赤ずきんと図書館を巡る。芸術学部の学生が教育学術情報図書館の展示企画に取り組みました。
玉川学園創立95周年企画として2024年11月28日から2025年1月28日のまでの2ヶ月間、芸術学部と教育学術情報図書館による共催企画「童話で巡る大学図書館 〜図書館を知る一歩へ〜」を開催しました。教育学術情報図書館では近年、学部教員による推薦図書の展示など様々な企画を実施しており、2024年度はさらなる活性化と来館者数の増加を目指し、芸術学部に協力を依頼しました。この依頼を受け、堀場絵吏講師のゼミ生10名が企画の提案から制作までを一貫して担当することとなりました。
この企画は2024年4月にスタート。教育学術情報図書館の松本博文館長によるレクチャーから始まり、月に1回程度の打ち合わせを重ねていきました。そして堀場ゼミでは学生が2グループに分かれて企画を立案。7月にプレゼンテーションを行い、童話『赤ずきん』をモチーフにした企画が採用されたのです。

今回の企画は前期(11月28日〜1月14日)と後期(1月16日〜1月28日)に分かれており、前期はデジタルスタンプラリーを実施。膨大な蔵書数を誇る教育学術情報図書館を「本の森」に見立て、森(図書館)を探索する赤ずきんの足跡を辿ることで、参加者を図書館内に誘導していきます。途中5箇所にスタンプがあり、これらをコンプリートした参加者にはオリジナルステッカーをプレゼントする、という流れに。また起点・終点となる図書館2階のメディアショーケースには、『赤ずきん』に登場する狼が設置されています。図書館にやって来た学生が最初に通る場所でもあり、企画のアイキャッチになると同時に、デジタルスタンプラリーの参加者が最後に石を狼のおなかに投げ入れる仕組みになっており、これが参加人数をカウントすることにもつながっています。そして後期は、石の重さで動けなくなった狼に赤ずきんが本を薦め、狼が本の面白さに気付くという設定で、お薦めの本を紹介するという内容に。途中に冬休みも挟みましたが、326名がこの企画に参加したそうです。






参加した学生からは、「赤ずきんというアイデアは私が出したのですが、そこにみんなが出したアイデアで肉付けしていく過程が大変でした。いろいろな意見を出してもらうために積極的に声をかけたり…。授業の最初の頃はよく知らなかった学生も多かったのですが、全員とコミュニケーションが取れるようになったと思います(太田京介さん)」、「これまで制作してきたものよりもスケールが大きかったので、誰かに作業を任せたり、何かを『決める』という場面が多く、そういう力が身についたと思います(稲垣温大さん)」、「企画に参加してもらうことがゴールではなく、図書館に興味を持ち、継続的に来てもらうことが重要なので、スタンプラリーの形式で館内をくまなく巡ってもらうことを考えました。(荻原廉さん)」といった感想が聞かれました。
指導を担当した堀場先生は、今回の企画を振り返り「この企画は、様々な仕掛けが組み込まれており、全体をまとめながら進めることが非常に難しかったと思います。例えば、参加者にスタンプラリーに挑戦してもらうのであれば、記念品を用意するべきだとか、その記念品はどのようなもので、どのように配布するかなど、細部まで検討する必要がありました。学生たちは、互いの意見やアイデアを出し合いながら、これらの課題をクリアしていきました。今回の企画のポイントは、まさにそこにあると言えるでしょう。」と述べました。また、本番に先立ち11月に行われたコスモス祭で試作品のパネルを展示したことが、本番でのスムーズな作業に繋がったとのことです。「もし、もう一度この企画を依頼されたとしても、学生たちだけで十分にこなせると思います」と、学生たちの成長を高く評価しました。単に美しいデザインを作成するだけでなく、依頼者の要望を聞き取り、目標を設定し、チームでアイデアを出し合いながら企画の細部まで作り込み、最終的に期限内に成果を出す。芸術学部が掲げる「芸術による社会貢献」の実現には、このようなプロセスが不可欠です。今回の企画を通して学生たちは、これらの能力を身につける貴重な経験を得られたのではないでしょうか。
