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関東財務局による金融経済教育講座を観光学部の学生が受講。これからの時代に欠かせない金融リテラシーについて学びました。

2023.06.29
鎌田教授

5月17日(水)、観光学部鎌田ゼミの学生を対象に、金融経済教育講座が開催されました。
この講座は財務省関東財務局が地域連携の一環として行っているもの。金融教育の一環として小学生から高齢者までを対象に、それぞれの年代に合った内容で金融に関する基礎知識の普及を目的に実施されています。
今回、鎌田ゼミの学生を対象に行われるのは「ライフプランと資産形成」というテーマでの講座です。人生100年時代といわれる現在、若い世代にはこれまで以上に明確な目標を持った生活設計や家計管理、資産形成が求められます。また2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられたことにより、さまざまな契約を行うことが可能に。貯蓄・投資・契約といった「お金とのかかわり」についての理解を深める金融リテラシー教育の重要性は、これまで以上に増しています。「観光経済学」などの授業を担当している鎌田伸尚教授のゼミではマネジメントやマーケティングをテーマに学ぶ学生も多く、投資を含めた経済に関する知識を深める絶好の機会となりました。

この日、関東財務局から来校し、講座を担当してくださったのは関東財務局の佐藤拓真さん、中村拓巳さん、栁麻里さんです。
最初に登壇したのは、入省3年目で学生たちとも年齢の近い佐藤さんでした。佐藤さんが最初に取り上げたのは成年年齢の引き下げについて。2022年4月から成年年齢が引き下げられたことで、18歳で父母の親権に属さず、さまざまな契約ができるようになりました。携帯電話やクレジットカード、賃貸住宅なども自分の意思で契約ができます。「だからこそ、消費者トラブルなどに巻き込まれる可能性も高くなっています」と佐藤氏。
そこで重要となるのが、お金とのかかわりかたです。お金は「企業・銀行・家計」の間を血液のように循環しています。佐藤氏は「充実した人生を送るためにお金は重要です。そこで求められるのが金融知識と判断力。まずはライフプランを立てることから始めましょう」と学生たちに説明しました。人生の計画は学生一人ひとりで異なりますが、共通するのは大きな出費です。「住宅、教育資金、老後資金。これらは人生において大きな出費が見込まれる三大イベントです」と佐藤氏。特に老後資金に関しては人生100年時代といわれる現在、65歳で定年を迎え、その後の35年の人生で年間312万円(毎月26万円)が必要になると考えると、定年までに1億900万円の貯金が必要になります。ただ、お金を銀行に預けていても利息で得られる金額はほんの僅かです。「金融の世界では『72の法則』という計算式が知られています。お金を2倍にする期間がどれくらいなのかを計るもので、『72÷金利(%)=お金が倍になる期間』となります。皆さんのお祖父さんの時代は金利が8%だったので9年で倍になりました。お父さんの時代は6%だったので12年。それが皆さんの場合は0.001%なので、7万2000年かかる計算になります」という佐藤さんの言葉に、学生たちも驚きを隠せません。そこで債権や株、投資信託といった金融商品を賢く使い、積極的に資産運用を行うことがこれからは必要になります。

ここからは入省5年目の中村さんが担当します。「資産形成のポイントとしては、リスクを抑えてリターンを上げることが重要です」と中村氏。リターンを増やすにはリスクが伴いますが、ここでいうリスクとは利益が出るか損をするかといった可能性の振れ幅のこと。リターンを期待するほど振れ幅も大きくなるので、長期・積み立て・分散といったことを意識し、リスクを上手にコントロールしながらコツコツとお金を増やしていくことが大事ですと、中村氏は学生たちに説明。その上で、近年注目を集めているつみたてNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)に関する説明も行われました。そして中村氏は投資に関する詐欺についても言及。「投資の世界には、自己責任の原則という言葉があります。投資は投資家自身の判断と責任で行うということですね。金融の情報の関心を持ち、知識と判断力を身に付けた上で投資を行ってください」と学生たちに伝え、今回の講座は終了しました。

最後に質疑応答が行われました。
「若い世代は友人の結婚など急な出費もあり、貯金が大切だと思います。でも投資したお金はすぐに現金化できるわけではありません。貯金と投資の最適なバランスとは?」という質問に対して、栁さんからは「貯金も投資も普段の生活に支障が出ない範囲で行うことが大切です。双方に回す金額を毎月決めておいて、余った分は適宜考えてみては?」と回答がありました。また「つみたてNISAやiDeCoを薦める理由を教えてください」という質問には、「日本は海外と比較しても投資の意識が薄いといわれています。ただ先ほども説明したとおり、貯金をしていてもお金が増えるわけではありません。『お金にお金を生み出してもらう』という意識で、投資を考えてもらいたい」と回答。この他にも学生からのさまざまな質問に丁寧に対応いただきました。

情報リテラシーという言葉が広く知られるようになり、学生たちにも浸透していますが、同様に金融についてもこれからの時代はリテラシーが求められます。そして正しい資金運用には、日々変化する経済や社会についての知識が欠かせません。学生たちがこれからの人生できちんと投資と向きあうことで、社会人としての素養も高めていくことに期待しています。

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