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アート・デザイン学科で伊藤園との連携教育が今年もスタート! 今年度のテーマは「人とお茶の関係をリデザイン(再定義)せよ」

2023.05.16
橋本順一教授

芸術学部アート・デザイン学科 メディア表現コースでは、3年生を対象にした「芸術表現学(担当:橋本順一教授)」を開講しています。この授業は1~2年次に学んできた芸術表現に関するスキルや知識や学生それぞれの経験や感性を生かし、企業から課題をいただき、「デザイン思考」による問題解決に取り組む実践力を養う産学連携授業です。

学生たちが解決する課題を提供していただくのは「お~いお茶」ブランドで広く親しまれている飲料メーカー・株式会社伊藤園です。

コロナ禍の2020~2021年度は中止となったこの産学連携教育でしたが、2022年度は3年ぶりに再開。今年は4月24日(月)の授業に4名の伊藤園社員をお迎えして、特別講義が行われました。

授業前には資料とともに伊藤園提供の新商品のお茶飲料も配布。また、授業の途中では「おいしいお茶の入れ方」の実演や、味や色が濃く出る「水出し」の煎茶の試飲も行われました。

当日、お越しいただいた伊藤園社員の講師の方々とそれぞれのお話の内容は以下の通りです。

町田支店長 野村義富さん

「お茶の歴史や種類、伊藤園の取り組みなど」

「お茶はイノベーションを生み出すドリンク」というテーマで、お茶に関するさまざまな話題とともに歴史の中でお茶が果たしてきた役割を解説。戦国時代の千利休や明治の岡倉天心、さらにアヘン戦争やアメリカ独立戦争とお茶の関わりなど各時代の政治や文化とお茶との密接な関係を興味深くお話いただきました。

さらに伊藤園が取り組んでいる「茶産地育成事業」についても解説。新製品開発拠点となる契約栽培農家との連携のほか、耕作放棄地などを活用したお茶の「新産地事業」など、お茶のリーディングカンパニーとして環境に配慮した持続可能な農業への取り組みに関してお話しいただきました。

販売促進部課長代理 西村学さん

「今回の課題とお茶の販売方法など」

まず、今回、学生たちに考えてもらいたい課題「幅広い年代にお茶を広め、販売する方法を考える」を提示され、「幅広い年代」の中でも伊藤園が特に注目しているのが「Z世代」「スマートシニア」「働く女性」であることをご紹介いただきました。学生の提案内容は茶葉、ティーバッグ、粉末、ペットボトルなどの飲料製品など商品の種類は問われませんが「立地・購買層・季節・商品特徴」を明確に設定した提案であることが求められます。

続いて学生が課題を考える際のヒントとなるお茶の消費動向、市場の変化、もっとも購入者が多いスーパーマーケットなどでの販売方法などについて具体的に解説。そして茶葉の消費量は減っているが、お茶を含む無糖飲料は増加していること、インスタントやティーバッグの販売が増加していること、そしてお茶専門店からスーパー・コンビニやネット販売への移行などについて、統計・データに即してお茶市場の現状をレクチャーしていただきました。

また販売方法に関して、今年6月に開催予定の「水出し大茶会」やアニメ映画とのコラボ企画、自治体のスポーツや健康イベントへの協賛などを紹介。アフターコロナの時代に向けて消費者とのリアルな接点を増やしていく販売戦略やSNSの活用についての取り組みなどについてもお話しいただきました。

さらに1966年創業の伊藤園の歩み、「自然・健康・安全・良いデザイン・おいしい」という商品開発コンセプト、多彩な商品ライナップとウェブサイトで展開する「お~いお茶」のブランディングなど、学生たちがこれから授業の課題に取り組むにあたってヒントや情報が多く含まれたお話となりました。

緑茶ブランドグループ 柿崎美智子さん

「伊藤園の商品開発について」

続いて登壇されたのは、これまで「お~いお茶 濃い茶」「お~いお茶 カテキン緑茶」などの商品開発を担当されてきた方でした。今回は、新しく開発された「晴れのち曇り時々お茶」の商品企画~パッケージなどのデザイン構築~販売促進戦略までの流れを実例に即して具体的に解説していただきました。「晴れのち曇り時々お茶」は緑茶、ほうじ茶にりんご、レモン、ももを合わせた新感覚のフルーツティーです。柿崎さんたち開発スタッフはまず商品特性を踏まえ、ツバメのイラストを配したかわいいパッケージデザイン、作家・汐見夏衛氏によるWebオリジナルストーリーなど、メインターゲットである女性消費者がときめくストーリー性の構築を推進し、「お茶と果実の新しい出会い」というコンセプトのもと、渋谷・ミヤシタパークでのイベントやSNS、インフルエンサーを活用した販売促進戦略を展開。大学生などへのアンケート調査も行い、新しいフレーバー追加など今後の展開への準備などのお話も伺うことができました。学生からは「企画段階から販売促進のことを考えているのですか?」「商品企画にはどのくらいの時間が与えられるのですか?」などの質問も寄せられ、なかなか知ることができない商品開発の現場について多くの学びがありました。

神奈川西推進本部 課長 稲村彰人さん

「おいしいお茶の入れ方」

最後に登壇した稲村さんは、急須と茶葉を使ったおいしいお茶の入れ方について、実際に6名の学生に体験してもらいながらレクチャーしました。

  1. 茶葉を急須に入れる(中蒸し茶でティースプーン中盛り2杯・約4g)。
  2. ポットの熱湯を一度茶碗に移し、温度が下がった(約80℃)お湯を急須に注ぐ。
  3. 30秒後に、二つの茶碗に4~5回に分けて交代にお湯を注ぐ(まわし注ぎ)。茶葉を躍らせるイメージで、色や味が均一になるように。
  4. 急須の蓋を親指でしっかり押さえて、最後の一滴まで残さず注ぐ。
  • 二煎目は熱め(約90℃)のお湯を直接急須に入れ、滲出時間は一煎目の半分が目安。うまみより爽やかな渋みを楽しむ。

教室にいる多くの学生は急須でお茶を入れた経験がなく、実演する6名の所作にじっくり注視。透明な急須を使ったので、お湯を注いだ後に茶葉が開く様子なども観察できました。

壇上の学生たちは自分で入れたお茶と隣の人のお茶を試飲し、「同じ入れ方なのに隣の人と味が違うのが面白い」「ふだん飲んでいるペットボトルのお茶と比べると格段に深い(濃いではなく)味がする」など感想を述べていました。

学生たちは5月以降に「幅広い年代にお茶を広め、販売する方法を考える」という今回与えられた課題にグループで取り組み、7月には再び伊藤園の方々の前で、プレゼンテーションを行う予定です。

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