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7/16 元外務省国際機関人事センター所長をお招きして第1回グローバルキャリア講座を開催しました

2014.08.01

2014年に玉川学園高等部・中学部(7年生〜12年生)はスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定されました。玉川学園では、「国際機関へキャリア選択できる全人的リーダーの育成」をプログラムの構想として打ち出し、国際機関や国際NGOでリーダーとして活躍するために必要な、多様な文化を理解し、世界の諸問題に興味を持ってもらい、幅広い視点と強い意志で実行できるリーダーシップをもった人材を育てていくことを目標としてSGHの活動を行っていきます。そのための基礎育成活動の一つが、今回から始まったグローバルキャリア講座です。第1回となる今回は12年生(高校3年生)全員を対象に、外務省国際機関人事センターで所長を務められた伊藤光子(いとう みつこ)さんをお招きし、7月16日に講演会が実施されました。

伊藤さんは1981(昭和56)年に外務省に入省。国連局経済課、マレーシア日本大使館などでキャリアを積み、1998(平成10)年から国際機関人事センターに赴任しました。国際機関人事センターとは1974年に外務省内に設置された、国連を中心とした国際機関で活躍する日本人職員を増やすことを目的とした部署です。当時から、日本は国連などへの拠出金は世界のトップクラスでありながら、人的なレプリゼンテーション(派遣)が非常に低いことが問題となっていました。そこでこのセンターを設置し、日本政府が費用を負担して国連職員を目指す若い人たちに勤務経験を提供するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)制度を開始。これまでに数多くの人材を国連に派遣してきましたが、伊藤さんはまさにその人材派遣に携わってこられた方なのです。伊藤さんには「国際舞台で活躍するにはどの様な道があるのか」といったことを中心に語っていただきました。

伊藤さんからまずお話しいただいたのは、どの様な志向を持っている人に適性があるかということです。伊藤さん曰く、「世界に興味がある」「異文化に接することが楽しい」「語学が好き」「人のために役に立ちたい」、この中の二つ以上に該当すれば、国際舞台で活躍することに向いているそうです。もちろん、思い当たる点が一つだけだったとしても、なれないわけではありません。これらを踏まえた上で伊藤さんが語ってくださったのが、「今から準備すべきこと」でした。留学などの海外経験や語学の勉強はもちろん、どんな道が用意されているかといった情報収集も非常に重要とのこと。「これらの準備は高校から始めても、決して早すぎるわけではありません。というのも、世界で活躍するとなると10年近い準備が必要だからです。今日集まってくれた皆さんの10年後といえば社会の第一線で活躍している27、8歳。外務省国際機関人事センターのホームページなどもチェックして、今から準備をしてほしいですね」。

 

続いて伊藤さんが話してくださったのが、国連における日本人職員の現状と就職方法でした。かつては国連が定める「望ましい職員数」の3分の1程度だった日本人職員でしたが、伊藤さんたちの尽力もあり、現在は2分の1程度に。ただ日本の一般企業とは採用方法も大きく異なるため、その人数は一朝一夕には増えていきません。そこで前述のJPOなどを活用して多くの日本人が国連や関係機関に就職しているそうです。国連職員になるために、伊藤さんが考える求められる人材像とはどのようなものでしょうか。「やはり必要になるのが、使命感や情熱をもっていることですね。また学歴も修士以上が求められるし、語学力や実際に海外で学んだり暮らしたりした経験も問われます。さらに何らかの専門性や職務経験などもあるといいのではないでしょうか」とのことでした。

 

講演の終わりには生徒からさまざまな質問がありました。「お話の中では、国連で働く日本人職員は7割近くが女性ということでしたが、国連全体ではどのような比率になりますか?」という質問には、「実は国連全体では女性の比率は3割程度で、職員のジェンダーバランス(男女の割合)改善は重要な課題になっています。そうした中で、日本のみ女性の比率が突出しています。これは面白い現象なのですが、日本の企業ではまだまだ女性がトップに立ちにくい土壌があると言われていますが、自分が活躍できる場を日本ではなく海外に求める女性が多いということなのかもしれません」と答えてくださいました。また「国連職員に日本人が少ない中、何を改善していけばいいと思いますか?」という質問に対しては、「外務省時代、私も常に考えていました。やはり広報活動は不可欠で、どんなことができるのかをイメージさせることが重要だと思っています」という回答がありました。「この機会を通じて国連職員という仕事に興味を持ってもらえればと思いますし、この中から一人でも二人でも、国連職員が生まれたら非常に嬉しいですね」という言葉で、伊藤さんの講演は締めくくられました。
伊藤さんが退席された後、高等部 硤合(そあい)教諭から「国連職員という仕事は自分とかけ離れた世界と思うかもしれないけれど、ここにいるみんなには素質があると思います。早い時期から世界中の留学生と接する機会がある君たちには異文化を受け入れ、その中でコミュニケーションをとっていくことが自然とできるはずです。国連で働くということは、困難を抱えている人々に貢献し、しいては国家を立て直すことにつながるという壮大な仕事です。」と生徒に向けてメッセージがありました。伊藤さんのお話に加えて硤合教諭のメッセージを聞いたことで、国際機関で働く自分の姿を想像した生徒たちも多いのではないでしょうか。国際的な感覚が日常から自然と身についている生徒たちの10年後が、今から楽しみです。

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