身体を動かすことの楽しさを学ぶ。デンマークからオレロップ・エリートチームが来日しました。
玉川学園とも関わりの深いデンマークの体育指導者、ニルス・ブック。彼が1914~1920年にかけて創案した基本体操は、私たちに馴染みのあるラジオ体操の基礎にもなっています。ニルス・ブックがデンマーク国民の体位向上と人格形成のために1920(大正9)年に設立したのが、デンマーク・オレロップ国民高等体操学校であり、現在のオレロップ体操アカデミーです。玉川学園は1931(昭和6)年にオレロップ国民高等体操学校の東洋分校として承認されており、「健」の教育や体育にも大きな影響を受けています。現在でも体育祭では多くの生徒がデンマーク体操(基本体操)をベースにした体操を披露するほか、玉川大学・玉川学園ではデンマーク体操部が活動をしています。今回このオレロップ体操アカデミーの卒業生・在校生で構成されるエリートチームが、10月4日(日)から21日間の日程で来日し、各地でデモンストレーションなどを行いました。もちろん玉川学園にも、10月7日(水)から9日(金)の3日間の日程で来園。体操の発表はもちろんのこと、幼稚部から大学までの多くの園児・児童・生徒、学生が、ワークショップなどを体験しました。
玉川学園でのプログラムの最終日となる10月9日(金)は、低学年の4年生と大学生を迎えてのワークショップが大体育館で行われました。低学年向けのワークショップでは、まずオレロップのエリートチームのメンバーが生徒と一緒に、音楽に合わせて準備運動を行います。その後は二人一組になり、「片手をつないで、もう片方の手で相手のお尻に先に触ったほうが勝ち」、「腕立て伏せの姿勢で、片手を使って相手に先に触ったほうが勝ち」といったゲーム感覚の運動を、楽しそうに行う児童たち。二人一組なのでペアを組む相手がいない児童も出てきますが、そんなときもエリートチームのメンバーがスッと寄っていき、相手を務めます。何より驚かされるのは、プログラムの説明から指導に至るまで、日本語は最初の「コンニチハ」のみであとは英語。体操の方法の説明などは、すべてメンバーの動きを見ていれば理解できるようにしていました。
準備運動が終わると、オレロップ専用のエアーマットや跳び箱を使って前転や後転、側転などを行います。中には高度な技もありますが、メンバーがサポートをしてくれるので、どの児童も前向きに挑戦します。こうして約45分のプログラムは終了。児童にとっては、あっという間でした。最初はぎこちなかったメンバーとのコミュニケーションも、プログラム終了時にはメンバーを取り囲んだり、ハイタッチを行ったり楽しむことができたようです。子供たちは身体を動かす楽しさを実感できたのではないでしょうか。
その後に行われた教育学部の体育教員免許取得希望の学生を対象としたワークショップでは、今回のツアーの団長であるウフェ校長からデンマークでの体操の歴史と玉川学園との関係について講話がありました。メンバーによるデモンストレーションが行われた後に準備運動を行い、エアーマットや跳び箱を使ってのワークショップというように、低学年の時と同じような内容が行われました。ただし、その内容は年齢に合わせて高度になっています。たとえば後転を行う際も傾斜を付けるなど難易度が高いものに。また手具体操で使うこん棒の扱い方を教わるなど、運動を楽しむだけでなく、指導法や器具の使用法などについても学ぶ内容となりました。
すべてのプログラムが終了した後、ウフェ校長からのあいさつがあり、玉川大学の学生による「Tak for i dag !(デンマーク語で『今日はありがとう』)という言葉で、このワークショップは締めくくられました。
このワークショップに参加した教員を目指す学生からは「説明の方法でも、滑らかに身体を動かすことを伝える際はまず滑らかではない動きを見せることで視覚的に理解させるなど、あらゆる部分が勉強になりました(教育学部1年・男子学生)」、「剣道部所属で体操には苦手意識があったのですが、身体で覚える感覚が大事なのだと実感。とても楽しく身体を動かすことができました。苦手なことでも楽しいアクティビティを入れることでハードルを少し下げられるということを学びました(教育学部1年・女子学生)」といった感想が聞かれました。
身体を動かすことの楽しさや素晴らしさ、そして運動を指導する際の大切なポイント。オレロップ体操アカデミーのメンバーと接したことで、玉川学園の児童・生徒や学生は多くのことを学ぶことができました。