自分たちの学園は、自分たちで作る。教職員が9号館跡地の芝張り労作に取り組みました。
3月16日(水)、大学9号館の跡地において、教職員による芝張りの労作が行われました。
約50年にわたり短期大学などの校舎として利用されてきた9号館。2021年にこの校舎は解体され、現在は3階のエントランス部分のみがモニュメントとして遺された、なだらかな丘のような状態になっています。この場所への芝張りが、今回の労作の内容です。教職員による労作は、以前はクリスマスツリーの設置など、一年を通じて数多く行われてきました。近年はなかなか開催する機会がありませんでしたが、今回参加者を募ったところ、約60名もの教職員から応募が。銘々が動きやすい服装に着替え、松陰橋のたもとに集まってきます。
労作を始める前に、小山豊総務部長から話がありました。「こんなに多くの方に参加していただけるとは思いませんでした。この場所には1966年に大学9号館が建ち、2004年の女子短期大学廃止までに約14,000名の短期大学生を輩出。その後もリベラルアーツ学部や継続学習センターの校舎として使用されてきました。現在、創立90周年を記念して学友会より「不易流行の心で労作による理念の継承」という要望を受け、聖山での労作が行われていますが、今回の芝張りのように新たな労作も行っていくことで、創立100周年へとつなげていきたいと思っています」。
また農学部の山﨑旬教授からも、作業についての説明がありました。「今回使用する芝は高麗芝です。暑さや乾燥に強く、冬は枯れますが春になれば緑に色づきます。『ベタ張り』といってマット状になった切り芝を隙間なく張っていくのですが、芝を張る範囲が約600平方メートルですので、一人約20枚を張ってもらうことになります」。
山﨑先生の説明の後、作業スペースを区切り、芝張りの労作がスタートしました。ただ単に切り芝を敷き詰めるのではなく、しっかりと定着させるために竹でできた杭を打ちつけていきます。職員同士で面識がなくとも、協力して労作を行っていくことで自然と会話も生まれていきます。かつてはこうした労作の機会が、教職員間の親睦を深めるきっかけにもなっていたようです。皆で芝を張る様子を、松陰橋を渡り駅へと向かうK-12の生徒たちも興味深そうに眺めていきます。
参加者が多かったこともあり、予定していた終了時刻よりも早く、約2時間で芝張りの労作は終了しました。参加者を代表して最後にスピーチを行ったのは、女子短期大学出身で教師教育リサーチセンター教員研修室所属の奥田晴美課長です。「この場所にあった9号館では、短期大学生だけでなくリベラルアーツ学部の学生、継続学習センターで学ぶ方など、本当にたくさんの多様な方たちが学んできました。多くの校舎が建て替えられる中、9号館がなくなるのも必然だと思っていましたが、やはり残念でした。しかしその跡地がこんな素敵な場所になったことにとても喜んでいます。キャンパスも整備が進み、学生の皆さんが何かを遺すということが難しくなっている時代にあって、聖山では労作が行われていると聞いています。今回、教職員の労作の場として、このような機会を設けてくださったことに感謝しています。労作は働くことと同時に、作る喜びを感じることでもあります。今日、皆さんとこうした時間を共有できたことが、一番の喜びです」。
また、参加した教職員からは、「今日は休みだったのですが、この労作のためにやって来ました。最近は行う機会の減ってしまった労作という伝統を、教職員同士で再確認できたと思います(教育情報・企画部情報・調査課 和田裕課長)」、「高等部で学んでいた頃、当時は芝生のスペースがあり、そこでお弁当を食べたりしていました。この場所でもK-12の児童たちがお弁当を広げたりするといいですね(総務部総務課 中山千尋さん)」、「労作は在学中にさまざまな形で体験してきました。先生から指導を受けるのは久しぶりの体験だったし、ただ作業をするのではなく多くの人と関わり、交流を広げていくのも労作の醍醐味なのだなと感じました(人事部人事課 西川友里さん)」等、さまざまな感想が聞かれました。
天候にも恵まれ、参加した誰もが心地よい汗を流すことのできた今回の芝張り労作。参加者の努力の甲斐もあり、芝はしっかりと定着。作業時には枯れたような色合いだった芝も、二週間も経たないうちに緑色へと変化してきました。新学期が始まり生徒や学生がこの場所を通れば、これまでと違った風景に気付くはずです。労作としてこの場所の整備に携わったということは、参加した教職員にとっても忘れられない出来事になったことでしょう。