「ありがとう」の想いを込めて。さまざまな思い出を育んだ牛舎・豚舎が解体される運びに。工事の安全を願い、祈願祭が執り行われました。
多くの動物と触れ合う玉川学園の、中心的存在
6月30日(月)、農学部の牛舎や豚舎といった畜産関連の施設が解体される運びとなり、長年にわたり利用されてきた建物に対して感謝の気持ちと工事の安全を願う安全祈願祭が執り行われました。
現在玉川学園で学ぶ生徒や学生たちは、キャンパス内に牛舎や豚舎があることや、かつて学内で多くの家畜を飼育していたことを知らないかもしれません。玉川学園では創立当初から牛や豚だけでなく、羊やヤギ、鶏、蚕などを飼育し、塾生が交代で飼育当番を担当してきました。以前、小学部の校庭付近やFuture Sci Tech Lab付近にあった牛舎は、1964(昭和39)年に現在のフードサイエンスホールの向かい側に移転。豚舎などと併せて形成された畜産エリアの中心的存在でした。このように普段の生活の中でさまざまな動物と触れ合ってきた玉川学園ですが、近年の諸事情により牛や豚の飼育は現在行っておらず、残されていた牛舎や豚舎も解体されることになったのです。


宮司による祝詞奏上、皆で工事の安全を願う

6月とは思えない真夏のような日差しの中、多くの関係者が牛舎の横に設置されたテントに集まりました。キャンパスの喧噪も聞こえてこない静かな場所に、鶴間熊野神社の池田宮司による祝詞が響き、厳かな雰囲気の中で安全祈願祭が執り行われました。
神事が一通り終わった後、小原芳明理事長からの挨拶がありました。「かつて玉川学園では牛を飼育しており、私もその牛乳を飲んで育ちました。以前の牛舎は現在の小学部の校庭辺りなどに作られていましたが、それがこの場所に移り、デンマーク風の牛舎が建てられました。今回解体されることは寂しいですけれども、これも時代の流れだと思います。解体工事が安全に行われることを願っています」。


新陳代謝を繰り返し、学園は新しい姿に
安全祈願祭の後、小原理事長と工事関係者による建物の清祓いが行われ、この日の解体神事は終了しました。学園長をはじめ玉川学園出身の職員はこの牛舎に多くの思い出があるようで、神事の後も思い出話が尽きることがありませんでした。また卒業生に向けて牛舎が解体されることを告知したところ、「最後だから」と見学に来られた方もいたそうです。
牛舎が位置するのは学生が頻繁に通るエリアではないとはいえ、向かい側にはサイテックセンターがあり、安全な工事が求められます。卒業生の思い出が詰まった施設が消えていくのはやはり寂しさを感じるものですが、玉川学園はこれまでもこれからも、学びの場として進化していきます。こうした変化の中にも、かつての記憶は、脈々と受け継がれ、新しい世代へとつながっていきます。



