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教育博物館で、「錦絵にみる子供の遊び」展を開催。当時の子供の風俗がよく分かる、ギャラリートークが行われました。

2015.11.27

11月2日(月)より12月19日(土)まで、玉川大学教育博物館では2015年度企画展として「ミュージアム・コレクション展2015 錦絵にみる子供の遊び」を開催しています。子供の遊びをはじめとする生活文化は教育と密接な関わりがあるという収集方針から、教育博物館にはこうした資料が数多く収蔵されています。今回の企画展では、江戸後期から明治期に作られた錦絵を中心に69点を展示。また、そこに描かれた玩具類も参考展示されています。そして11月13日(金)には、学芸員によるギャラリートークが行われました。

錦絵とは、江戸時代に発達した多色摺り版画で、明治期まで多く描かれていました。美人画や役者絵の他に武者絵や風景画など、さまざまなモチーフを採り上げている点が特徴です。その中には子供の遊ぶ姿を描いた作品も多く、当時の世相を映す、重要な史料ともなっています。

錦絵には独楽回しや竹馬、お手玉、おはじき、花火など、私たちも知っている子供の遊びが色鮮やかに描かれています。一方で、凧揚げの様子を見ると、当時の凧は下部に尻尾として細長い紙を付けるのではなく、縄紐を付けていたといった違いも分かります。また、端午の節句には菖蒲の葉を編み込んだものを地面に打ちつけるといった遊びなど今では見られない遊びも描かれています。どの絵からも生き生きと遊ぶ、当時の子供たちの息使いが伝わってきます。

そして、こうした子供の遊びを描いた錦絵には、当時の政治状況の風刺画として、大人が楽しむという側面もありました。その題材となるのは幕末から明治維新の、旧幕府軍と新政府軍の戦い。たとえば、「子供遊皐月のたわむれ」と題された錦絵では、子供たちが丘や塚の上にいる大将に向かって競い合って登る「お山の大将」という遊びに興じる姿が描かれています。よくみると、描かれている子供たちの着物の柄から、山の上にいるのは会津(名産の蝋燭)、桑名(名産の蛤)、庄内(家紋のカタバミ)といった旧幕府側の諸藩を表していることが推測されます。一方で山の下にいるのは、薩摩(名産の井絣)、長州(地名である萩)、彦根(家紋の橘)といった明治新政府軍で、左手奥には尾張(名産の大根)に肩車をされた赤い着物の明治天皇(頭の部分に金色)も見て取れます。このように、端午の節句に遊ぶ子どもたちを題材に、追いつめられた旧幕府軍の姿を表現していて読み解く楽しさがあります。こうした風刺は、表立って行うことはできません。江戸時代は刷り物を出版する際に役所の認可が必要だったため、「地下出版」として無認可で流通した錦絵も少なくないのです。

今回ギャラリートークを担当した菅野和郎准教授は「子供は遊びを通して体力、社会性などを身につけていく。それを大人たちが見守っている姿を感じていただけたら」と語ってくれました。

錦絵に隠された風刺のエピソードや、当時の遊びの様子などがよく分かるのも、ギャラリートークならでは。12月4日(金)と10日(木)にも開催される予定です(時間はすべて13:30〜14:30、予約不要)。是非、足を運んでみてはいかがでしょうか。

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