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「伝統を守り、継承する」聖山労作。本年度は未来に向けたバイオチャーの散布にも取り組みました。

2023.03.09

2019年度より継続的に行われている聖山労作。「守り、継承する聖山」をコンセプトに、幼稚園生から大学生、さらに教職員や卒業生までが参加し、玉川学園のシンボルでもある聖山の環境整備に取り組んでいます。これまでも児童、生徒、学生らがバトンをつなぐように労作に参加してきましたが、2022年度も引き続き皆で整備する運びに。未来につなげる環境の構築を目指し、2023年2月7日(火)に実施されました。
今回は農学部の山﨑旬教授、友常満利准教授、石崎孝之准教授らが中心となって行われ、農学部環境農学科の1〜3年生、教育学部市川ゼミのゼミ生、芸術学部堀場ゼミのゼミ生。そして「「木」を媒介とした取り組みに関する協定」を締結した三菱地所ホーム株式会社の「KIDZUKI」の皆様が参加。午前と午後の各2時間程度の労作となりました。

労作に先立ち、山﨑先生から説明がありました。
「世の中には『聖地』という言葉がありますが、この聖山の周囲には礼拝堂や小原記念館もあり、学園の活動の拠点ともいえる場所です。聖山労作は2019年から続いています。今日はぜひ皆さんで協力し合い、作業を進めていただきたいと思います」。

そしてこの日は学友会のご厚意により参加者全員にお弁当が用意されていました。学友会の髙田事務部長からは「創立者の小原國芳先生は『卒業生が在学生のために力を尽くす。この関係を築くことが僕の夢なんだ』とおっしゃっていたそうです。学友会はその想いを具現化する部署です。今日は皆さんのためにお弁当を用意しましたので、ぜひよろしくお願いいたします」とあいさつがありました。

この後、作業に関する注意事項の説明があり、まずは皆で間伐に取り組みます。伐採する樹木にはあらかじめ蛍光色のビニールテープが巻かれており、学生たちは協力しながら伐採していきました。


また午後には樹木の間伐に加え、バイオチャーの散布が行われました。バイオチャー(biochar)とは木や竹など生物資源を材料とした、環境改善に効果のある炭化物のこと。友常先生はこのバイオチャーの研究に取り組んでおり、散布の前に参加者への説明が行われました。
「皆さんもカーボンニュートラルといった言葉を聞いたことがあるかと思います。これは二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林などによる吸収量を差し引いた数値を実質ゼロにするということです。そこで世界各国でまず排出量を減らすことに注力していますが、これはゼロに向かうだけであってマイナスにはなりません。そこで必要になるのが、積極的に吸収させようという考え方なんです」と友常先生。そのために植林が行われていますが、森林は放置すると二酸化炭素の吸収率が落ちるし、朽ちて落ちた枝は微生物によって分解され、4、50年でまた大気となって放出されるとのこと。「けれども炭化すれば、ほとんどの二酸化炭素は炭として1,000年以上閉じ込めることができます。さらにこの炭を森林に散布することで、樹木が活性化するのではないか。こうした研究に私たちのグループでは10年前から世界で初めて取り組み、ようやくデータが揃ってきたところです」と、友常先生はバイオチャー散布の重要性を説明します。今回の聖山労作では、農学部の実習で出た間伐材や籾殻を炭にしたものを用意し、聖山に散布することに。学生たちは炭の入った土嚢を抱えて森の中に入っていき、思い思いに炭を撒いていきます。こうして友常先生曰く都市域に残された緑地に「世界初となる、バイオチャーの社会実装」に、皆で取り組みました。

今回は樹木の間伐だけでなく、その先の環境作りにも取り組んだ聖山労作となりました。最後に山﨑先生は「私たちの周囲の空気は、見えないけれども二酸化炭素が増えているわけです。友常先生の取り組みを検証していけば、やがてそれが世界中に広がっていくと思います」とあいさつがありました。

また今回参加した地球工作所の山下さんからは「この10年で、学園内の自然環境が整ってきたと感じています。Tamagawa Mokurin Projectも始まっていますが、皆さんも自然に関わり、森の循環の輪の中に入っていただければというのが、私からのメッセージです」というお話があり、学生たちは真剣に聞いていました。

一日がかりで行われた今回の聖山労作。学生たちにとっても、環境に対する意識が高まる機会となったのではないでしょうか。今後も玉川学園では自分たちの手で聖山を守り、継承していきます。

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