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企業経営の理解を深める。株式会社加藤製作所 社長による講演会を開催しました

2014.07.28

科学や工学の視点を取り入れながら、マネジメントについて実践的に学ぶことが、玉川大学工学部のマネジメントサイエンス学科の学修です。7月12日、今年入学した1年生に向けて実際の企業経営とはどのようなものなのかの理解を深めるため、株式会社加藤製作所代表取締役社長の加藤公康(かとう きみやす)氏をお招きして講演会を行いました。加藤製作所は1895(明治28)年に設立され、現在はクレーン車やパワーショベルなど荷役・建設機械の製造・販売を行う東証1部上場企業です。そして加藤公康氏は1991(平成3)年に玉川大学工学部経営工学科(現・マネジメントサイエンス学科)を卒業した、OBでもあります。今回はマネジメントサイエンス学科の1年生を対象に、「社長としての10年の歩み(私が学んだこと)、これから皆さんが学ぶべきこと」と題して講演が行われました。

タイトルの通り、加藤氏が社長に就任したのは2004(平成16)年のことでした。当時は空白の10年といわれ、日本全体がバブル後の停滞した経済状況からなかなか立ち直れずにいました。加藤製作所もバブルの当時は1,000億円以上あった売り上げが、300億円以下にまで落ち込んでいたそうです。そこで2004年、父親である正雄氏が務めていた社長職に公康氏が就任。抜本的な改革を行っていくことになりました。経営再建の過程では1,000人いた社員を半分に減らすといった苦渋の決断もあったそうです。その後、業績も徐々に回復し、売り上げも750億円を達成。クレーン車は国内シェアの約半分を占めトップ、過去最高の利益を出すまでに回復しました。「現在の目標は、また売り上げ1,000億円を超えること。そして売り上げにおける海外比率を5割まで押し上げること」なのだそうです。

そこで現在最も力を入れているのが海外展開です。為替の変動を受けにくく人件費も安いことから、既に海外にも工場を建設。「ただ、そうすると“Made in Japan”とは言えなくなります。海外に出ると、やはり日本製というブランド力は非常に強いものがあります。そこで我々は“Made by KATO”を強く打ち出すことにしました。どこで生産したとしても、同じ品質を提供していくという意味です」。そしてこの『KATOブランド』を確立するために、人材教育、現地化と厳格な管理、生産ラインの見える化といったことに、今まで以上に力を入れていくとのこと。海外展開へと本格的に舵を切った加藤製作所の、10年後、20年後が非常に有望な印象を受けました。

そんな加藤公康氏から、工学部で学び始めた1年生に向けてアドバイスがありました。それは、

・工学以外の幅広い知識を持つこと(物事をさまざまな側面から見る)
・本を読むこと(種類は問わず、話のネタになるようにする)
・英語力をアップすること(これからのビジネスでは必須)
・恩師と友人は大切にすること(何でも相談できる人の存在は大切)
・いろいろな人と交流しよう(コミュニケーション力を磨く)

といったことでした。そして何より伝えたいとして『忍耐』を挙げられました。加藤公康氏曰く、「社会に出れば、納得できないこと、理不尽なことも少なくありません。それでも仕事であれば、受け入れざるを得ないこともあります。ただ、嫌なことでも前向きに取り組めば、きっとそれは誰かが見ていてくれるはず。『人生の最も苦しい いやな つらい 損な場面を 真っ先に微笑を以て 担当せよ』という玉川学園のモットーを体得した皆さんには、その素地がきっとあるはずです」とのことでした。

工学とマネジメントを学ぶ学生にとっては、まさに目標となるような存在の加藤公康氏。講演終了後には学生から多くの質問が寄せられました。たとえば「社長になろうと思ったのはいつ頃ですか?」という質問には「物心ついた頃から、いつかは家業を継ぐことになるだろうと思っていました。ただ、別の人生を選べるとしたら、動物が好きなので獣医師になりたいと思っていました」という答えが。また「社長という立場で指示を出す際に、何か気をつけていることはありますか?」という質問には「社内には私よりも年配で、経験がある社員も多数います。社長として指示を出す際は、相手の気持ちを考えながら発言するように心がけています」という答えが返ってきました。加藤公康氏の親しみやすい話し口調から、加藤製作所に興味を持った学生もいたに違いありません。そんな雰囲気を察してか、学科の担当教員は「加藤製作所のような優良企業へ、入社を希望するのであればしっかりと準備をしないと」と忠告する場面もありました。今回の講演は学生にとって、自分の将来について考える上でいい機会になったと思います。マネジメントサイエンス学科の学生の中から、これからの工学ビジネスをリードするような存在が、一人でも多く出てくることを願っています。

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