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樹皮を用いて、子どもたちが思い思いのモチーフを制作。里山環境を教育に活用するTamagawa Mokurin Projectのワークショップ。

2024.08.02

生徒および学生、教職員が木にかかわり、木に対する親しみや理解を深めることを目指して2022年にスタートした「Tamagawa Mokurin Project」。その一環として今年5月には、K-12 Primary Division1年生が学園内で自然観察と間伐を体験しました。樹皮は葉で作った栄養分を樹皮の中の細い管を作って幹や根などに送り届けていますが、樹皮を剥がすことでこの機能が働かなくなり木を乾燥させて枯らせるという間伐方法です。この時に剥いだ樹皮を使ってアート作品を制作するワークショップが、7月5日(金)に行われ、剥皮による間伐体験に参加した1年生が取り組みました。

5月の間伐体験の様子

このワークショップの指導を担当するのは、芸術学部アート・デザイン学科の堀場絵吏講師と3名のゼミ生。そして管財課の職員や保護者の皆さんも参加して行われました。
最初にクラス担任の先生から間伐体験の振り返りが行われました、間伐がなぜ必要なのか、間伐材がどのように活用されるのか。そして、適切な間伐を行うことで森が更新されていくことや、間伐材を有効活用することが大切だということを、子どもたちも思い出したようです。このワークショップでは剥皮による間伐の際、皆で一生懸命剥がした樹皮を使用します。この樹皮は間伐時にも廃棄せず、子どもたちが競い合うように集めたものです。今回のワークショップで活用することで、間伐材を有効活用することの大切さについても考えていきます。

先生からの説明の後、堀場先生と大学生たちによる作業の説明がありました。間伐で剥がした樹皮を外樹皮と内樹皮に分け、内樹皮をハサミでカットしたり紙やすりできれいに整えていきます。そうして出来上がった樹皮のブロックを組み合わせることで、動物や植物、乗り物など、子どもたちが思い思いに一枚の絵を作成していくのです。
どのように制作していくのか、そのお手本を芸術学部の学生が見せていきます。四角い樹皮のブロックをいくつか組み合わせて動物のような形状を作った後、最後に細い外樹皮を尻尾のように加えると、子どもたちから「おさるさんだ!」と声が挙がります。尻尾というモチーフを加えるだけで一気に猿に近づけた大学生の表現力を目の当たりにして、子どもたちの頭の中にもアイデアが広がったようです。

説明を聞いた後、子どもたちはイメージをふくらませながら制作に取り組みます。花や動物、乗り物など、それぞれの頭の中に作りたいもののイメージがありますが、樹木の節の周囲の樹皮をクワガタムシの大顎に見立てるなど、自然の形状を活かそうとする子どもも。樹皮が硬い場合は学生や職員が代わりにハサミで切りますが、彼らと話をするうちにアイデアがまとまっていく子どももいます。また、恐竜を作った子どもが向かい側に座る子どもから「こっちからだと角のあるシカに見えるよ」と言われ、「本当に?」と言いながら逆側から見てみるといった様子も。このワークショップは一週間前の6月28日(金)にも別のクラスでも実施。小学部では1年生のクラス編成を誕生日順で割り振っていますが、「生まれ月が遅い子どものクラスは、やはりハサミを使うにも握力が足りないので、用いる樹皮や作品のスケールが比較的小さくなるようです」と、堀場先生にも気づきがあったようです。子どもたちの作品は、仕上げとして木工用ボンドを使ってクラフトボードに貼り付けて完成です。樹皮がきちんとボードに定着するよう、このボンドにも木屑が練り込まれています。

今回、子どもたちの指導を担当した芸術学部アート・デザイン学科の学生に話を聞きました。

「卒業制作で木育を取り上げる予定なので、子どもたちが木とどのように触れ合い、何を学ぶのかを実際に見てみたいと思い、今回参加しました。印象的だったのは、作ってみたいものを迷うことなく形にする、子どもたちの創作に夢中な姿です。卒業制作でも子どもたちの創造力を引き出せるような作品を作りたいと思います。卒業後は遊具メーカへの就職が内定していますが、遊具を通して子どもたちの遊びを支援していきたいです(4年・江原望叶さん)」

「以前から堀場先生の課外プロジェクトに参加しており、授業とは異なる実践的な経験を積んできました。またアルバイトで学童に参加するなど子どもとかかわることが多いので、今回のワークショップも非常に楽しみにしてきました。事前に準備を行った上で当日に臨みましたが、実際に木材で作品を作った経験を活かし、木の扱い方を上手く伝えることができました。ボンドに木屑を練り込んだのも、準備の段階で試行錯誤した成果です(4年・塚田友里加さん)」

「子どものワークショップをお手伝いしたことがありとても楽しかったので、堀場先生から今回のお話を聞いたときも是非参加したいと思いました。小学部を訪れるのは初めてでどんな雰囲気なんだろうと思ったのですが、子どもたちはとても元気で、こちらの話もちゃんと聞いてくれました。意識したのは、たとえば樹皮を切る際も私のほうで半分くらい切ってから任せてみるなど、子どもたちに手を動かしてもらうこと。そこは狙い通りにできたと思います(3年・須藤翠さん)」

かつての里山は私たちの生活圏の近くにあり、間伐した木を建築資材に、枯れ枝などを燃料にと余すところなく使い、それにより里山環境を整備・循環してきました。同様にTamagawa Mokurin Projectも、学園内の里山環境を教育活動に活用。新しい形の循環を目指していきます。

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