「音楽とともにある豊かな人生 〜玉川学園と音楽〜」 俳優・歌手の藤田朋子さんが語る、歌の力と表現の喜び
3月27日(金)、俳優・歌手の藤田朋子さんが来校して、玉川大学教育学部1年生の寄附講座「音楽とともにある豊かな人生 〜玉川学園と音楽〜」が開かれました。
藤田さんは、玉川学園高等部時代に英語劇部に所属し、1987年にミュージカル『レ・ミゼラブル』で芸能界デビュー。NHKの朝ドラ『ノンちゃんの夢』の主人公役や、TBSドラマ『渡る世間は鬼ばかり』の岡倉長子役で国民的俳優となりました。
そんな藤田さんにとって歌は、人生の扉を開き、支え続ける本質的なエネルギー。学生時代のエピソードや素晴らしい歌声を通じて、歌が人生にどれほど豊かな実りをもたらすかを教えてくれました。
歌に込めた「一生懸命にやったことは後悔しない」という想い
「こ・ん・に・ち・はーー!!」(藤田さん)、「こんにちはー!(学生)」
受講席との元気なやりとりからはじまった寄附講座。藤田さんは、続けて「まだ口のなかに飴が入っています」とユーモアでみんなを笑わせて、教室の空気を一気にあたためました。


「私は、高等部からこの学園に通いはじめました。ゴダイゴというバンドをご存知ですか?」と話し出し、中学3年生の時、大好きなバンド「ゴダイゴ」の作詞家の英語塾に、「ひょっとしたらメンバーが打ち合わせにやってくるかも」という淡い思いを抱いて通ったそうです。
「その英語塾は演劇のメソッドを取り入れていて、私はそこで演劇の基礎を学びました。講師の先生に玉川学園を受験することを話したら、『英語劇が盛んだから、ぜひ行ったらいい』って」と、表現者としての原点を懐かしそうに振り返りました。
高等部入学後、藤田さんは英語劇部に所属し、学外ではミュージカル『オリバー!』のオーディションに挑戦します。審査員の前で唄ったのは、ミュージカル『コーラスライン』の『What I Did For Love』。この曲を勧めたのは、当時玉川学園の同級生で、現在はミュージカルの作曲家や音楽監督として活躍する岩崎廉さんでした。藤田さんは見事に合格してミュージカルの世界に踏み出しました。

「歌はKiss today goodbye〜 ではじまるんですよ。キスをして今日にさよならしよう。いま望んでいる夢が叶わなかったとしても、僕ら一所懸命にやってきたんじゃないか。悔いはないよね。だからこれからの日々も愛していけるよね」
藤田さんは、『What I Did For Love』が唄われるシーンと意味を語ると、高等部時代の同級生である高津原先生のキーボード伴奏に乗せて英語で歌声を披露しました。
ミュージカル『レ・ミゼラブル』で芸能界デビューし、その後も数々のミュージカルに出演されてきた藤田さん。教室の隅々に響き渡った歌声には暖かさと説得力が宿り、「悔いがないように一所懸命に大学生活を送って」という1年生へのメッセージとなりました。
講義後半では、ミュージカル『レ・ミゼラブル』から『On My Own』、さらにアドリブのアカペラで『I Dreamed a Dream』も披露。「全身を使って歌を唄うことは、なんて素晴らしいことよ!」と語りかける藤田さんは、高等部生がいまも毎日、朝会とホームルームで歌を唄っていることを讃えました。「当時、私は朝モヤモヤしていても、今日1日がつまらなくても、歌が全部吹き飛ばしてくれた。玉川学園は良い学校だなって思います」
唄いながら集合した朝会、あちらこちらからアカペラの歌声が聞こえたキャンパス。そんな学生時代を送ったことで、いまも玉川出身の人に出会うと、歌のやり取りをして一気に親しくなれると言います。


表現は、生きていく上でとても大事。だから唄おう!
藤田さんは、明るく前向きに生きていくための大切なメッセージを学生たちへ送りました。 ひとつは、言葉にして伝えることです。「言葉にするというのは自分の意見をまとめることだから、思考がまとまってくるんだよね」と、ネットで共感を求めるよりも、声に出して人に伝えることを勧めました。
笑うことも大切です。ミュージカル『アニー』の劇中歌『トゥモロー』を引き合いに出して、「これは、『ともかく口角を上げて上を見ていれば幸せになれるよ』という歌なの。人は、本当に辛くなると下を向いちゃうの。その時こそ人目もはばからず、上を向いて笑ってみて。絶対にいいことがあるから!」とアドバイスしました。


さらに、多様性を認めることの重要性を強調。「人に完璧を求めずに、相手が何か失敗した時は、その人の良いところをいっぱい見つけて欲しい」と力を込め、玉川学園でのポジティブな体験からは、「学生時代の友だちはみんな、私がどんな変なことを言っても『へーそうなんだね』と最初に言ってくれるの。これすごく大事。一旦安心するんだよね。いろんな人がいて、いろんな見方、言い方、感じ方があるから、絶対に否定して欲しくないの。相手を認めたら、自分も認めてもらえるから」と話しました。
藤田さんは、終始学生たちと明るくコミュニケーションを取り、「この曲知ってる? 知らないのかぁ」「名前は?」「将来はどんな仕事を目指しているの?」と親しく話しかけていました。
中盤で行われたワークショップでは、受講席に飛び込んで自ら学生をピックアップ。伝える力を養う演劇のエクササイズを行い、後半では「眠そうだね。飴舐める?」と、持参したキャンディーを配って笑いを巻き起こす一幕もありました。


最後に全員で校歌を唄いましたが、ほかにも、讃美歌『うるわしのしらゆり』と映画『アナと雪の女王』の『Let it go』も一緒に唄いました。
『Let it go』を唄う時に藤田さんが言ったのは、「表現をしていくことは、生きていく上でとても大事」です。藤田さんの独唱ではじまったこの歌は、サビになると学生たちも唄い出し、やがて教室全体が歌で一体となりました。最後は立ち上がって振りを付けながら唄う学生もいて、大きな感動に包まれました。
「歌に始まり、歌に終わる」と例えられるほど、玉川学園では1日を通して歌を唄う機会が設けられています。そこには、「音楽によって玉川学園の精神的な基礎づくりを」という、創立者・小原國芳の信念が息づいています。
歌とともに高校・大学を玉川学園で過ごされた藤田さんはこの日、たっぷりの愛情をもって教育学部1年生に唄うことの素晴らしさと、人生を豊かに生きるためのヒントを伝えてくれました。
