ブドウ
弟子屈町から委託を受けた醸造用ブドウの試験栽培も、7年目を迎えた。気温が15~20度になる6月中旬ごろから花が咲き始めて結実し、10月中旬に収穫となる。かつて醸造用ブドウの栽培には寒すぎるといわれた北海道だが、近年では地球温暖化の影響でそれが可能になり、今では生産量日本一のワイン王国として呼び声が高い。
北海道弟子屈農場で栽培されているブドウは「山幸」という品種。「十勝ワイン」で有名な池田町ブドウ・ブドウ酒研究所が耐寒性の強い品種をつくるため、醸造用品種「清見」とヤマブドウを交配育種したものだ。色が濃く、ヤマブドウを超えるといわれる渋みや深みのある味わい、そしてヤマブドウから引き継いだ酸味の強さが特徴的で、熟成が進むにつれ、よりおいしいワインへと変化する。
来年度は、これまでの経験を生かして造成した新しい圃場に苗を植え、いよいよ本格的な栽培に取り組んでいく。地球温暖化を逆手にとって、また、地域特有の昼夜間の温度差を生かして、近い将来、高品質な玉川ブランドのワインが誕生することを、栽培を手掛ける一人として夢見ている。
(農学部技術指導員 大宮正博)
『全人』2016年10月号(No.809)より
ブドウ
学名:Vitis spp.
ブドウ科
西アジア原産で、古代エジプトの壁画にも描かれているほど、古くから栽培されている。シルクロードを経て日本へ伝わり、その種を引き継いだ30~40の品種が今でも栽培されている。エネルギー源として即効性のあるブドウ糖、果糖を含み、酸味は酒石酸、リンゴ酸、クエン酸による。抗酸化物質であるポリフェノールを果皮に多く含む