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学園の理念を象徴する場を、自分たちで整備する。今年も学生たちが参加しての聖山労作が行われました。

2025.03.26

「守り、継承する」をコンセプトに、2019年度から継続的に行われている聖山労作。これまでも幼稚部生から大学院生、教職員や卒業生までが参加し聖山の環境整備に取り組んできました。本年度も2月12日(水)に実施され、総務部管財課や株式会社タマガワイーサポート、株式会社濃沼植木の協力のもと多くの参加者が落ち枝の片付け作業や植樹などを行いました。

今回参加したのは、教育学部教育学科・市川直子准教授、芸術学部アート・デザイン学科・堀場絵吏講師、農学部環境農学科・山﨑旬教授、農学部環境農学科・友常満利准教授、工学部デザインサイエンス学科・平杜和也講師の研究室のゼミ生たち。さらに、芸術学部から、中島千絵教授、椿敏幸教授、鈴木純郎技術職員、農学部からは、小原廣幸教授、佐々木慧講師、小泉昌子講師、藤澤実樹助手、髙橋里世助手、岡田芽衣助手も参加しました。毎年、大学の学部教員がリレー形式で担当しており、本年度は芸術学部の堀場講師を中心に作業が行われました。
「玉川学園で最も高い場所である聖山は、創立以来学園を象徴する場所として捉えられています。本年度、本学園は創立95周年を迎えましたが、次の100周年に向けて聖山のあり方や、緑豊かなキャンパスのあり方を考える、節目の年でもあると思います」と堀場講師は参加者に向けて語りました。

また、今年も学友会からお弁当の差し入れがありました。「玉川学園には1985年まで塾が設置されていましたが、塾生は毎朝この場所で朝会をしていました。ですからかつての塾生が玉川学園を訪れた際には、必ず聖山に立ち寄ります」と、髙田事務部長は聖山を維持管理することの重要性を説明。学生からも「自然豊かな聖山を守り、これからに伝えていくためにも、今日は私たちが頑張っていきます」と、感謝の気持ちと決意を伝えました。

午前中の労作では、三班に分かれて雑木林の枝などの片付け、バイオチャーの作成、そして記念プレートの作成に取り組みました。間伐が進み、風通しが良くなった聖山周辺の雑木林ですが、この1年で落ちた枝も多く、学生たちはこれらを取り除きました。また、バイオチャーの作成では間伐材などを炭化させ、炭として大気中のCO2の一部を貯留させます。そして記念プレートの作成では、聖山で伐採された木材を用いて学生たちがプレートを作成しました。

今回、農学部 友常准教授からナラ枯れについての説明がありました。「この雑木林の中にも、夏でも茶色に変色し枯れてしまっている木があります。これがナラ枯れという現象です。どんぐりのなるブナ科の樹木に見られる現象で、体長2ミリほどのカシノナガキクイムシという虫が運ぶ菌によって枯れる病気です。老齢の樹木が感染しやすく、学園の敷地面積の3、4パーセントが影響を受けています。木が枯れるというのは悪いことのように聞こえますが、自然の循環でもあり、悪いことばかりではありません。ただ都市緑地でナラ枯れが起きると倒木や落枝などで歩行者に危険が及ぶため、定期的に管理をする必要があります。口で言うのは簡単ですが、手間のかかる作業です。皆さんにもそういう大変さを感じてもらおうということも、聖山労作の目的の一つなんですね。自然の移ろいなども感じながら、作業をしてもらいたいなと思っています」。

午前の作業を終え、学友会が提供したお弁当で元気を取り戻した学生たち。午後は全員でバイオチャーの散布に取り組み、聖山の西側斜面にクマノザクラ、ヒマラヤザクラ、ウスゲヤマザクラを植樹しました。クマノザクラは創立100周年に向け、2020年から毎年10本ずつ学友会和歌山支部から寄贈されています。今回植樹したクマノザクラは、昨年寄贈され農学部内で1年間育育ててきたものです。学生たちは学部に関係なく4人程度の班を作り、シャベルを使って丁寧に植樹しました。成木まで生長するには10年程度かかりますが、あと2、3年もすれば開花するそうです。

この後、小原一仁学長から学生に向けて挨拶がありました。「今日は一日、さまざまな労作に取り組んでいただき、ありがとうございます。今回の労作が大学生活の思い出の一つになれば幸いです。植えてくれた桜が成長し花を咲かせる頃に、ぜひまた玉川の丘に遊びに来てもらいたいと思います」。
その後、学長も参加してバイオチャーの散布が行われました。午前中に炭化させたバイオチャーはまだ熱を持っていたため、友常准教授が以前に研究室の学生達と製作したバイオチャーを聖山周辺に散布しました。バイオチャーはCO2を貯留するだけでなく、土壌の保水性・通気性の改善にも効果があるため、今後の樹木の成長が良くなることも期待されます。

こうして、この日のすべての作業が終了。堀場講師から「皆さんお疲れさまでした。この聖山労作は年々プログラム内容も増え、先生方のご負担も相当なものだと感じていますが、これだけ輪が広がっているところに学園や自然への愛を感じます。そして自然を維持するには多くの人の手が必要であり、一人ひとりが自ら考え、行動することが大切だと思います」と挨拶がありました。
私たちを取り巻く自然環境について考えたり、学園の理念や歴史に触れるなど、活動を通して多くのことを学ぶ機会となっている聖山労作。また、学部を超えて学生同士が協力をするなど、さまざまな効果が期待されます。今回の桜は聖山の西側斜面、大学3号館からELF Study Hall 2015やSTREAM Hall 2019に抜ける道沿いに植えられました。「植物は、見てあげるとよく育つと感じています」と山﨑教授。この道を通る際は、ぜひ学生たちが植えた桜の成長を確認してみてください。

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