷した選手がいました。当日に診断を行い、すぐ入院ということになったのです。関節鏡で膝の状態を確認し、手術を行いました」と齊藤氏。その後は関節可動域を広げたり、高気圧酸素室に入って腫れを引かせたりしながら、ある程度動けるようになるとバイクなどを使ってトレーニングを再開。適切なトレーニングを行った結果、4週目には全体練習に合流。5週目には公式戦にも先発出場することができたそうです。

「アスリートが自信をもってプレーできる。その環境を整えるのが、私たちの仕事です。それは学校教育の現場で指導をする皆さんも同じで、子どもたちが運動する姿を見たときに、何かおかしいなと最初に感じることのできる人になってほしいと思います」と、齊藤氏は学生にメッセージを送ります。「皆さんが気づけば、それが傷害予防の第一歩になります。また運動嫌いな子どもを減らすことにもつながります。そういう形で、子どもたちに関わってください」という言葉で、この日の指導は終了しました。
終了後には、学生からの質問にも答えてくださった齊藤氏。「足首や足の甲を合計4回ほど骨折してしまいました」という女子駅伝チームに所属する学生には、「骨折すると1カ月ほど固定することになりますが、そうすると関節が開かなくなってしまいます。その際は、自分の手で開いて上げるといいと思います」とアドバイスを行いました。同じく女子駅伝チームに所属する学生の「昨年怪我をして以来、足首の可動域が狭くなったように感じます(2年生 女子学生)」という質問には怪我をした際の状況やつま先立ちなどをして診断。またサッカー部の男子学生の「反り腰の傾向があるのですが」という悩みには、「倒されることが多いのではないでしょうか。それを防ぐことがまず大事で、そのためには体幹の強化が重要です」と答えていました。

観光学部生×マーケティング部地域振興課 『地域文化論』

観光学部の鎌田伸尚教授が指導する3年次の科目「地域文化論」では、各地域を地理や歴史、風習、産業などさまざまな観点から考察。その文化や生活について実態を把握するとともに、その地域が抱える課題や問題点を探っていきます。本年度は長野県、中でも通年リゾートを目指す白馬村およびその周辺地域を対象として研究を行っています。その授業の一環として、事業の一つの柱として地域振興に取り組んでいるゼルビアの方からこの日はお話を伺いました。

野村卓也氏

ホームタウン制度を取り入れているJリーグも、各クラブが地域の誇りとなることを目指しています。玉川学園が位置する町田市であれば、それがゼルビアになります。そこでこの日の「地域文化論」では株式会社ゼルビア・マーケティング部地域振興課の野村卓也氏にご登壇いただき、「プロスポーツクラブとして、どのように地域への取り組みを行っているか」をテーマに、オンラインによる特別講演を行いました。

講演の冒頭で野村氏は「Jリーグには発足当初からホームタウン制度があり、チーム名には必ず地域の名称が入っています」と学生たちに説明。試合で勝つだけでなく、地域の発展に貢献することもチームの大きな目的なのです。そして前身が企業のサッカークラブというチームも多い中、ゼルビアは町田市内の少年サッカーチームから生まれた、まさに地域に根ざしたチームであることにも野村氏は言及しました。そんなゼルビアの地域貢献活動は、大きく分けて「ホームタウン活動」と「シャレン!(社会連携活動)」の二つ。前者は町田に関わるすべての人がもっと町田を好きになるような街づくり活動の支援で、地域イベントへの参加やサッカー教室などが挙げられます。また後者は自治体や企業、教育機関などと連携し、社会貢献活動を行うというもの。「こうした活動は、SDGsの達成にもつながっています」と野村氏。実際にゼルビアの社会貢献活動は2020年には430回以上行われ、27.500人以上の人が参加しました。ゼルビアの活動について、野村氏は実際の事例を出して紹介していきます。そうした活動はイベント型のものだけでなく、たとえば市内の小学校で行われている放課後英語教室の教材制作への参加といった意外な内容も。この教材制作には玉川大学大学院教育学研究科も協力しています。「このようにサッカークラブには地域貢献というミッションがあり、地域が抱える課題を解決し、その魅力を発信していくことが求められます」という野村氏のコメントで、この日の講義は終了しました。参加した学生からは、「ゼルビアがサッカー以外にもさまざまな活動をしていることは知らなかった。とても勉強になった」といった感想が聞かれました。

ゼルビアの選手やスタッフの皆さんに参加していただき、サッカーのテクニックやトレーニング、そして地域貢献について教わった今回の教育連携。生徒や学生にとっては、普段はなかなか知ることのできないことを知る、貴重な機会となりました。

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