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包括連携協定を結んだ福島県・川内村の遠藤雄幸村長による特別講演を開催。想像すること、現場を見ることの大切さを学生に伝えました。

2023.11.29

11月6日(月)、玉川学園は福島県双葉郡川内村と連携・協力に関する基本協定を締結しました。調印式が学園内で執り行われ、その後川内村の遠藤雄幸村長による特別講演がSTREAM Hall 2019で開催されました。
2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故により避難指示の出された川内村。2012年1月には避難自治体の中でいち早く帰村宣言を行い、現在では約80パーセントの村民が帰還しています。玉川学園と川内村は、2014年から教育学部の原田眞理教授のゼミ合宿が行われたり、村の特産品を使用して学食のメニューを開発するなど、多くの連携を行ってきた経緯があります。今回の遠藤村長の特別講演も、原田ゼミが主幹となり実施されました。

「いまを乗り越え、その先へ Go Beyond!」と題された特別講演は、まず教育学部長・佐久間裕之教授の挨拶から始まりました。
「川内村は2万ヘクタールの森を擁すると伺っています。本学創立者の小原國芳先生は『大自然の中で思う存分土に親しみ、日光を浴び、風に吹かれて生きてこそ、心身共に健康な人間になれる』と語っていましたが、まさに川内村はそうした環境なのではないでしょうか。今回の連携で教育文化・産業・まちづくり・学術等々、さまざまな交流をしていくことになります。本日は遠藤村長からこれまでの歩み、それから未来に向けてのお話を賜ることを大変楽しみにしております」。

続いて原田先生が「本日、無事包括連携協定を結ぶことができ、安心しているところです。2011年の原発事故で避難を余儀なくされた12市町村で唯一、当時から首長を務めているのが遠藤村長です。当時は避難や帰村に関して、当事者の人生や時間を無視した出来事が数多く起きていました。そうした中で川内村はいち早く帰村宣言を行いましたがその内容が素晴らしいもので、『戻れる人から戻ろう』と、遠藤村長は村民の気持ちの側から発信をされていました。以来今日まで、川内村は復興のモデルとなる活動をされています」と紹介し、遠藤村長が登壇しました。

講演の冒頭、「このキャンパスに足を踏み入れて驚きました。こういう場所でお話をさせていただくこともとても嬉しいですし、川内村の子どもたちにもこういうキャンパスを作ってあげたいなとつくづく思います」と語った遠藤村長は、「先ほど包括連携協定を締結しましたが、8学部で学生の皆さんが学ぶ玉川大学と連携することで、地域の問題を解決していくことに期待しています」と、今後に期待を寄せました。
避難前の、自然が豊かで農業・林業・畜産業が盛んな当時の川内村について語る遠藤村長。そして震災と原発事故で大きく変わってしまった村についても触れました。

「避難が解除され役場機能も戻りましたが、住民の皆さんは不安を訴えます。特にお子さんが小さいご家庭の不安は尽きません。一方で高齢者からは、村で最後を迎えたいといった声も聞かれました。また戻れる場所と戻れない場所でも線が引かれ、賠償金額の多寡でも線が引かれ、さまざまな場面で分断が起こりました」。行政と住民の信頼がないと、復興はなかなか進まない。生き方の根源を問われるような年月だったと、遠藤村長は当時を振り返ります。そして復興の影の部分があれば、光の部分もあります。80パーセントまで回復した人口や、戻りつつある産業。震災前にはなかったようなインフラ整備も進んでいます。

「原発事故が起きるということに、思いを巡らすことができていませんでした。きちんと考えていれば、原発関連死で亡くなった人の数も、減らすことができたかもしれません。そしてこうした震災や事故では、どうしても脆弱な部分にしわ寄せが来てしまいます。それは、自治体の課題がある箇所が可視化されると言い換えてもいいかもしれません。だから自分たちの自治体の、弱い箇所を想像することが大事になります。現場に触れるというのは、まさにそのことです。だから是非、一度川内村を訪れてほしいと思います」。
講演の最後で、遠藤村長は「我々現役世代がやらなければいけないことが二つあります。一つは今ある課題を、できるだけ後世に残さない努力をしていくこと。そしてもう一つが、それでも後世に残ってしまった問題を解決していく人材を育てていくことです」と語ってくれました。その上で「原田先生や学生の皆さんが震災後から村を訪れてくれただけで、どれだけ川内村の住民が勇気をもらえたか。来てもらえるだけで、それが復興につながるのです。今後もいろいろな連携ができるといいなと思います」と学生たちに話し、この日の講演は終了しました。
講演後、学生からの質問に答えてくださった遠藤村長。原発稼働の是非などさまざまな質問が学生から寄せられました。そうした中で村長自身が考える川内村の魅力について学生から問われると、「川内村のような中山間地域の魅力は、やはり自然とのコラボレーションにあります。そして、どんな状況になっても希望を捨てない村民性でしょうか」という回答が印象的でした。

包括連携協定により、これまで以上に結びつきが強まった玉川学園と川内村。今後はさまざまな学部と連携することが期待されます。

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