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Primary Division1年生が、環境負荷を抑えた新しい間伐を体験。1年をかけて自然に親しむ、「丘めぐりとTamagawa Mokurin Project」の第一回が行われました。

2024.07.12

5月24日(金)、K-12 Primary Division1年生が、自然観察と間伐体験に参加しました。
2022年に玉川学園でスタートした「Tamagawa Mokurin Project」。キャンパス内の樹木の整備と学園での学びを「木輪=Mokurin」でつなぐことを目的に、生徒および学生、教職員が木にかかわり、木に対する親しみや理解を深めることを活動の原点にしています。今回の自然観察と間伐体験はその一環であり、「丘めぐりとTamagawa Mokurin Project」と題した四季を通じて行われるプログラムの第一回目となります。

動きやすい服装に着替え、経塚校舎のエントランスに集合する1年生たち。この段階で元気いっぱいです。最初に、この日のプログラムを担当する農学部の学生の皆さん、総務部管財課の皆さんの紹介があり、農学部環境農学科の山﨑旬教授から子供たちにむけてお話がありました。

<山﨑旬教授>

「今日は皆さんに、少し変わった方法で森を守ることに挑戦してもらいます。またたくさんの木々に触れたり、その周りにいる虫たちを観察したりもします。今日一日、楽しく過ごしましょう」という山﨑先生に、「よろしくお願いします!」と応える児童たち。
間伐を行うのはキャンパスの最も奥に位置する東山ですが、移動中もさまざまな樹木について観察していきます。経塚オフィス棟前にあるヒメシャラは樹皮が薄いことが特徴であり、皆で樹木の表面をこすってみます。また中央校舎横に生えている巨大なダイオウマツも分厚い樹皮に覆われていますが、同様に容易に皮を剥ぐことができます。「皆さんもお風呂で身体を洗うと、古い皮脂がポロポロと取れていきます。樹木も同じなのです」と山﨑先生。またオオムラサキツツジの葉を観察すると、両面に細かな毛が生えています。「洋服についても簡単には落ちないんですよ」という山﨑先生の説明を聞くと、早速試してみる児童たち。この他にも落ち葉を掘り起こし、中に生息している昆虫を観察するなど、玉川学園の自然を堪能しながら目的地へと向かいました。

こうして訪れた目的地は、キャンパス内とは思えないほど木々が生い茂った、里山と呼ぶにふさわしい場所でした。今回の間伐は樹木を伐採して間引くのではなく、剥皮間伐という手法で行います。「実は樹木は、全体を覆う樹皮を剥がしてしまうと枯れてしまうのです」と、山﨑先生は児童に分かりやすく説明します。樹木は葉で作った栄養分を樹皮の中の細い管(師管)を使って幹や根などに送り届けていますが、樹皮を剥がすことでこの機能が働かなくなり、むき出しになった材は乾燥がすすみ、立ったまま徐々に落葉して枯れていきます。すると空間が広がり林内に光があたるようになります。剥皮間伐はこうした樹木の特性を活かした間伐方法で、非力な子どもでも取り組めるというメリットがあります。伐採するまでに時間はかかりますが、水分が抜けて樹木の重量も軽くなり、重機を使う必要もありません。また乾燥機を使わないのでひびも入りにくいなど、環境負荷を抑えたさまざまなメリットがあるのです。こうした間伐方法はまだ一般的には広く周知されておらず、今回の間伐体験の支援で来てくださった造園業者の皆さんも山﨑先生の説明に真剣に耳を傾けていました。

まずはお手本をということで、山﨑先生が杉の木の皮を剥いでみると、床柱のような綺麗な幹が姿を現します。「触ってみるとすべすべしているだけでなく、たくさんの水分を含んでいることが分かります」という山﨑先生の説明に、手を伸ばして樹木に触れる児童たち。
そして先生や農学部の学生に手伝ってもらいながら、剥皮を体験してみます。杉の上部まで皮を剥ぐことができると、子どもたちも大喜び。アッという間に7〜8本の杉の木の剥皮間伐が完了しました。

この日間伐した杉は木材としてだけでなく樹皮も教材として使用する予定です。樹木の皮を剥ぐという方法で、里山の間伐に貢献することができた児童たち。山﨑先生の「今回は皆さんの力で、伐採するべき樹木を間伐することができました。でも、街路樹やお庭の木の皮をむやみに剥いだりしてはいけませんよ」という注意に、「はい!」と大きな声で返事をします。児童たちがこの日の体験を自宅に帰ってご家族に話すことで、樹木に対する興味や理解を木輪のように広げていくことが、玉川学園の目標でもあります。この「丘めぐりとTamagawa Mokurin Project」は、今後は7、11、1月と、季節が変わるたびに行っていく予定です。

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