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玉川OBで考古学者の戸田哲也氏から寄贈された先史・古代のアジアのやきものの企画展を開催。文化財登録記念として外地教科書も展示。

2022.12.20

玉川大学教育博物館では、10月24日(月)より「先史・古代のアジアのやきもの ―戸田コレクションの土器・陶磁器―」を開催しています。
今回の展示物は、玉川大学の卒業生であり、本学の講師として考古学を講じてこられた戸田哲也氏よりご寄贈いただいた、アジアの土器・陶磁器(戸田コレクション)。これらは大学で陶芸や美術を学ぶ学生たちの参考にしてほしいとの、戸田氏のご芳志によるもので、中国の先史時代の土器、漢代の陶磁器、そしてタイの土器の三つの柱で構成されています。
戸田氏は小学部から大学までを玉川学園で過ごされた生粋の玉川っ子。小学生時代から考古学に興味を持ち、考古学研究会も立ち上げました。卒業後は当時のメンバーとともに株式会社玉川文化財研究所を設立し、縄文土器を中心に、日本の先史文化の研究に尽力。その比較対象として近隣諸国、特に中国の土器にも関心を抱かれ、先史・古代のやきものの歴史が通観できるようコレクションを拡充してこられました。
展示の概要や見どころについて、教育博物館の菅野和郎教授に話を聞きました。

中国のコレクションは新石器時代後半から青銅器時代にかけてのものと、漢の時代のもの。そしてタイのコレクションに関してはまだ研究が十分に進んでおらず、紀元前2,000年から紀元後にかけてのもので、日本の縄文時代から弥生時代に相当する時期のものではないかとのことでした。
「縄文土器は縄目文様が大きな特徴ですが、同時期の中国の土器は顔料で文様を描いた『彩陶』と呼ばれる土器が数多く見られます。また上部に大きな開口部を持つ縄文土器に対して、中国の土器は『罐』と呼ばれる壺型というように、形状にも相違点が見られます」と菅野教授。
また、紀元前3,000年前後の『黒陶』と呼ばれる黒色の極めて薄手で磨き上げた土器などを見ると、当時の土器作りの技術の高さが窺えます。

そしてこれらのコレクションから垣間見えるのが、当時の生活や文化です。
「漢の時代のコレクションに、『猪圏』と呼ばれる家畜小屋を模したやきものがあります。小屋の中から豚が顔を出しているような、可愛らしいやきものですが、これは副葬品と考えられています」。
死後の世界でも豊かに暮らせるよう、このような家畜小屋や穀物倉庫を模したやきものを死者の墓に入れた当時の人たち。中華圏では現在でも紙で作った模造のお金や車などを葬儀の際に焼いて、あの世に持たせる風習が残っており、文化のつながりを感じさせます。
またタイのコレクションはバン・チェン期と呼ばれる紀元前後のやきものが多く、顔料なども使って文様を描いており、独特の雰囲気をもっています。
「こうしたタイの土器に着目したコレクションの拡充は、アジア・オセアニア地域の人類学的研究にも興味を持っていた戸田氏の研究者としての関心から始まったものでしょう」と菅野教授は語ります。

残念ながら戸田氏はこれらのコレクションを寄贈された後、今年の5月に逝去されました。今回の企画展を開催するにあたり、戸田氏からくわしいお話を伺い、それを展示に反映させることができなかったのがとても残念だという菅野教授。何より、寄贈していただいた資料のお披露目の場をご本人に見ていただけなかったことが残念ですと語ってくれました。

また今回は同時開催として「外地教科書」の展示も行っています。
2020年9月30日に、玉川大学教育博物館が所蔵する近代教科書関係資料(玉川大学収集)12,728点が国の登録有形文化財(美術工芸品、歴史資料の部)に登録されました。この資料は1895(明治28)年から1945(昭和20)年にかけて、日本が直接・間接的に統治した台湾、朝鮮、満州、南洋群島などの学校教育に使用された教科書群、いわゆる「外地教科書」です。

外地教科書のなかにはその土地の衣装や植物の挿絵を掲載するなど工夫を凝らしたものもあります。

教育博物館の宇野慶教授は、「日本でも明治維新の際に江戸時代までの文化・生活様式から脱却し、近代国家としての教育をめざしたという歴史があります。日本が台湾や韓国でも同様のことを行って、アジアの全体的な近代化を推進する意志が、これらの外地教科書からも分かると思います」と語ってくれました。 さらに膨大な近代教科書関係資料が系統立ててまとめられたことから、登録有形文化財に登録されたという経緯もあり、学生に対し文化財に関する教育活動を展開することができたと語る宇野教授。今回の展示はそういった学びの場としても活用できています。

今回は教育博物館初の試みで、非接触型のデジタル展示も展開。一部の外地教科書をデジタルで見ることができます。教科書はモニターに映されており、機材の上に手をかざし、手を左右に動かすことでデジタルコンテンツのページが動く仕組みです。ぜひこちらも会場で体感してください。

今回の企画展は2023年の1月15日(日)まで開催されています。戸田コレクション、外地教科書のどちらも、普段はなかなか目にすることのない展示物です。ぜひ一度、足をお運びください。

2022年度企画展
先史・古代のアジアのやきもの ―戸田コレクションの土器・陶磁器― 同時開催 登録有形文化財登録記念展示 外地教科書

  • 会 期:
    2022年10月24日(月)~2023年1月15日(日)
  • 休館日:
    曜日・日曜日・祝日及び年末年始(12月25日~1月4日)
    但し、以下の日にちは開館いたします。
    11月12日(土)、13日(日)、23日(水・祝)、12月17日(土)、1月14日(土)、15日(日)
  • 時 間:
    10:00~17:00(入館は16:30まで)
  • 入場料:
    無料
  • 主 催:
    玉川大学教育博物館
  • 協 力:
    株式会社玉川文化財研究所
  • 会 場:
    玉川大学教育博物館 第2展示室

◆新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、事前予約制(入替制)としています

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