夜空に描く光の軌跡。12年ぶりに行われた建設現場のクレーンによるイルミネーション・アート。
建設中の新施設を舞台に行われる「浮遊離脱する光跡」
5月25日(日)、複合スポーツ施設「Sports Center SANITAS」の建設現場を舞台に、クレーン・イルミネーションによるアート・プロジェクト「浮遊離脱する光跡」が行われました。
クレーン・イルミネーションとは、建設現場にある大型のクローラークレーンで発光体をつり下げ、点灯制御によって生まれる光の軌跡を空中に描き出すアート演出のこと。今回、建設技術の進化を象徴する未来的なデザイン手法で、建設業の魅力、働く喜びや可能性を若者に発信すること、そして、新体育施設“Sports Center SANITAS”が担う次世代への新たな可能性を「光のメディアで可視化」するコンセプトのもと、西松建設株式会社と玉川学園の連携により実現しました。本プロジェクトを計画した学術研究所特別研究員の田中敬一先生は、芸術学部で教鞭を執っていた2013年にも、建設中だった大学教育棟2014で同様のプロジェクトを実施。今回は12年ぶりのプロジェクトとなりました。


12年ぶりのプロジェクトで、テクノロジーも大幅に進化
使用される発光体は鉄骨フレームによる躯体に、LEDによってさまざまな色を生み出すウォールウォッシャーという照明器具とストロボを取り付けて製作。全高3mにもなる巨大な構造物です。12年前よりも多くの機材が軽量になった一方で、表現できることの幅は大きく広がっており、前回技術レベルで不可能であったことへの新たな挑戦への原動力になりました。
当日はまだ空に明るさが残っている18時30分頃から、メディア関係者や教職員、学生など、多くの人々が見守る中でプロジェクトがスタート。巨大なクレーンによって高くつり上げられた発光体は、まるでUFOのようです。この発光体を、田中先生とライティングシステムエンジニア、クレーンオペレーターが連絡を取り合いながら動かし、夜空に軌跡を描いていきます。実際に見ていても美しいのですが、その様子を複数のカメラマンがさまざまな角度から長時間露光で撮影し、アート作品を完成させます。


今しかできないプロジェクトに、学生たちも参加

田中先生は学生を指導する傍ら、レーザー・アーティストとしてさまざまな光のアートを手がけてきました。今回のプロジェクトに関しては、「日々変化していく建設現場を舞台に、クレーンを動かしながらアート作品を作り出すわけですが、そこには予定調和からは生まれない、一期一会の面白さがあると思います」と、その魅力を語ります。
これまで学外の企業などと連携する芸術学部の「プロジェクト型授業」で、多くの学生を指揮してきた田中先生。ただ今回は工事現場でのプロジェクトという特異性を鑑み、持田貴大さん(リベラルアーツ学部リベラルアーツ学科3年)、羽下隼平さん(農学部生産農学科4年)、佐藤小夜子さん(工学研究科機械工学専攻 修士課程1年)の、3名の学生が参加。彼らは当日まで、軽トラックに照明を積んで松陰橋を走行し、光の軌跡がどのように撮影できるのかを実験するなど、さまざまな作業を手伝ってきました。またプロジェクトに参加しなかった学生でも、当日の光の軌跡を写真に収めるフォトコンテストに参加することができました。
多くの人の協力を得て行われた今回のアート・プロジェクト。「Sports Center SANITAS」は2027年に竣功予定ですが、竣功前からアート作品の舞台として、学園の歴史に名を刻むことになりました。








