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『非常ベルは聞こえているか!!』をテーマに主権者教育特別講演会を実施

2023.12.25

2016年6月に改正公職選挙法が施行され、選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられました。多くが18歳・19歳・20歳の年代である大学1・2年生も未来を担う主権者=日本国民として政治に参加する道が拓かれ、同時に若い世代への主権者教育の推進が求められています。

玉川大学では学生一人ひとりが主権者としての意識を養うことを目的に主権者教育を継続的に行っています。2023年12月4日(月)、玉川の丘に元石川県の私立高校教員、オリンピック選手、プロレスラー、国会議員、文部科学大臣という華麗な経歴を持つ馳 浩 石川県知事をお迎えして、「主権者教育『非常ベルは聞こえているか!!』」と題して「主権者教育特別講演会」を開催しました。
会場となった大学教育棟2014 521教室には、文学部と工学部ソフトウエアサイエンス学科の1・2年生のほか、玉川学園12年生、また玉川学園関係者など約270名が集まり、馳知事をお迎えしました。

講演会は中田 幸司 玉川大学文学部長を聞き手として馳知事にお話をうかがうスタイルで進行しました。中田文学部長のお父様が馳知事の大学時代の恩師とのことで「14歳からの友」(馳知事)という旧知の仲。「18歳選挙権の時代なのに投票率は上がらない。政治家としてどう考えるか?」「アスリートから政治家への転身の理由は?」「有権者は政治家の公約を十分理解していると思うか?」など、ストレートな質問を連発し、それに対して馳知事は一つひとつ会場の学生たちにもわかりやすく、かみ砕いた表現で回答をされていました。

馳知事が政治家になるきっかけとなった大きな出来事は、プロレスラー時代に故アントニオ猪木氏らと北朝鮮に渡って試合をした経験だったそうです。ピョンヤン滞在時に感じた「違和感」から、まず日本と北朝鮮の国交正常化を一つの目標として政治家を志しました。また、高校教員としての経験を生かして学校教員の処遇改善も公約として1995年に参議院議員に当選。その後、衆議院議員に転身し、国会議員時代には37本の議員立法に関わりました。その中には児童虐待防止法、発達障害者支援法、性同一性障害者特措法や動物愛護法なども含まれているそうです。

「国会議員としてどのような問題に取り組むかを察知するアンテナを張り巡らせるためには、たくさんの人と会うこと、街に出て行くことが大切」と話す馳知事は、年間1200回の街頭演説をこなし、NPO団体などにも積極的に足を運ばれたそうです。そんな国会議員時代の大きな仕事の一つに「GIGAスクール構想」があります。全国の児童・生徒1人に1台のコンピューターと高速ネットワークを整備する文部科学省の取り組みで、馳知事が文部科学大臣・教育再生担当大臣だった2015年より計画が進み、コロナ禍直前の2019年にスタートしました。

中田文学部長の「世界と比較して日本は女性の政治家が少ないことをどう思うか?」という問いかけには、「このままではぜったいダメ」と即答されました。少子化時代を迎え、子どもを産み育てる社会環境づくりが急務である今は「政治家の半分が女性であるべきだと私は思う」と断言され、知事就任後、県庁においても副知事に女性を任命することを決めていたそうです。同時に市民の意識の中で家事・育児の共同参画の意識を高める必要性も力説され、「男性が家事や育児を『手伝う』と言っているうちはダメ。自ら参加するという主体性が必要です」と会場にいるすべての男性に呼びかけました。馳知事ご自身は、知事である今もご家族が東京で生活されていることもあり、家事や買い物をすべて自分で行っているそうです。
2022年3月に石川県知事に就任後、馳知事は地域振興、産業振興、教育・子育て、医療福祉、文化・スポーツなど200ほどの課題を実現してきました。特に力を入れてこられたのは県政のデジタル化です。知事と副知事直轄のデジタル行政チームにより県内の各市町村のデジタル化を推進。また、「県内観光データをオープンデータ化」「デジタル道路通報システム」、さらに生成AIによる知事をモデルにした広報キャラクターがSNSで石川県の魅力を毎日PRするという「AI石川県知事 デジヒロシ」などを展開しています。

講演の最後には元文部科学大臣として「私立大学の未来」についてコメント。「少子化の時代にかかわらず私立大学は倍増しました。このままでいられるわけがなく、各大学は広報戦略によって各大学の特色と魅力をさらに打ち出す必要があります。その過程で企業のようなM&A(合併・買収)も必要になってくるはずです。18歳以上の大学生は国政の主権者でもあるわけで、自分が学長のつもりで自分が学ぶ大学の未来を考えてみてほしい」と会場に向かって語りかけました。

講演会後、馳知事は会場の学生たちからの質問に直接答えました。「人口減、税収減の日本でどのような政策が必要と考えるか?」「これからあるべき学校像、教師像をどのように考えているか?」「デジタル行政に力を入れているきっかけと目的」など、学生たちの質問に笑顔で丁寧に回答する姿が印象的でした。最後に石川県と玉川大学の連携を呼びかけ、学生たちに「ぜひ石川県に遊びに来てください」とアピール。大きな拍手とともに会場を後にしました。県知事としての多忙な日々の中、玉川の学生たちに政治や社会に目を向けることの大切さを訴え、次の時代を創造する期待を投げかけていった馳知事。大勢の学生がその真摯なメッセージを胸に刻んだことでしょう。

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