ベルリン・フィルのアマデウス氏ら4人が来園【12/2追記・動画掲載】
11月19日(火)、穏やかな秋晴れの中、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーが来園しました。訪問されたのは、第1ヴァイオリンのアマデウス・ホイトリング氏、第2ヴァイオリンのライマー・オルロフスキー氏、ヴィオラのマシュー・ハンター氏、チェロのシュテファン・コンツ氏の4人です。毎回、来日公演の多忙なスケジュールの中、メンバーは、本学園小中高校生・大学生との教育交流の時間を設けてくださいます。午前中は低学年校舎でメンバーと小学生が創造活動を通じて交流。午後は、ミニ・コンサート、ミニ・レクチャー及び芸術学部学生の公開レッスンが実現しました。その後さらに、個人レッスンを中学2年生2名が受講し、弦楽オーケストラに所属する中高生や希望者が聴講しました。なお、この教育交流には、ドイツ連邦共和国大使館より後援いただいています。
1998年から始まったベルリン・フィルのメンバーとの教育交流は今年で15年目を迎え、アマデウス氏の来訪は今回で7回目となりました。ご存知のとおり、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は「世界最高のオーケストラ」といわれています。そのメンバーたちの演奏やレッスンを聴講したり、芸術交流できる機会は、本学園にとってたいへん貴重な教育活動です。これは、創立以来大切にしている「ホンモノ」にふれる玉川の学びの一つの姿でもあります。
まず、児童たちが歓迎の歌として、シューベルトの「野ばら」をドイツ語で合唱。メンバーは聴きながら、子供たちの歌に合わせてピッツィカート(指で弦をはじいて音を出す奏法)で、伴奏部分を弾いてくれました。
午前中の授業には、約120人の小学3年生を2グループに分けて、特別な授業プログラムを準備しました。「Music & Arts」と題したプログラムは、メンバーによる弦楽四重奏の演奏と児童たちの絵画とムーブメントを融合させた創造活動です。モーツァルトの「弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 KV. 421」が、低学年校舎ホールに響き渡ると、そこは普段とは全く違う別世界のような雰囲気に包まれました。子供たちはこの素晴らしい音楽を聴き、自分自身が感じるままに、筆やスポンジで絵や線を描いて表現したり、ムーブメントとしての身体表現に挑戦しました。
活動の様子をご覧になったマシュー氏からは、「私たちも太陽の光が差し込んでくるような気持になりました。心を温めてくれました。」といった優しい言葉を頂きました。また、描かれた絵を丁寧に観ながら、他のメンバーも児童たちとの会話を楽しみました。充実したクラスは瞬く間に時間が過ぎ、最後は小学生からメンバーたちへ、ドイツ民謡の「別離の歌」を贈り授業を終えました。
午後のプログラム前半は、第1部のミニ・コンサートでベートーベンの「弦楽四重奏曲第6番 変ロ長調 作品18-6」の演奏と、メンバーによる第2部ミニ・レクチャーが行われました。会場となった講堂の前には、開場15分前から100人ほどの列ができました。平日の昼間にもかかわらずお越しいただいた地域の方たちや、授業の合間を利用してかけつけた学生が、「本当のベートーベン」の音楽ともいえる響きを味わい、熱心に耳を傾けました。レクチャーでは、メンバーよりこうした教育交流の意義や音楽に対する考え方などの話題を提供いただきました。「演奏家は、作曲家が創造したことを聴衆に伝えることを常に考えています」と、メンバーたちは語ります。また普段の生活の様子も聞くことができ、ベルリン・フィルのメンバーを身近に感じる瞬間もありました。レクチャーの最後にはアンコールとして、モーツァルトの「弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 KV. 421」より第3楽章の演奏があり、割れんばかりの拍手の中、プログラムの前半を終えました。
休憩をはさみ、後半の第3部では、芸術学部学生の公開レッスンが行われました。課題とした曲はシュポーアの「協奏的二重奏曲ニ長調作品67-2」より第1楽章でした。受講者に対して、アマデウス氏からは、具体的な技術上のアドバイスに加えて、音楽そのものに対する姿勢についてコメントいただきました。特に旋律と伴奏の「バランス」は、このような二重奏曲に限らず、オーケストラで演奏する場合でも同様に重要だとのことです。
なお、この日、アマデウス氏以外の3人のメンバーは、前半のプログラムを終えた後、本学園を出発し東京・赤坂のサントリーホールに向かいました。午後5時からのブルックナーの「交響曲第7番」のリハーサルがあるとのことでした。こうしたスケジュールを調整いただいた3人のメンバーと、毎回のツアー時に演奏会出演予定を調整して本学園を来訪してくださるアマデウス氏に、改めて感謝の意を表したいと思います。