高い意識で取り組み、見応えのあるディスプレイに。町田マルイのディスプレイを制作した芸術学部の学生たち。

2025.02.18

玉川大学と町田マルイは、毎年ウインターシーズンに芸術学部の学生が企画・制作したウィンドウディスプレイを展示する共創プロジェクトを実施しています。2024年も12月7日から26日まで、町田マルイ2階のペデストリアンデッキウィンドウを飾りました。このプロジェクトは、芸術学部の授業「共創芸術プロジェクト」の一環として行われており、学生たちは企画から提案、制作、展示まで一連のプロセスを担います。3年生1名と2年生13名の計14名がプロジェクトに取り組みました。学生たちは3つのグループに分かれてデザイン案を考案し、町田マルイ担当者へのプレゼンテーションを行いました。その結果、選ばれたデザイン案を履修生全員で協力して完成させました。今回は、そのデザイン案を考案した望月康平さん、横山蒼依さん、吉原もも花さん、林佳歩さん(いずれも2年生)に制作の感想を聞きました。

プロジェクトは、7月に履修生全員で現地調査を行い、スタートしました。4人は世界のウィンドウディスプレイなども参考にしながら、視認性を高めるため大きめのオブジェクトを用いることを提案しました。また、過去に採用されてきた白を基調としたデザインから一線を画し、より目を引く原色を用いることを決意しました。こうして完成したのが、「好きを貫け!」をキャッチフレーズに、青い矢が大きなハートを射貫くデザイン案です。矢の内部が光ったり、モビール仕様の小さなハートが回転したりするなど、視覚的な仕掛けも満載です。ビビッドな色彩と動きの組み合わせは、年末の慌ただしい時期の中でも、多くの人々の目を惹きつけました。

今回のデザイン案は天井から吊すモチーフがほとんどだったため、軽い素材の選定に苦労しました。「矢を木材で作るととても重くなってしまうため、筒状のプラスチックを探し、その上に青いフィルムを貼りました」と吉原さんは話します。矢だけでなく、専門業者に手配しなければ入手できない材料も多く、素材の選定や発注の難しさを実感しました。また、横山さんは「小さなハートや鳥かごの制作を担当したのですが、どのように加工すればいいか分からず、とても悩みました」と振り返ります。最終的に小さなハートはアクリル板、動くハートはステンレス板で制作することに決め、STREAM Hall 2019のメーカーズフロアで工学部の先生に教わりながら加工しました。鳥かごはK-12のアートラボにある、コンピュータ制御による切断機を使用し、木の板をカットしたものを立体的に組み上げて制作しました。この経験を通して、デザインやアート表現には工学など幅広い知識や技術が必要だと痛感しました。プレゼンテーションでは想定外の質問も多く、企画から制作までの過程では様々な困難に直面しました。しかし、学生たちは多くのことを学びました。

告知ポスターなどのグラフィックを担当した林さんは、「タイポグラフィに関する授業で学んだことが、ポスター制作時のキャッチフレーズの書体選定や、躍動感のあるレイアウトに活かされました」と語ります。また、これまでグラフィックデザインを中心に学んでいた林さんですが、立体の造形物への興味も深まりました。望月さんは、「これまで一人でデザイン作業を進めることが多く、それが一番早いと思っていました。しかし、今回多くの人と一緒に作業をし意見交換をする中で、自分にはないアイデアを得ることができ、とても勉強になりました」と制作姿勢に良い影響があったようです。

このプロジェクトの指導担当である芸術学部の堀場絵吏講師は「ウィンドウディスプレイは、材料の重量や耐火性など、様々な制約がある表現媒体です。さらに、町田マルイさんのご要望に沿いつつ、納期を守ることが求められます。学生たちは、普段の制作活動よりも多くの制約の中で、高い意識を持って取り組んでくれました。その結果、非常に魅力的なディスプレイデザインに仕上がりました」と振り返りました。同様に指導を担当した芸術学部の栗田絵莉子講師は、「今回初めてこのプロジェクトを担当し、学生たちが描いたイメージをどのように具体的な形にしていくかに注力しました。初めての素材や技術に挑戦しながらも、学園の設備や先生方のサポートを得て見事作品を完成させました。彼らの努力には感心しています」と、学生たちの頑張りを称賛しました。

玉川大学では、産官学連携による「プロジェクト型授業」を数多く実施しており、学生たちは実践的な学びを体験しています。毎年行われている町田マルイとのウインターシーズンにおけるウィンドウディスプレイ制作プロジェクトは、学生にとって貴重な経験となっています。企業へのプレゼンテーションや多くの人に見られる作品作りを通して、さまざまなことを学ぶ機会となりました。

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