農学部、ファイザー株式会社 梅田代表取締役社長による特別講話
11月22日、ファイザー株式会社 代表取締役社長の梅田一郎氏を本学にお招きし、農学部3・4年生を対象に「次世代若手社員に期待するもの」というテーマで特別講話を開催しました。
ファイザー株式会社は、1953年、ペニシリンの工業化で発展した100年の歴史あるアメリカのファイザー社が日本に進出し、ファイザー田辺株式会社として設立されました。現在、世界最大級の医薬品メーカーとして確固たる地位を築いており、本学卒業生も活躍しています。
講話の前半は、大学入学からファイザーへ入社する27歳までの経験をお話してくださいました。梅田氏が岡山大学へ入学したのは、学生運動が盛んだった70年安保の翌年。重量挙部で活躍するも、4年生になると「自分に何ができるのだろう」と思い悩む日が続きます。本を読んだり、自転車でアメリカ一周にチャレンジしたり、魚市場に住み込みで働くなど、さまざまな経験を積まれていきますが、答えは見つからず、6年かけて大学を卒業。しばらく先輩の仕事を手伝うなかで仕事に対する姿勢が身についていないことを痛感し、就職することを決意。27歳の時にファイザーへ入社されます。「寄り道をして会社に入った時には、将来、社長になることなど全く考えておりませんでした。今では従業員約5,600人を率いる会社のリーダーとして仕事をしています。皆さんと同じ年代に、いろいろなことを考え、がんばったことが少し活きているという気がします」と語られました。

後半では、『入社後のキャリア』、『グローバル企業と人財育成』についてご説明いただきました。
入社後はMRとして活躍。上司の勧めで5年目に慶応義塾大学大学院へ国内留学し、MBAを取得されます。その後、マーケティング部門や海外勤務を経て、53歳の時に経営企画部門取締役。さらに、人事や営業部門担当の取締役を経て、57歳で代表取締役社長に就任されます。同年、会社は、ビジネスユニット制(事業部制)を導入。国単位ではなく、各事業部毎に、世界全体が1つの組織として事業を展開していきます。これにより、スピーディーに顧客の多様なニーズへ対応することが可能となりました。各国の社員が集まるため、世界の距離が近くなり、年齢に関係なくチャンスが多く与えられることがメリットとして挙げられます。これからグローバル企業で活躍する資質として、日本を語ることのできる教養や国語力を持ち、それぞれの国の文化や宗教を理解できる国際感覚を持つこと、そして英語で説明・交渉する力が必要であることを教えてくださいました。

終盤、会社のトップとして今後会社をどうしていきたいのか、それを若い世代の人にどのように伝えていきたいかという学生の質問に対して梅田氏は、「会社が生き残っていくためには、会社も変化していかなければなりません。変化に対しチャレンジする気持ちを持ち続けていくことが大事だと思います。そういう意味で社員とのコミュニケーションを大切にしています」。また、薬を扱う立場として患者さんにどのような配慮をしているかについては、「医薬品だけでは対応できない課題もあります。そのため、ヘルスケア関連のリーダーが集まり、情報交換する場を設けています。その他、NPOやNGOなどへの助成プログラムを展開し、製薬会社として、ファイザーらしい社会貢献活動をしています」と一つ一つの質問に対し丁寧に応えてくださいました。
講話終了後、「世界で活躍するためには、まず日本のことをよく知ること、という点が新鮮だった」「グローバルの意味を理解することができ、これからの社会を担う世代としてグローバルの先を見据えていくことが必要だと感じた」という感想がよせられました。企業のトップである梅田氏のお話は、学生一人ひとりの心に響き、これからのキャリア形成において、どのような取り組みや心がけが必要なのかを学ぶ貴重な機会となりました。